2017年8月11日更新

毛玉が原因?猫の嘔吐の原因と病院へ行くタイミング【獣医師が解説】

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猫は換毛期には体を舐めて熱心にお手入れします。その結果胃の中に毛玉がたまり吐き出すことがしばしばあります。

しかし、猫が吐く理由はそれだけではなく病気が潜んでいることもあります。様子を見てよい嘔吐とそうではない嘔吐の見分け方、嘔吐にはどのような原因があるのでしょうか?

 

猫が吐くのはなぜ?

猫が吐く原因(病気でない時のもの)

  • 毛玉
  • 空腹
  • 食べすぎ
  • 慌てて食べてしまった
  • ストレス
  • フードが合わない

 

対策

  • こまめにブラッシング
  • 1日の食事回数を分ける
  • 自動給餌器を使用する
  • 慌てて食べることを避けるように平たいお皿を使う
  • ストレスがかからないようにゆっくり過ごせる環境を整える
  • フードを変更する

 

猫が吐く原因(病気と考えれるもの)

  • 急性胃腸炎
  • 腎不全
  • 肝リピドーシス
  • IBD(炎症性腸疾患)
  • 慢性膵炎
  • 異物

 

定期的に健康診断を受け、1年に1度は血液検査を受けていきましょう。

吐く回数が多かったり、ぐったりしているなどいつもと様子が異なれば早めに動物病院を受診しましょう。

吐くの良いことなのか?

猫草は必要?

猫草はカラスムギや小麦、大麦などの若葉です。好む猫もいますし、興味を示さない猫もいます。

なぜ猫が猫草を食べるのかは、はっきりしていませんが、いくつか仮説があります。

  1. 毛玉を吐くため、胃のムカムカを抑えるため。
  2. 便秘を緩和するため
  3. 食感を楽しむため
  4. 栄養補給

このように諸説ありますが、1の説が有力とされています。
猫草は猫にとって必須のものではないので猫草をあげることには賛否両論あります。

特に食べることで大きな問題がなく、反対に食べなくても健康上問題がなければ猫に任せてもよいのではないかと考えます。

吐くのは止めた方がいいの?

嘔吐すると胃液に含まれるナトリウム、クロール、カリウムなどの電解質が一緒に吐き出されてしまいます。

ナトリウムが減少すると脱水を起こしやすくなりますし、脱水を起こすと低カリウム血症を起こします。

このように嘔吐を起こすと体内の電解質のバランスが崩れてしまい、さらに嘔吐を起こします。

この悪循環を起こすと状態がどんどん悪化しますので、吐き気はできるだけ早く止めたほうがよいです。

 

このような症状の場合はすぐ獣医師へ、または様子見が必要

すぐ獣医師へ行く症状とは

  • 1日に3回以上吐く
  • 2日連続で吐く
  • 食欲がない
  • 元気がない
  • 吐くものに血が混じる

吐いた後に元気があり食欲もいつも通りなら良いのですが、上記のような症状がある場合は早めに受診してください。

膵炎や異物による消化管閉塞がある場合には数えきれないほど吐き、腹痛から動かなくなります。

特に膵炎など腹痛が激烈な場合には「祈りの姿勢」といわれる独特の姿勢をとります。

お尻を高く上げて上半身を床につけるような姿勢をとり祈っているように見えるのでこのような名前がつきました。

猫の膵炎は犬の膵炎ほど重症になることは少ないといわれますが、膵炎は対応が遅れると命にかかわりますので、吐く回数が多い場合は様子を見ず即受診です。

高齢の猫の場合は、腎不全や肝疾患の疑いが高くなります。この場合には胃腸炎の処置をしても吐き気は治まりません。血液検査ですぐわかります。

様子を見て警戒する必要がある症状とは

  • 吐いた後に元気がない
  • 吐いて食欲がいつもほどない

吐く回数が少なくて食欲がある場合でも、いったんキャットフードの量を少し減らして様子を見てください。

猫の場合食欲が低下していたり、全く食べない日が3日以上になると肝リピドーシスという肝疾患になります。

特に体格の大きい猫の絶食や食欲低下は肝リピドーシスの危険性が高くなります。

肝リピドーシスとは肝臓に脂肪が蓄積しすぎて肝機能障害を起こす病気で、食欲不振、嘔吐や黄疸が主な症状です。黄疸は尿から現れることが多いので、尿の色の変化には注意しいつもより色が濃いと感じたら尿を採取して受診しましょう。

皮膚で黄疸の有無をチェックするならば白目と耳の内側を見るとわかりやすいです。

獣医師へ行く時に何を説明すれば分かりやすいか

吐瀉物の形状

  • 食べ物が混じっているのかどうか
  • 色:白色、黄色、緑色、ピンク色、ぽつぽつと血が混じる
  • 形状:泡、ドロドロした粘液状、サラサラした水のような感じ
  • このように伝えるとわかりやすいです。
  • 可能であれば、写真を持参するとさらにわかりやすくなります。

期間と間隔

  • 何日間続いているか?
  • どのくらいの間隔なのか?

を伝えましょう。

また、毎日ではなく隔日であるとか、いったん良くなったが再開したなども詳細に伝えると判断しやすくなります。

食事と関係あるかないかも診断の役に立ちます。

いつから

いつまで問題がなく、いつから調子が悪くなったのかも診断するうえで重要です。

キャットフードの変更や、新しいおやつをあげた、いつも食べないものを食べたなども大体の日付がわかれば伝えましょう。

  • 吐いているものの性状や回数
  • 吐く回数の変化、食欲・元気の有無
  • 水を飲んでも吐くのか?
  • 水は大丈夫か?
  • 下痢はあるのかないのか
  • キャットフードの変更の有無

などを時系列で獣医に伝えると診断を下す上で参考になります。

細菌性や感染症の場合吐いた後処理

伝染が心配な場合の処理の仕方オススメ

まず使い捨ての手袋やビニール袋を準備しましょう。素手での処理は避けてください。

飛び散らせないように吐物の上にティッシュペーパーやキッチンタオルをかぶせ手袋やビニール袋に手を入れ吐物をつかみます。

ティッシュペーパーなどで汚れをふき取り、アルコールや次亜塩素酸ナトリウムで消毒します。

次亜塩素酸ナトリウムは台所のキッチンハイターの成分でほぼすべての微生物の消毒に使用できます。

濃度は5%くらいが適します。次亜塩素酸ナトリウムは吐物に直接かけると消毒の効果があまり期待できません。

必ず、きれいにふき取ってから消毒するようにしましょう。

最後に石鹸でしっかり手を洗いましょう。

まとめ

嘔吐は様子を見てよい場合と、様子を見てはいけない場合があります。

吐いても元気で食欲も変わらないならば様子を見ても構いません。しかし、吐いて食欲もなく元気もないならば様子を見ないで早めに受診しましょう。

高齢になると腎不全による嘔吐も増えてきます。定期的に血液検査を行いチェックしたほうが良いでしょう。

体格の良い猫が急に絶食状態になると肝リピドーシス(脂肪肝)になり命にかかわります。猫の食欲不振は3日までが限界です。
しっかり様子を見て早め早めに対処しましょう。

 
 

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