2017年8月5日更新

猫の宿命?愛猫のために知っておきたい腎不全【獣医師が解説】

後藤大介



獣医師

 

猫には腎臓の病気が多く、高齢猫の30%は腎不全を抱えているといわれています。また、腎不全は高齢の猫だけの病気ではなく若い子にも出て来るんです。

今回は愛猫を長生きさせるために知っておきたい猫の腎不全について詳しく解説いたします。

 

腎臓の働き

腎臓には大きく分けると、以下の3つの働きがあります。

老廃物の排泄

腎臓は体の中に溜まった老廃物を尿中に排泄するための臓器です。腎臓は血液の中に溜まった老廃物を排泄できる唯一の臓器であるため、腎臓が悪くなると老廃物が体に溜まってしまい、尿毒症を引き起こします。

水分や電解質の再吸収

腎臓は老廃物の排泄だけではなく、体に必要な水分や電解質を尿から再吸収するという働きも持っています。腎臓の機能が落ちて来ると、体に必要な水分や電解質が尿中に漏れ出してしまい、脱水や電解質の異常も起こってしまいます。

赤血球を作る指令を出す

腎臓には赤血球を作る指令を出す「エリスロポエチン」を産生するという働きもあります。腎臓を通る血液に貧血があると、腎臓はそれを察知してエリスロポエチンを産生し、貧血を改善させます。

腎臓病の種類

腎臓の機能が低下してしまう腎臓病は、病気の経過によって慢性腎不全と急性腎不全に分けられます。

慢性腎不全

慢性腎不全は、徐々に腎臓の機能が落ちてきてしまう病気です。通常加齢に伴う腎臓の変化が原因となりますが、腫瘍や腎結石などが原因となることもあります。数カ月以上の経過をたどり徐々に症状が悪化してきます。

急性腎不全

一方、急性腎不全は数日の間に一気に悪くなる腎不全です。尿路閉塞や中毒などにより腎臓の機能が急激に低下すると急性腎不全が起こります。急性腎不全は慢性腎不全と違い、完治する可能性のある腎不全ですが、数日の間に亡くなってしまうこともあります。

 

急性腎不全とは?

急性腎不全は数時間から数日の経過で一気に腎機能が悪化する病気です。

急性腎不全は若い猫にも多い

急性腎不全は年齢に関係なく起こります。腎不全というと高齢の子のイメージが多いですが、急性腎不全はその原因がさまざまであり、若い子でも発症するリスクが十分あります。

急性腎不全でよく見られる症状

急性腎不全では、突然元気や食欲がなくなり、嘔吐をするなどの症状が出て来ることが多いです。基本的に急性腎不全では、尿の量が減る「乏尿」や全く尿が出ない「無尿」という状態になるため、尿量は極端に減ります。オス猫で多い尿道閉塞では、トイレに何度も行くのに尿が出なかったり、ペニスを頻繁に舐める動作が見られます。

急性腎不全の原因

急性腎不全は以下のような原因で起こることが多いです。

1.尿道閉塞

猫の急性腎不全の最も多い原因は、オス猫の「尿道閉塞」です。尿道閉塞では、膀胱で発生した結石や炎症産物などが「栓子(せんし)」として尿道で詰まってしまうため、膀胱に溜まった尿を体の外に出すことができなくなり、急性腎不全が起こります。

尿道閉塞では腎臓は正常に働いており、腎臓より後ろに問題がある「腎後性腎不全」の代表です。メス猫でも尿道腫瘍や膀胱腫瘍などにより尿道閉塞が起こることがありますが、メス猫の尿道閉塞は比較的稀です。

2.中毒性物質の誤食

急性腎不全は、猫に対して腎毒性のある中毒性物質の誤食によっても比較的よく起こります。腎毒性を起こす物質としては、ユリ科植物、自動車の不凍液(エチレングリコール)、ブドウ、風邪薬や消炎鎮痛剤などの誤食が良く見られます。これらの中毒物質は、腎臓自体にダメージを与えて、腎臓自体の働きが落ちてしまう急性の「腎性腎不全」を引き起こします。

