2017年8月15日更新

猫のしつけ、どうすればいい?コツとやってはいけないこと。

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猫はどちらかというと気ままな性格ですので、しつけは難しいといわれます。
しかしトイレの場所覚えてもらったり、大切な家具やソファーを爪とぎ場所にさせないために工夫することでお互い快適に暮らしたいものです。猫のしつけはどのようにすればよいのでしょうか?獣医師の立場からお話しします。

 

猫の行動を理解する

猫の問題行動とは

問題行動とは猫にとっては正常な行動であっても、飼い主さまにとってやってほしくないと感じる行動のことを言います。
例えば、大事なソファーで爪とぎをしたためにソファーがボロボロになってしまったという場合。
飼い主様にとっては「傷をつけられ使い物にならなくなった」と感じますが、猫にとっては「爪の甘皮を剝がすための大切な行動で、研ぐのに適したものがソファーだった」ということになります。
猫のとる行動の中で、飼い主様が頭を悩ませる問題の中には、猫にとって正常なことも多く含まれます。

猫のしつけの考え方

猫のしつけは確かに難しく、犬のしつけのように「待て」「ふせ」「おいで」などができる猫はほぼ見受けられません。
猫のしつけを成功させるには、やりそうなことを未然に防ぐ、やったら危ないことをわからせるのように間接的に教えていくことが大切です。
猫の行動の中には人間にとって不利益なことや困ることも多く含まれると思いますが、猫にとっては当たり前のこともあります。
頭ごなしに叱ったり、怒鳴っても結局猫にはわからず、猫から距離を置かれるばかりでかえってうまくいかなくなります。
猫のしつけのコツは強制しないで自然に導くことが大切です。

猫のしつけ

子猫からのしつけ方法

まず、子猫にできるようになってもらいたいのはトイレの場所や爪とぎをしてもいい場所です。
子猫のトイレのしつけは比較的簡単で、犬のように頑張って教えなくても自然とできるようになっていくことがほとんどです。
爪とぎをしたらいけないものを教えるのはその反面難しく、爪とぎを愛用するようになるまでは爪とぎをされたら困るものにはカバーなどをかけることや研がれたら困るものは子猫の行動範囲内に置かないようにするのが良いでしょう。
基本的に子猫のしつけの方法は犬と同様で、行動の後によいことがあればその行動をますますやるようになります。
「してはいけないこと」をしたから叱るより、「してはいけないこと」をしないように対処することが大切です。
いたずらされそうなものは手の届くところに置かない、乗ってはいけない場所は乗れないように障害物を置くなどの工夫をしっかりしましょう。乗ってもよい場所には「ベッド」や「おやつ」を置く、好ましい行動をとった時には褒めるようにしましょう。
褒められたことは覚えています。褒められたからまた同じ行動を繰り返し行い、徐々に習慣化していきます。

成猫のしつけ方法

大人になってからしつけは無理でしょうか?という質問をよく聞きます。確かに子猫の時のほうが教えやすいですが、大人の猫になってからでも教えることはできます。
ただし根気が必要になります。
家の中でトイレをしていたが、外に出るようになり家の中や外でトイレをするようになったために失敗が増えてしまった。
トイレを新しくしてからほかの場所で排泄するようになった。
新しい同居猫が増えてから失敗するようになった。
などの環境の変化から起こるトイレの失敗の悩みをよく聞きますが、これは混乱していることが原因と思われます。
混乱をといてあげることでトイレの失敗が解決することもあります。

 

猫のしつけの種類

トイレのしつけ方法

猫はある程度の広さのある場所に穴を掘って排泄し砂などを掛けて隠す習性があります。この条件を満たす場所を確保すれば、特に教えなくても猫はトイレを認識してくれます。基本的に排泄物は隠したがるので、便はこまめに取りトイレを清潔にしておかないと、穴を掘って便を隠すことができなくなるので、設置したトイレ以外の場所に排泄するようになりますので注意してください。
また、排泄中は無防備な状態になるので落ち着ける場所にトイレは設置しましょう。

爪とぎのしつけ方法

猫が爪とぎをする理由は様々な説がありますが、爪の古くなった層を剥ぎ取るための行動だという説が今のところ有力です。
猫が爪とぎの場所として好むのは力を入れて引っかいてもぐらぐらせず安定している場所です。家の中では家具、柱、ソファー、じゅうたん、畳、マットなどがこれに相当します。何がよくて何が悪いかは猫にはわかりませんので、爪とぎをして叱るよりは怪しいものは隠しましょう。その代わり安定した爪とぎを猫に与え、爪を研げる物を探させないようにしましょう。

