猫の妊娠・出産と知っておきたいリスク【獣医師が解説】

猫の出産はとても感動的で、生まれたての子猫は例えようのないほどのかわいらしさです。

ただし、猫の出産は命に関わる一大事です。

猫の妊娠・出産には負担やリスクも大きく、「一度出産を見てみたいから」とか「子猫が欲しい」という安易な考えで妊娠・出産させてしまうと、不幸な結果になってしまうこともあります。

今回は、猫の妊娠・出産について知っておいて欲しいことを記事にいたします。

現在、愛猫の妊娠・出産を考えている飼い主さんは、今回の記事内容をしっかり頭に入れて、本当に産ませることができるのかもう一度考えてみてくださいね。

猫の妊娠

まずは猫の妊娠の概要と気を付ける点を見ていきましょう。

猫の妊娠期間

猫の妊娠期間は約60~63日です。妊娠期間には多少幅があり、交尾から数えて58日~65日くらいの間で出産することがあります。

猫は交尾排卵動物であり、発情を迎えたメス猫は、交尾をしないと排卵しません。

つまり、発情中の猫が外に行った後に発情が終わった場合には、交尾をすませている可能性が高いんです。

そして、猫の交尾による妊娠率はかなり高いため、交尾をしていれば妊娠していると思ったほうがいいでしょう。

妊娠した猫の見た目の変化は妊娠45日目くらいにならないとわからないことが多いです。

そのころになるとおなかが大きくなって若干乳腺が発達してくることもあります。

ただし、出産1週間くらい前まであまりはっきりした変化が起きないこともありますので、様子をしっかり見ていないと突然お腹が大きくなって子供が産まれたということになってしまうことも珍しくありません。

獣医師に相談は必須

妊娠・出産に関しては一度しっかり獣医師に相談してください。

その理由はたくさんありますが、大きな理由は以下の通りです。

妊娠・出産に伴うリスクの有無の確認

  • ウイルス感染によるリスク:FeLVやFIVなどのウイルス感染がある親の場合、流産や子猫の先天性奇形、ウイルスの伝搬などのリスクがあります。また、母猫自身にも妊娠・出産に伴うストレスによって、エイズや白血病の発症のリスクがあります。
  • 親の病気のリスク:症状が出ていなくても腎不全や心不全、糖尿病などを潜在的に抱えている場合には、妊娠・出産に伴って病気が悪化して症状が出てきてしまう可能性があります。
  • 親の病気による難産のリスク:臍ヘルニアや会陰ヘルニアなどのヘルニアがあると、妊娠・出産に伴う腹圧の上昇により、ヘルニアが大きくなったりそこから子宮が出てきてしまうことがあります。また、昔に交通事故などで骨盤骨折をしたことのある猫では、産道が非常に狭く、自然分娩が不可能なケースもあります。

妊娠・出産スケジュールの確認

交尾~妊娠~出産の約2か月はあっという間に過ぎていきます。

出産間際になってから、これは大丈夫なのかと不安になっても、一度も診察を受けていない状況であれば今現在どのような状況なのかが全く分かりません。

交尾から出産までにどういったスケジュールで診察を受ける必要があるのか、また出産までの間にどのような変化があり、どういったリスクがあるのかを獣医師に確認するということが、安全な出産のためには大切です。

一度も診察を受けていない状態で、「今出産しているんですが、大丈夫ですか?」と聞かれても、獣医師としては答えようがありません。

獣医師が母猫や胎児の状態をしっかり把握していればそれだけ確実な対応が可能になりますので、必ず診察を受けておくようにしましょう。

胎児の数やサイズの確認

後からも解説しますが、妊娠診断では妊娠の有無だけでなく、胎児の数や胎児が元気に育っているかどうか、さらには胎児の大きさが産道を通れるサイズなのかなどの確認ができます。

これらを確認することで、何頭出産するのかや、自然分娩の可否などがわかります。

出産のリスクや不安を減らすためにもこれらを確実に調べてもらっておきましょう。

妊娠の確認

妊娠の確認は以下のような方法で行います。

妊娠の確認は妊娠30日以降に超音波検査で

妊娠の確認は交尾後30日以降で行うことができます。最初に出来る妊娠検査は超音波検査です。

超音波検査では30日以降で妊娠確認できることが多いため、まずは交尾後30日以降に動物病院を受診するようにしましょう。

胎児の数やサイズの確認はレントゲン検査で

また、妊娠の頭数や子どものサイズはレントゲン検査でわかりますが、レントゲン検査は妊娠初期には胎児への影響が懸念されますのであまり勧められません。

最低妊娠50日以降でレントゲン検査をして子供の頭数を調べたほうがいいでしょう。

骨盤と仔猫の大きさの関係(産道を通れるサイズかどうか)を調べるためには、妊娠57日前後にレントゲン検査を受ける必要があります。

猫の妊娠中に気をつけること

妊娠中には以下のようなことに気を付けてください。

妊娠初期には薬に注意

妊娠初期のワクチン接種やある種の薬の使用は胎児への影響があるといわれていますので、妊娠している可能性がある場合は、必ずその旨を獣医師に伝えて、ワクチンや薬などの使用を相談してください。