3.尿管結石

腎臓でできた結石が、腎臓と膀胱をつなぐ尿管に詰まってしまうことで起こる腎不全です尿管結石では、腎臓で尿を作っても膀胱へ尿を運ぶことができなくなってしまいます。こちらも、尿道閉塞と同じく「腎後性腎不全」に分類されます。

4.重度の脱水や低血圧

重度の脱水や低血圧があると、腎臓への血流が低下してしまい、腎臓で尿が作られなくなってしまいます。こういった腎不全を「腎前性腎不全」と呼びますが、以下のような原因によって引き起こされます。

  • 重度の脱水:激しい嘔吐や下痢、熱中症、水が飲めない環境、高用量の利尿剤や降圧剤の投与
  • 重度の心不全

急性腎不全はどう見つける?

では具体的に愛猫の急性腎不全はどのように見つけて行ったらいいのでしょうか?

急性腎不全の兆候

急性腎不全の最も特徴的な症状は尿量の低下です。いつもに比べて明らかにトイレが濡れている範囲が少ない場合は、急性腎不全の可能性があります。さらに嘔吐や元気の低下などがある場合は急性腎不全の可能性が高く、早めに動物病院へ行ってもらう必要があります。

特に、オス猫でトイレに行ってもほとんどおしっこが出ないという症状がある場合は、尿道閉塞の可能性が高く、一刻も早く動物病院で診てもらわないといけません。また、急性腎不全の原因とされている、ユリ科の植物の誤食や不凍液を舐めた場合などには症状が出る前に動物病院で診てもらうことが大切です。

検査の方法

急性腎不全の診断は、基本的には血液検査で行われます。血液検査で腎臓の数値(血中尿素窒素およびクレアチニン)の異常があれば腎不全であることはわかります。急性腎不全か慢性腎不全かは、症状の経過や年齢などから推測することが多いです。また、尿量の増減(急性腎不全では尿量が減少するが慢性腎不全は増加する)で急性・慢性の判断をすることもあります。

急性腎不全の原因を探り、治療方法を決めるためには、尿検査や超音波検査が必要になることが多いです。尿道閉塞に関しては、尿道カテーテルで尿道が詰まっているかどうかを調べることで原因の確定が可能です。

急性腎不全の治療はどうする?

では、動物病院で急性腎不全と診断された場合には、 どのように治療をしていくのでしょうか?

治療方法

急性腎不全の治療は、原因によって大きく異なりますが、大きく分けて原因治療と点滴に分かれます。

原因治療

原因治療は急性腎不全を起こしている原因に対する治療です。

尿道閉塞では閉塞を取るためにカテーテルをペニスから通します。詰まっている石を膀胱の方へ戻す必要があり、痛みを伴うことも多いので、鎮静や麻酔を使うこともあります。

中毒物質の誤食は、食べてまだ2,3時間であれば吐かせて急性腎不全を予防することができることもあります。ただし、一度吸収してしまった毒物は基本的に解毒剤がないため、点滴で尿中への排泄を促して、できるだけ中毒症状が起こらないようにします。

尿管結石の場合は、手術で結石を摘出して尿管にカテーテルを入れることもありますが、手術の難易度は高く専用の器具が必要になるため、専門病院でないと行えません。

点滴治療

原因に関わらず、急性腎不全では溜まってしまった老廃物を体の外に出すために点滴治療が必要になることがほとんどです。脱水や低血圧でも、点滴をすることで血圧をあげることができるため、点滴が必要になります。

また、尿管結石では特殊な点滴をして尿量を増やすことで尿管から結石を押し出せることもあります。

急性腎不全の治療期間

急性腎不全の治療期間は1日~1週間程度になることが多いです。尿路閉塞で腎臓の数値がそれほど上がっていない場合は、閉塞の解除のみで治療が終了することもあります。中毒や尿管結石の治療には数日かかることが多いです。

