猫のイカ耳をご存知でしょうか?「イカ耳」という言葉を初めて聞いた方も多いかもしれませんね。猫は体のさまざまな場所を器用に動かして感情を表現しますが、耳もそのひとつ。しっぽほど表現パターンがあるわけではありませんが、耳のカタチを見れば猫の気持ちを知ることができます。そこで今回は、猫の耳のパターンのひとつ、イカ耳について調べてみました。イカ耳という言葉が初耳だった人も、これを読めば「あ~、あれね」とピンとくるはずです。
猫の耳は感情を表す
猫は、狩猟や自己防衛のために周囲の音を正確にキャッチする必要があります。猫の耳の周辺には多数の筋肉があるうえ、耳の外側の付け根には縁皮嚢と呼ばれる襞があって、耳をパラボナアンテナのように動かすことができ、わずかな音でも漏らすことなく聞くことができます。
さらに猫の耳は細かい動きで感情を表現する時にも活用されます。平常心でリラックスしている時にはピンとたった耳が少し外側に向いています。「目の前の何かが動いている」「こっちに何か来るぞ」など、何かに対して好奇心が湧いた時には耳がちょっと前の方に向きます。
恐怖心を抱いたり、弱気になったりすると、耳は徐々に低く倒れていきます。倒れていても斜め程度で、ピンと張っているようなら攻撃の意志がありまうが、頭にぴったり貼りつくぐらいまで寝てしまい先が下を向いている場合は戦意を喪失してしまっている状態です。
猫の耳は感情によって段階的に変化するので読み解きやすく、飼い主さんにとっても分かりやすいと言えるでしょう。
イカ耳ってどんな耳?
さて、そこで今回のテーマ「イカ耳」です。イカ耳とは一体、どんな状態なのでしょうか?
イカ耳とは耳が横に倒れピンと張ったような状態。その姿がイカに似ているからイカ耳と呼ばれるようになりました。イカ耳にも段階があって、斜め程度の倒れ方でもイカ耳、真横に寝てしまっている場合でもイカ耳と呼ばれています。
イカ耳の時の猫はどんな気持ち?
前述したように、イカ耳の時の猫は決してハッピーな気分ではありません。むしろ、イライラしていたり、不機嫌だったり、不安だったりなど負の心理状態です。イカ耳の状態と気持ちを整理すると・・・
- 耳がやや斜めに倒れ、耳の角度はやや後ろに反り返っている → イライラしてはいるが、相手に攻撃を仕掛ける意志がある強気の状態
- 耳がほぼ真横に倒れ、耳の角度が真下 → 不安や葛藤、迷いがある。恐怖心の方が強く自己防衛的になっている
いずれにせよ、周りを警戒しているので、下手に手を出すと引っ掻かれたり噛みつかれたりすることもあります。こんな時は、そっとしておいた方が良いでしょう。
どんな時にイカ耳になるのか探ってみよう
ここまで読んで「うちの猫がイカ耳になっているのをあまり見たことがないなぁ」と思われる飼い主さんもいるかもしれませんね。おっとりした猫で、争う相手もいなければ、イカ耳になる機会も少ないのかもしれません。それでは、猫は一体、どんなシチュエーションでイカ耳になるのでしょうか。
- 飼い主さんに怒られた時
- 同居猫の挙動が気に障った時
- 家の外に野良猫が見えた時
- 掃除機の嫌いな猫のそばで掃除機をかけた時
- ごはんがなかなか貰えない時
- 飼い主さんがしつこく猫を構った時
- 雷が鳴った時
- 花火の音が聞こえた時
何が気に障るのかは猫によって違いますが、「イカ耳になっている時=不安、恐怖、イライラの心理状態」だと知っておけば、猫に間違った対処をせずにすみますね。
「イカ耳」に他の言い方はあるの?
イカ耳という言葉自体、あまり知られていないようですが、イカ耳には他にも呼び方があります。耳を横に倒した姿が飛行機に似ているから「飛行機耳」、ステルス戦闘機のように見えるから「ステルス耳」など、見た目から名づけられることが多いようです。
イカ耳の時の猫はキッと目を見開いていることも多く、何となく跳びついてきそうだったり、攻撃してきそうだったりしますので、「飛行機耳」「ステルス耳」などの名前はピッタリです。これらの名前はSNSなどで猫の飼い主さんがつぶやき、「それは面白い!」と広まったのだそう。イカ耳も含めて、比較的最近の言葉なのではないでしょうか。
イカ耳が出たら要注意!猫と上手につき合う良い方法です
イカ耳の時の猫の気持ち、お分かりいただけましたか?今後は自宅の愛猫がイカ耳になっているのを見たら、「何が原因で不機嫌なのだろう」「何を怖がっているのだろう」とちょっと考えてみてください。猫の不機嫌や不安の原因を取り除いてあげることができれば、猫もきっと耳を立てて元のハッピーな気持ちになってくれるはずですよ。