2017年8月29日更新

人にはある骨。でも猫にはなぜ鎖骨がないのはなぜ?

後藤大介



獣医師

 

人も猫も同じ哺乳類。大きさや形は違いますが、持っている骨の種類は基本的には同じになります。でも人にあって猫にない骨があります。それが鎖骨です。

 

猫に鎖骨がない理由


鎖骨は、「肩甲骨」と胸の前にある「胸骨」を結ぶ骨です。鎖骨は肩甲骨を外側に維持するために使われる骨であり、人が鎖骨を骨折してしまうと肩を動かすときに痛みが生じたり、肩幅が狭くなったります。

猫の鎖骨は痕跡程度

一方、4本足で歩く猫は、前足を体の下に位置させて重心を安定させることが大切で、前足を開く動きはそれほど重要でありません。基本的に前足を前後に動かすだけでいい猫には、鎖骨の必要性が少なくなって鎖骨が退化してきたと考えれます。実際には、レントゲンを撮ると鎖骨の痕跡がうつることもありますが、筋肉の間に痕跡が存在するだけで実際の働きはないと言われています。ちなみに犬では痕跡も残っておらず、鎖骨は全くありません。

鎖骨がないメリット

鎖骨がないことで猫にはいくつかのメリットがあります。

猫が狭い場所をうまく通り抜けることができるのは鎖骨がないおかげだと考えられています。鎖骨がないと前足が体の横ではなく前(腹側)側につくため、肩幅を狭くすることができます。狭い隙間をするすると進むためには鎖骨が邪魔なんですね。

また、鎖骨は非常に骨折しやすい骨であり、人の全骨折の10%が鎖骨骨折だと言われています。鎖骨がないことで骨折のリスクが減るというのも、鎖骨がないメリットの一つだと考えれます。

鎖骨がある動物は手(前足)を使うことができる

人間以外に鎖骨がある動物には、サルなどの霊長類の他にハムスターなどのげっ歯類やウサギなどがいます。では、猫や犬と、ハムスターやウサギは何が違うのでしょうか?それは、前足の使い方をよく考えてみるとわかってきます。

犬や猫はフードを食べるときに基本的には前足を使いません。一方、ハムスターやウサギはエサを器用に前足で持って食べることができるのです。つまり、鎖骨のある動物は手(前足)をうまく使うことができるんですね。前足の走る機能を高めた動物では鎖骨が退化し、前足を起用に使う機能を優先させた動物では鎖骨が残っていると考えられています。

 

鳥の鎖骨は「願いの骨」

ちなみに前足を翼に進化させた鳥では、左右の鎖骨が癒合して「暢思骨(ちょうしこつ)」あるいは「叉骨(さこつ)」と言われるV字型の骨になっています。この暢思骨は英語で「Wish Bone」(願いの骨)と名づけられています。このV字の骨を引っ張り合って折れたときに、長い方を持っていた人の願いがかなうというジンクスから「Wish Bone」と呼ばれているそうです。

まとめ

人と猫は大きさや体のシルエットは大きく違っても、体を作る骨はほとんど変わりません。そんな中で、人にあって猫にない骨が鎖骨です。走る機能を重視した結果、鎖骨が退化したと考えられますが、猫に鎖骨があったらら人のように器用に手が使えるようになっていたかもしれませんね。

 
 

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