原因に関わらず、急性腎不全は発症してから数時間~数日で山を迎えることが多いですが、早期に治療すれば完治できる可能性も十分ある病気です。治療のタイミングが遅れてしまった場合はそのまま亡くなってしまったり、急性期を脱しても腎機能が完全に回復せず慢性腎不全に移行してしまうこともあります。

急性腎不全の治療は時間との勝負であることも多いため、少しでも急性腎不全を疑った場合には早めに動物病院で診てもらうことが大切です。

急性腎不全を防ぐために

急性腎不全の原因の大部分はオス猫の尿道閉塞です。そのため、尿道閉塞の原因となる膀胱結石や尿結晶などがないかどうかを、超音波検査や尿検査で定期的にチェックしてもらいましょう。必要があれば結石用のフードなどを食べさせて、尿路閉塞のリスクを減らしておくことも大切です。

それから、腎不全を起こす中毒物質を誤食するリスクを排除しておくことも急性腎不全の予防には必要です。猫の届く範囲内に中毒物質を置かないようにしておきましょう。

慢性腎不全とは?


慢性腎不全は、腎臓の機能が徐々に落ちてくる病気であり、高齢猫の最も一般的な病気の一つです。

慢性腎不全は高齢猫での発生が非常に多い

慢性腎不全は、加齢とともに徐々に腎機能が落ちるケースが多いため、慢性腎不全の大部分は7歳以上の高齢猫です。ただし、腎盂腎炎などから慢性腎不全を起こすこともあるため、若い猫でも慢性腎不全を発症してしまうことはあります。

慢性腎不全でよくみられる症状

慢性腎不全は徐々に進行しますので、しっかり愛猫の様子を見ていればその症状に気付けることが多いです。

初期症状は多飲多尿

慢性腎不全の初期症状は多飲多尿です。これは、猫の慢性腎不全では、最初に必要な水分を再吸収する能力が落ちやすいためです。慢性腎不全の初期では、尿を濃くすることができず薄い尿を大量にします。それにより体の水分が減ってしまうのを補うために水をたくさん飲むようになるんですね。

進行すると食欲不振や脱水が

慢性腎不全が進行すると、体に老廃物が体に溜まり始めるため、食欲不振や嘔吐が出て来ることがあります。尿量が増えて脱水しやすい状態にあるのに食事から水分をたくさん取れないと、脱水が進んで腎不全が一気に悪化します。

脱水があるかどうかは、背中の皮膚の「テントテスト」と言われるもので簡単にわかります。猫の背中の皮膚をつまんで離してみましょう。1~2秒以内に元に戻らない場合は、脱水している可能性が高いんですよ。

慢性腎不全の末期症状

慢性腎不全の末期は「尿毒症」と言われる状態になります。尿毒症では腎臓から排泄されるはずの尿毒症物質が体の中に非常にたくさんたまってしまい、気分が悪くよだれや嘔吐が出てきます。さらには、脳神経に影響を起こしてけいれんなどが起こることもあります。

ただし、すべての子でけいれんが起きるわけではありません。静かに弱って亡くなっていく子も少なくありません。慢性腎不全の猫では突然亡くなってしまうことは珍しく、通常、徐々に元気や食欲が落ちていって状態が悪化して亡くなることが多いです。

慢性腎不全の合併症

慢性腎不全にはいくつかの合併症がありますが、最も多いのは以下のような合併症です。

  • 高血圧
  • 心不全
  • 網膜剥離
  • 脳の出血

慢性腎不全では、腎不全に伴う高血圧が心臓や血管へ負担をかけ、上記のような合併症が起こります。突然の視力の喪失や呼吸の悪化、発作などが起きた場合は、腎不全による合併症が起きている可能性があります。

猫が慢性腎不全になりやすい理由

猫は他の動物に比べて圧倒的に腎不全になりやすい動物です。その原因は腎臓への負担の大きさによると考えられます。

猫はもともと砂漠で生活していた動物であり、少ない飲水量でも生きていけるように尿をできるだけ濃くし、必要な水分を蓄えるよう腎臓が働きます。猫のおしっこが臭いのは、老廃物が濃縮されるおしっこを作っているからです。

濃いおしっこを作るためには腎臓は常に全力で働かないといけません。自然界の猫の寿命は5年程度と言われており、それくらいの期間であれば腎臓は機能を維持することができます。ただし、現在の猫の寿命は15歳前後であるため、若いころから負担がかかっている腎臓は、年齢とともに弱ってしまうと考えられます。

慢性腎不全をどう見つける

慢性腎不全はどのように疑ってどう診断していくのでしょうか?

