2017年8月18日更新

猫にとって良い食事とは?歯が教えてくれる猫本来の食性

NEKOCLIP



ペットシッター、愛玩動物飼養管理士2級

博物館に20年勤務していた古生物学系元学芸員。猫は絶滅してしまった化石猫から イエネコ、ライオンに至るまで全部大好き。猫飼い歴ン十年の猫おばちゃんです。 飼育のお悩みから進化学に至るまで、幅広い情報と猫の素晴らしさをわかりやすく お伝えしようと思います。理学修士、ペットシッター資格、愛玩動物飼養管理士2級。 ペット用品販売会社での勤務経験もあります。

 

みなさんご存知のとおり、猫は肉食動物です。肉食動物は哺乳類の大きなグループを占めていて、猫以外にもさまざまな肉食といわれる動物たちが分類学的にはこのグループに属しています。しかし実際の食性をみると、彼ら全員が肉食とは限りません。今回は、猫の食性について他の肉食動物と比べながらお話し、猫にとってよい食事とは何かを考えたいと思います。

 

肉食動物ってどんな動物?

私たちがよく知る、いわゆる肉食動物(ネコ、イヌ、クマ、キツネ、タヌキ、ハイエナ、マングース、スカンクなど)はほとんどが食肉目というグループに属し、同じ祖先から進化した動物です。この中に海の生物、鰭脚類(アザラシ、アシカ)も含まれます。食肉目の共通祖先は4000万年前の森林にいたミアキスという動物で、樹上のネズミや鳥、爬虫類などを食べていました。その後、ミアキスからイヌの系統とネコの系統に分かれてさまざまな「肉食動物」たちが進化し、現在のような食肉目のメンバーがあらわれたのです。

肉食動物なのに肉食じゃない?

食肉目の動物たちが多様化した際、食性にもバリエーションが生じました。実際、クマの中にはかなり雑食傾向の強いものがいて、例えば日本のツキノワグマは木の実や果実もよく食べます。ジャコウネコやスカンクも木の実などを食べる雑食性の強い動物ですし、イヌも基本的には肉食ですが、雑食もできます。そして完全に草食になったものさえいます。パンダです。彼らが竹しか食べないことは有名ですよね。このように同じ肉食動物でも肉食度には大きな差があるのです。

 

歯のつくりは食性を教えてくれる

歯はその動物特有の形状をもち、同時に食性も表します。化石哺乳類では、歯しか残っていないこともざらですが、研究者は歯の形から持ち主の分類を行い、食性も想定することができるのです。クマには人と同じように、臼の形をした大きな臼歯がたくさんありますが、これはクマが硬い植物も十分にすりつぶして食べられることを示しています。イヌにも、クマほど大きくはありませんが臼状の臼歯があり、雑食性があることを教えてくれます。対してネコは、ライオンでもヤマネコでもペットの猫でも、臼歯は全て肉を切るための尖った山型をしていて、臼状ではありません。つまりネコの歯は、彼らがまったく雑食をしない完全な肉食性の動物であることを物語っているのです。

猫には高たんぱくのフードを

猫が完全な肉食動物であることは、腸の長さからもうかがえます。猫の腸は哺乳類の中で最も短く、植物を消化するようにはできていません。このような完全肉食という猫本来の食性を考えると、猫のごはんは、動物性たんぱく質の含有率が高いものが理想でしょう。一日に必要な摂取量は体重1㎏あたりおよそ6.5g(健康上問題がない場合)とされています。犬が4.8gであることを考えると、ずっと多いですよね。猫はまた、エネルギー源として脂肪も多く必要とします(ただし青魚の与え過ぎは黄色脂肪症の原因となるため控えてください)。つい人と同じように太っているからと極端に脂質を減らしてしまうのは猫にとって栄養不足のもととなります。ダイエットには必要な脂質量が保障された体重管理用総合栄養食を与えるようにしましょう。

猫に植物性のものは不必要?

では猫がまったく植物性の栄養素が必要ないかというと、そうではなさそうです。なぜなら猫はネズミなどを丸ごと食べることで、ネズミが食べていた穀類をわずかながらも間接的にとっているからです。そのため、少量の炭水化物は必要との研究も報告されています。市販のキャットフードにも一定量の炭水化物が必ず含まれています。ただし、粗悪なフードは炭水化物をかさ増しとして使っているものもあり、あまり含有量の高いものはおすすめできません。基本的に良質なキャットフード(総合食)でしたら、高タンパク、高脂質、必要なビタミン、ミネラルなどもきちんと配合されています。ぜひフードの成分表示を見て確認するようにしましょう。

まとめ

猫の歯は、猫が完全肉食であることを示しています。昔は「ねこまんま」でよかったという人もいますが、それは間違い。おそらく当時の猫たちは自力でネズミや鳥を捕まえて栄養補給をしていたでしょう。猫には本来の食事である高たんぱく、高脂質のごはんを与えることが基本なのです。

 
 

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