妊娠期間中はカロリーを増やす

妊娠中は子供の成長のためにもたくさんのエネルギーが必要になります。

特に明らかにお腹が大きくなってくる妊娠後期には子猫の栄養要求量も増えてくるため、普段の2倍近いカロリーが必要になることもあります。

妊娠初期に太り過ぎるのは良くないですが、出産が近くなって来たら、いつもの1.5倍~2倍程度のフードを与えるようにしましょう。

出産が近くなったら産床を準備

出産を1週間前くらいに控えた場合には、産床を準備しましょう。

少し暗めの隠れた場所に、タオルを敷いた段ボールなどを用意して、そこで安心して休めるようにしてあげてください。

できれば猫の様子がわかるような覗き窓があるといいでしょう。

妊娠させる年齢や回数は?

妊娠させるなら1歳以降で

猫に初回発情があった場合、猫が妊娠可能な体になった証拠です。

通常初回発情は生後半年~1年できますので、その時期から妊娠は可能です。

ただし、生後半年では、生殖器を含めた内臓はまだ完全に大人になりきっていません。

妊娠をさせるのであれば、1歳以降で行うのが理想です。

最終出産は6歳をめどに

猫には閉経がないため、理論的には死ぬまで妊娠は可能です。

ただし、妊娠・出産には大きな負担やリスクがありますので、高齢になっての出産はすすめられません。

最終出産は6歳くらいまでにしておいた方がいいでしょう。

猫は授乳が終わると発情しますので、年に2~3回の出産は可能ですが、年2回以上の出産も体への負担が大きいです。

できれば、8か月~1年以上空けて妊娠させてください。そのため、出産回数は多くても6~7回くらいまでがいいでしょう。

猫の妊娠のデメリット

妊娠のデメリットには以下のものがあります。

難産のリスク

猫の難産は少ないですが、難産になることもあります。難産は子供の命だけでなく、母体の危険を伴うこともあります。

妊娠・出産によるストレス・負担

妊娠・出産には体力を使うだけでなく、子供を産む環境を作るためのストレスがかかります。

子供に栄養を与えなければならない上に子供を守るために非常にナーバスになるため、母猫への負担が大きくなります。

避妊手術をしていないことによるリスク

妊娠・出産させるためには避妊手術をしておくことはできません。

猫の避妊手術には乳腺腫瘍・糖尿病・子宮卵巣の病気などを予防し、寿命を延ばす効果があることがわかっています。

避妊手術のメリットを受けられないのもデメリットの一つですね。

偽妊娠とは

猫には妊娠をしていなくても妊娠をしたような体の変化を起こす「偽妊娠」というものがあります。

これは、妊娠していないのに体の中で妊娠したのと同じようなホルモンの変化が起こることが原因です。

偽妊娠が起きると、乳房の発達や乳汁の分泌、食欲の減退、巣作り行動などが起こります。

偽妊娠は発情後2週間~4週間くらいで起こることが多く、1週間~4週間程度続くことがあります。

基本的には自然に収まることが多いですが、中には乳腺炎や子宮の病気などにつながってしまうことがあります。

猫の出産前の過ごし方

愛猫の安産のために、飼い主さんが気を付けてあげられることはいくつかあります。

猫が安心して出産を迎えられるよう、以下のような環境作りやお世話をしてあげるといいでしょう。

出産前の環境作り

猫の出産のためには、出産・授乳を安全に行えるような安心できる環境を作ってあげることが大切です。

出産前の猫にとって理想的な環境は以下の通りです。

静かな隅の場所

人通りが多い玄関や廊下などは猫が落ち着いて出産できません。

また、猫は音に敏感なので、洗濯機やテレビなど大きな音が鳴る家具の近くもあまりよくはありません。

できるだけ静かで人通りの少ない部屋の隅の方に、落ち着ける場所を確保してあげましょう。

囲まれた場所

産まれた子猫を隠せる場所も必要となりますので、何か目隠しになるようなもので囲まれたスペースを確保してあげることも大切です。

大きめの段ボールなど四方を囲めるものを準備しておいてあげるといいでしょう。

暖かい場所

子猫は体温が下がりやすいので少し暖かめの場所を確保しておくこともおすすめです。

夏場であれば冷房の風が直接当たらない場所を準備しておきましょう。

薄暗い場所

余りに明るい目立つ場所は、猫の出産場所としては適切ではありません。

直射日光が当たらず、少し暗めの場所に寝床を作ってあげてください。

出産前のお世話の方法

出産を迎えるにあたり、お世話の方法も少し考えてあげる必要があります。

フードの量はいつもより多めに

妊娠~出産までの間は、子猫の成長分フードを増やす必要があります。

出産直前はあまり食べないこともありますが、妊娠が分かったらフードの量は1.5~2倍程度に増やしましょう。

また、食が細い猫の場合には、フードの種類を変えてみてもいいでしょう。

一般的な成猫のフードに比べ、子猫用フードはカロリーが高く、妊娠中の栄養補給にむいています。