慢性腎不全の兆候

猫の腎不全の初期症状は尿量の増加として出てきます。尿が増えるため、体が脱水しないよう水分を多くとるようになります。そのため、早期発見できる初期症状は多飲多尿です。

少し進行してくると、飲水だけでは脱水を予防できなくなり、脱水してしまいます。テントテストで皮膚の戻りが悪くなったり、歯茎が冷たい場合や目が落ちくぼんで見える場合も脱水の可能性があります。

さらに進行すると食欲減退や嘔吐が出てきます。また、体がだるく毛づくろいをしなくなることが多いため、毛艶が悪くぼさぼさになってくることも多いです。

慢性腎不全の検査

慢性腎不全で最も一般的な検査は、血液検査による腎臓の数値のチェックです。一般的な動物病院では血液検査でBUNやクレアチニンなどを測定しますが、これらの物質は本来腎臓から排泄されるべき老廃物です。つまり、この数値が上がっているということは、腎臓の機能が落ちて老廃物が溜まり始めているという証拠になるんですね。

ただし、これらの数値が上がってくるのは腎臓の3/4が機能しなくなってからだと言われています。その前に尿比重の低下・尿たんぱく/クレアチニン比の上昇、SDMAの上昇などがみられることがあるため、BUNやクレアチニンに異常がない場合はこれらの検査を行うこともあります。

また、腎臓のエコー検査をすることで、腎臓の腫瘍や腎結石、水腎症や腎嚢胞など腎不全を起こす特別な原因を見つけることができることもあります。

慢性腎不全のステージと治療方法

慢性腎不全のステージ

猫の慢性腎不全は、IRIS(International Renal Interest Society)によってステージ分類が行われており、重症度によってステージ1~4までに分類されます。ステージは重症度だけでなく治療法を決めるうえでも重要です。

ステージ1

ステージ1は、もっとも初期の腎不全であり、一般的な検査では異常が見つからないケースが多いです。ただし、腎機能はすでに低下してきていることが多く、SDMAと言われる特殊な血液検査では異常が見つかります。

そのため、引水量や尿量が増えてきているのに腎臓の数値に異常が出てこない場合は、外部検査センターに血液を送ってもらい、SDMAを測定してもらうといいでしょう。たんぱく尿や高血圧があればこの時点から投薬治療を行います。

ステージ2

ステージ2では、一般的な血液検査であるBUNやクレアチニンに異常が出て来ます。このステージから食餌療法を始めることが多いです。

ステージ3

ステージ3では腎臓の数値がさらに高くなり、食欲不振や悪心(吐き気)などが出て来ることが多いです。ステージ3からは脱水を改善するための定期的な補液や食欲増進剤などの投与を行うこともあります。

ステージ4

ステージ4は重度の腎不全であり、尿毒症を引き起こし、食欲の廃絶や頻回の嘔吐がみられることもあります。数日おき~毎日の補液や、体重を維持するための強制給餌が必要になることもあります。

慢性腎不全の治療方法

慢性腎不全はその状態によっていくつかの治療法があります。その治療法を大きく分けると服薬・点滴・食事治療になります。

服薬

腎不全の時に使用する薬の種類は目的によってたくさんありますが、以下のようなものがその代表です。

尿蛋白の抑制・高血圧の改善

腎不全の時には尿にたんぱくが漏れるたんぱく尿が良く見られますが、たんぱく尿は腎臓へのダメージを増し、腎不全を進行させてしまうことがあります。

また、腎不全の猫では高血圧になりやすいのですが、高血圧は腎不全の悪化要因になるとともに、心不全や眼底出血・脳出血など腎不全の併発疾患の原因にもなります。

血圧が高いと尿たんぱくが出やすいため、尿たんぱくの抑制と高血圧の改善に使うお薬はほぼ共通しています。慢性腎不全に使う尿たんぱく抑制および高血圧改善薬は以下の通りです。