ご飯のしつけ方法

猫にごはんの時間を知らせるには、同じぐらいの時間帯に同じ行動をとり、これを合図とすることです。
たとえば、朝8時にビニール袋がカサカサ鳴る音がするとごはんが出てくる、缶詰を開けるパカッという音が鳴るとごはんが出てくるなどワンパターンで行うと覚えてくれます。
猫は人の与えたものを食べます。人のものをねだったときにあげてしまうと「もらえる」と勘違いしますし、本来猫の食べ物ではないものを知ることになります。テーブルに乗っているお皿から人の食事を分け与えると「テーブルの上にはおいしいものがある。ねだるとくれる」と解釈します。
また、台所には入らせないようにするのも大切です。台所にはおいしいものがあると知ると入って探すようになる可能性があります。人のものをあげなければ猫はキャットフードが自分の食べ物と学習します。

キャリーケースのしつけ方法


病院にいくときだけキャリーに入れていませんか?「キャリーに入る、病院にいく、嫌なことをされる、キャリーに入る、家に帰る」この流れを猫が覚えるとキャリーに入ると嫌なことをされると学習します。普段から、キャリーは部屋に置き、扉も開けた状態にしておきましょう。キャリーは特別なものではなくいつもあるものだと慣れてもらいましょう。また、病院にいくときにのみキャリーいれるのではなく、特に用事がないときにもキャリーに入れ出かけるのも、キャリーに対して必要以上に恐怖心を持たなくなる練習になります。

人に噛みつかない、引っかかない

子猫の甘噛みは歯の生え変わりで歯がむずがゆいことが理由のこともありますので、噛んでもよいおもちゃを与えましょう。また、人の手を噛んでくる場合には猫の前に手を出さないようにします。まずは噛ませないことが大事です。噛んでも少々ならよいとすると、猫は人の手を噛んでもよいと勘違いします。
中には興奮状態になると見境なく噛んだり引っかいたり、猛烈に追いかけてくる猫もいます。興奮状態になり我を忘れるタイプの猫の場合は、興奮している猫を部屋に残し飼い主さまは別室に行き、クールダウンさせてください。興奮状態に付き合うとヒートアップし、遊びの一環と勘違いする猫もいます。

立入禁止を設ける

猫は人の動きをよく見ています。扉の開け方、網戸のあけ方、キャットフードやお気に入りのおやつがどこに入っているのかなどをよく見て観察しています。引き戸などはきちんと閉め、もうひとつロックを掛けることをお勧めします。力の強い猫ならば爪を引き戸に引っ掛け隙間を空けて、腕や頭をその隙間に入れてドアを開けてしまいます。押すタイプのドアはジャンプしてノブにぶら下がりドアを開けてしまうでしょう。下に下げるノブのタイプではなく回すタイプにするなど、形の工夫も必要です。

暴れている時の対処法

猫の中には急にスイッチが入り大暴れしてしまうタイプもいます。このような場合、なだめてもヒートアップするばかりなので止めようとせずしばらく一人にします。暴れてぶつかると危険なものはできるだけ周りから取り除き、暴れた猫が怪我をしないようにしましょう。

猫のしつけ方

猫が喜ぶこととは?猫が嫌がること?

喜ぶこと

  • 適度な距離感
  • 短い時間でもよいので遊ぶ

嫌がること

  • 猫のペースを乱されること
  • 睡眠を妨害されること

タイミングを誤らない

猫にしてほしくないことをされてしまったときにはすぐに対処しましょう。時間がたってからでは、猫には何のことかわからず、飼い主さまに対する不信感が募ります。時間を空けない、くどくどと長時間言葉でお説教をしない事が大事です。

猫のしつけの時の注意

飼い主さんがやってはいけない行動

  • たたく
  • 失敗した時に叱る
  • 一貫性のない態度をとる
  • 家族が同じ基準を持たず人によって異なる
  • トイレの場所が変わる
  • 強いにおいのするものが猫のそばにある(猫は強すぎるにおいは嫌います)

いたずらしやすい環境になっていないか注意

  • 猫が爪をとぎたがるような家具は置かないようにしましょう
  • 食べ物は置きっぱなしにしない
  • ドアが簡単に開かないように工夫しましょう
  • 家具に隙間があると入り込みいたずらをするのでできるだけふさぎましょう
  • テレビなどのコードは見えないようにしましょう

猫のしつけは犬よりも難しいといわれます。一方トイレのしつけは猫の習性を利用すれば犬より簡単に覚えてくれます。猫の性格をしっかりは理解し、性格に合ったしつけ方法を考えましょう。また、号令を出し従わせるようなしつけは猫には向きません。やってほしくないことを猫ができないように先回りして環境を整えていってあげましょう。