2017年8月16日更新

猫にアロマは大丈夫?天然由来イコール安全ではない理由

NEKOCLIP



ペットシッター、愛玩動物飼養管理士2級

博物館に20年勤務していた古生物学系元学芸員。猫は絶滅してしまった化石猫から イエネコ、ライオンに至るまで全部大好き。猫飼い歴ン十年の猫おばちゃんです。 飼育のお悩みから進化学に至るまで、幅広い情報と猫の素晴らしさをわかりやすく お伝えしようと思います。理学修士、ペットシッター資格、愛玩動物飼養管理士2級。 ペット用品販売会社での勤務経験もあります。

 

もともとアロマテラピーに使用される精油(エッセンシャルオイル)が、最近は化粧品、シャンプー、消臭剤、柔軟剤などさまざまな製品に使われるようになってきました(厳密には精油でないこともあります)。ペット用の虫よけ首輪やシャンプーに使われていることもあります。しかし、精油は猫に中毒を引き起こすことがわかってきており、ペット用はもちろん人用でも製品によっては注意が必要です。精油はなぜ、どのように猫にとって危険なのでしょう。

 

アロマテラピーに使われる精油とは

精油は、植物の花、葉、根、樹皮、果皮から抽出した揮発性の香り成分で、精油をたった1㎏採るのに多いものでは5トンもの花が必要となります。精油はそれほど濃縮したエッセンスなのです。純度100%のものだけを精油といい、鎮静作用や免疫を活発にする作用、抗菌・抗ウィルス作用、虫よけ作用などがあり、古くから人や家畜の治療に利用されてきました。

猫への危険性

植物が原料の天然由来成分だから精油は安全というイメージがありますが、成分を極限まで濃縮しているため、精油は人に対しても取り扱いに注意が必要なものです。
アロマオイルの猫への危険性を認識するきっかけとなったのは、今から30年近く前、アメリカでティーツリー配合のペットシャンプーなどを使った猫の中毒症状が複数報告されたからです。最近の研究論文でも、ティーツリーオイルが猫にとって(犬も)危険であることが提唱されています。ティーツリー精油を皮膚からあるいは口から吸収した場合、2~12時間で無気力、筋肉震動や流涎などがみられ、嘔吐、皮膚発疹、昏睡など重度の症状も一部確認されました(暴露量にはかなりばらつきがあり、0.1~85ml)。
ティーツリー以外では、ケトン類、フェノール類、モノテルピン炭化水素類のうちのリモネン、ピネンが毒性が高いとされていますが、実際のところ確かな臨床データは少なく、ほかの成分の精油だったら安全だとは言い切れないところがあります。

 

どうして猫には危険なのか?

精油が猫にとって危険な理由は、猫がもともと植物系の食べ物を全く摂取しない完全な肉食動物であるからと考えられています。私たち人間や犬は雑食性があり、植物食に対する代謝の仕組みをもっています。しかし、猫の肝臓にはグルクロン酸という糖を利用して毒素を排出する重要な解毒機能がなく、これが精油中毒を起こす原因とされています。しかも、排出できなかった毒は肝臓に蓄積し、その時大丈夫でもある日突然症状があらわれる可能性があることもわかってきました。
猫はこうした解毒機構を持たないために犬よりもずっと植物毒性に弱いことを私たちは認識しなければなりません。犬にとって平気な植物でも猫は中毒を起こしますし、実際危険とされている植物(野菜だけでなく、観葉植物なども)の種類も大変多いのです。

日常にあふれる「アロマ」製品

最近は猫に直接使用するシャンプーやノミ取り首輪などに精油を配合しているものはさすがに少なくなってきましたが、猫に対する精油の危険性がすべての企業に浸透しているかは不明ですので、購入する際は成分ラベルをしっかりチェックするようにしましょう(特に犬猫共通の製品)。
一方で人用のものには、逆にアロマオイル(精油成分)配合をうたった製品が増えています。人用シャンプーや化粧品は猫が直接触れる機会は少ないですが、化粧品をつけた飼い主さんの顔を舐めるようなことがないようにしましょう。また、消臭スプレーや芳香剤など間接的に猫が吸い込む可能性のあるものも使わないほうが安心です。当然のことながら、部屋で精油を焚くアロマテラピーも行わないほうがよいでしょう。吸入によって猫がどの程度中毒を起こすかはわかってはいませんが、大丈夫であるという証拠がない限り気をつけるべきかと考えます。

まとめ

さまざまな種類がある精油の全てが危険であると証明されているわけでもなく、アロマの危険性を否定する意見もあるのですが、科学的に安全が確認されない以上、できるだけ避けるにこしたことはありません。人や犬にとって大丈夫でも、猫には危険なものがあることを私たち飼い主は肝に銘じておく必要があるでしょう。

 
 

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