  • ACE阻害薬:ベナゼプリル(フォルテコール)・テモカプリル(エースワーカー)など
  • アンギオテンシンⅡ受容体阻害薬:テルミサルタン(セミントラ)
  • プロスタサイクリン:ベラプロストナトリウム(ラプロス)
  • カルシウムチャネルブロッカー:アムロジピンなど
リンの吸着

慢性腎不全になると、リンの排泄能力が低下し、体の中にリンが溜まってきてしまいます。高リン血症は食欲減退や悪心を引き起こすだけでなく、ホルモンバランスを乱して骨折などのリスクを増やしてしまいます。

そこで、慢性腎不全でリンが増加する子には、リン含有量の少ない腎不全療法食を与えますが、それでもリンが上がってしまう場合はリンの吸着剤を使うことがあります。リンの吸着剤には「レンジアレン」や「カリナール1」などがあります。

尿毒症物質吸着剤

腎不全の際に体の中に溜まってしまう「尿毒症物質」を腸から吸収させないように、吸着して便に出してしまうお薬が尿毒症物質吸着剤です。このお薬によって、腎臓の数値が上がりにくくなる効果が期待できます。「クレメジン」や「コバルジン」、「カリナール2」などがこちらに当たります。

その他

慢性腎不全の治療に使うその他のお薬は以下のようなものになります。

  • 胃薬・制吐剤:慢性腎不全の時に出て来る食欲不振や嘔吐などの症状を緩和するために使う薬です。H2ブロッカー、メトクロプラミド、マロピタントなどがあります。
  • カリウム製剤:腎不全の猫では低カリウム血症になりやすく、低カリウム血症は食欲不振や嘔吐の原因になります。低カリウム血症がある場合はカリウム製剤を投与することもあります。
  • エリスロポエチン:慢性腎不全ではエリスロポエチンの産生も低下してしまうため貧血が起こることがあります。慢性腎不全で貧血がある場合は、エリスロポエチンの注射を使用することもあります。

皮下補液

皮下補液は、腎不全のステージ3~4の脱水によって食欲不振や悪心がある猫の状態を改善するのに非常に有効です。脱水や電解質の異常を補正し、元気や食欲などの一般状態を向上させてあげることができます。

ただし、皮下補液はあくまで脱水の改善が目的であり、腎不全自体を治療する効果はありません。腎不全だから点滴をするということではなく、腎不全は投薬や食餌療法で治療しつつ、必要に応じて点滴をするというのが現在の猫の腎不全のスタンダードな治療です。

また、ひどい尿毒症があり、状態がかなり悪い場合には血管に直接点滴を入れる静脈点滴を行うこともあります。ただし、静脈点滴は急速で入れることはできないため、入院が必要になります。

食餌療法

一般的な慢性腎不全で最も大切なのが食餌療法です。腎不全食を食べることで、一般食を食べているより慢性腎不全と診断されてからの寿命が約3倍伸びるという報告が複数あります。

慢性腎不全の療法食には以下のような特徴があります。

  • 低たんぱく・低リン・低ナトリウム
  • ω3脂肪酸の強化

このような腎不全用の療法食をしっかり食べることで、腎臓への負担が減り、慢性腎不全の進行スピードを大きく遅らせることができます。

慢性腎不全の治療期間

急性腎不全と違い、慢性腎不全では基本的に腎機能の回復は望めません。そのため、腎不全の治療はあくまで「悪くなってしまった腎臓でもうまく生活できるための助けをし、腎不全の悪化を防ぐ」ことが目的になります。

つまり、慢性腎不全は完治することなく、一生治療が必要であるということです。治療に関しては食餌療法のみでいい子もいれば、毎日点滴が必要な子もいます。慢性腎不全と診断されてもうまく治療をすることで数年間元気で生活できる子も少なくありません。「どうせ治らないなら……」あきらめてしまうのではなく、まずは愛猫の状態をしっかり診てもらい、どんな治療が必要かをかかりつけの先生とよく相談するようにしましょう。

薬の副作用

慢性腎不全の薬には、副作用はそれほど多くはありません。ただし、慢性腎不全で脱水がある場合には、血圧を下げる薬によって低血圧を起こすリスクがあり、一気に状態を悪化させてしまうことがあります。

食欲が落ちているときには脱水がある可能性があります。そのため、慢性腎不全の薬を飲んでいる猫で食欲不振になってしまった場合は、投薬により低血圧を起こしてしまうことがあるため、必ず獣医師に相談してから飲ませるようにしてください。

慢性腎不全の猫で気を付けてあげること


慢性腎不全は治る病気ではありませんが、うまくコントロールできれば元気に長く暮らすことも可能な病気です。そのためにはしっかりと検査をしてもらい、必要な薬や処方食を与えてあげることが大切です。

飲水量を増やす

慢性腎不全の子にはできるだけ水分を取らせることも大切です。水分を取らせるために以下のような工夫ができますので、ぜひ試してみてくださいね。

  • 水飲み場を数カ所に増やす
  • 流水を好んで飲む子も多いため、自動給水器などを使う
  • ウェットフードに切り替える(飲水量は減りますが、トータルの水分摂取量は増えます)

療法食を食べてくれない場合

慢性腎不全の猫はもともと食欲が落ちていることが多いため、療法食をなかなか食べてくれない子もいます。療法食を食べてくれない場合は以下のような方法を試してみましょう。

  • お湯でふやかして温めてみる
    においが出やすくなり、食欲をそそります
  • 肉や魚の煮汁をかける
    塩などで味付けしていない煮汁を使ってください
  • 好きなおやつやまたたびなどをトッピングする
    あくまでトッピングはトッピングですので、少量だけにしてください
  • フードの種類を切り替える
    腎不全用の処方食は各メーカーから出ています。それぞれ味や風味がいますので、1種類を食べない場合は他のメーカーのフードに変更してみましょう。
  • ウェットフードにする
    ウェットの腎不全療法食は高額にはなりますが、嗜好性も良く水分もたくさん取れるというメリットがあります。ウェットとドライを混ぜるなどしてもいいでしょう。

慢性腎不全の原因と予防

基本的に治ることのない慢性腎不全ですが、何か予防はできるのでしょうか?

慢性腎不全の原因は?

慢性腎不全の原因は基本的には加齢によるものです。そのため、慢性腎不全を確実に予防できる方法はありません。

ただし、腎臓に負担のかかる塩分の多い食餌や水分不足は、腎不全の発症リスクを増やしてしまいます。また、歯周病菌が血液を介して腎臓に炎症を起こし、慢性腎不全を引き起こす原因になる可能性が指摘されています。

歯石を予防する

歯周病の予防には歯石を予防することが大切です。若いうちから歯磨きをして歯石予防をしておきましょう。また、歯石が付いてしまった場合には、歯石除去(スケーリング)をしてもらうのもいいでしょう。ただし、歯石除去には全身麻酔が必要になりますので、歯石除去が必要な場合は若いうちにやってもらっ他方がいいでしょう。

若いころからのフード選びも重要

腎臓は老廃物を排泄するため常に働いているため、食餌でできるだけできるだけ腎臓に負担をかけないことは、将来的な腎不全を引き起こさないためには大切です。

腎臓が健康な若いうちから腎不全フードを食べるメリットは全くありませんが、腎臓に負担の大きい塩分の多いフードは厳禁です。塩分が多いと嗜好性が高まるため、安くて食いつきのいいフードには塩分が多く含まれていることが多いため、気を付ける必要があります。

ナトリウム濃度は最低0.2%は必要になりますが、0.5%以下に抑えられているフードは腎臓にやさしいフードと言えるでしょう。ナトリウム濃度が1%を超えるフードは腎臓への負担が大きいので注意してくださいね。

 
 

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