妊娠中でもあまり食べない猫の場合には、お腹の子供のためにも子猫用フードを与えてみて下さい。

トイレのにおいに注意

基本的にトイレはいつも通りで問題ありません。

ただし、出産が近づくにつれて神経質になる猫もいますので、においの強い洗剤などでトイレ掃除をするのはやめておきましょう。

母猫の様子の観察

出産の母親の様子は、元気や食欲の有無など一般状態のチェックが基本です。

そのほか、流産や早産の可能性もあるので、陰部からオリモノがないかどうかの確認もできればしておきましょう。

それから、母猫は出産が近くなると巣作り行動を取ることが多いです。

しきりに床を掘ったりタオルなどを整えるような動作をする場合には出産が近い証拠ですので、特にしっかり様子をチェックするようにしてください。

難産に特に注意が必要な猫は?

以下のような猫は難産になりやすいので特に注意をしてください。

洋猫

洋猫の純血種は難産になりやすいと言われています。一方、日本猫では難産はあまり多くないです。

肥満や小柄な猫

肥満の猫は難産になりやすいため、あまり出産に向きません。また、あまりに痩せている猫や非常に小柄な猫も難産になりやすく、注意が必要です。

ウイルス感染症や慢性疾患を持っている猫

猫エイズ(FIV)や猫白血病(FeLV)ウイルスなどに感染していると、難産や死産などのリスクが高くなります。

また、妊娠中に感染症にかかっても難産や死産の可能性が高くなります。

他にも腎臓病や腎臓病などの慢性疾患を持つ猫でも難産になりやすく、妊娠・出産の負担が大きいため妊娠させないようにしてください。

出産が近くなったら獣医師へ報告

交尾・妊娠時に動物病院へかかっておき、出産が近くなったらかかりつけの先生に電話連絡しておきましょう。

出産時のアドバイスがもらえる可能性がありますし、病院によっては緊急時の対応方法や緊急の連絡先を教えてくれることもあります。

どれくらい対応してくれるかは動物病院によって違いますが、普段からまめに動物病院を受診して、信頼関係をしっかり作っておくことがいざという時のためには大切です。

猫の出産の概要

では次に、実際の猫の出産について勉強してみましょう。

一回で生まれる子猫は?

猫は多産の動物であり、通常1回あたり3-6頭出産します。

1回の出産数のギネス記録は実に19頭です。

1-2頭の少数の妊娠のケースもありますが、胎児が弱かったり、大きくなりすぎて難産になるなど、少数の妊娠は注意が必要です。

猫の毛色に関する遺伝子はかなり複雑であるようです。

また同期複妊娠と言われる、2頭以上の違う父親の子供を同時に妊娠するケースもあるため、兄弟姉妹でも毛の色のバリエーションは非常に豊富です。

猫の出産の前兆

猫の出産兆候ははっきりしないことも多いです。

一般的には出産数週間前から巣作り行動をはじめ、出産数時間前には産床から出てこなくなります。

あまり人慣れしていない猫の場合、人が様子を観察していると出産が始まらないこともあるので、あまり何度も確認しに行かない方がいいこともあります。

猫の出産の様子

猫の出産は陣痛から始まります。

定期的にお腹を収縮させるような行動がある場合は陣痛があり出産が始まったことを意味します。

猫の強い陣痛があると通常30分以内で出産が始まります。

出産時には産道が開口し子猫が出てきます。子猫の30%は逆子だと言われていますので、後ろ足から出る逆子で生まれてきても特別問題ありません。

子猫が産まれた後に、胎盤が後産(あとざん)として出てきます。

胎盤は緑~赤褐色のドロッとした物体ですが、母猫が食べてしまってわからないこともあります。

後産は母猫が食べても特に問題ありませんが、下痢をすることもあるので、落ちていたら片付けてください。

子猫と子猫の出産間隔は2時間以内、すべての出産が終わるまで数時間~10時間程度かかると言われていますが、その子によって時間はバラバラです。

一般的に出産経験が乏しい母猫ほど時間がかかり、何度か出産している母猫では出産にかかる時間は短くなります。

出産時に見られるトラブルとその対処法

猫の出産の多くは安産ですが、出産時に問題が出て来ることも珍しくはありません。

そのトラブルの代表的な例と、対処法についても知っておきましょう。

難産

猫には難産は多くはないとはいえ、そのリスクはある程度はあります。

猫の難産の見極めは難しいですが、以下のような場合には難産の可能性が高くなります。

  • 強い陣痛が来ていてるのに1時間以上たっても生まれてこない
  • 陰部から子猫の体の一部が出ているのに5分以上出産が進まない
  • 2-4時間以上たっても次の子が生まれてこない
  • 緑っぽい液体が出てきているのに産まれてこない(胎盤剥離の可能性)

このような状態が見られた場合には、まずは動物病院に電話で相談しましょう。

必要がないのに動物病院に連れて行くと、出産が途中で止まってしまうこともあるので、まずは電話で相談されることをおすすめします。

母猫の状態の悪化

出産は子猫も母猫も命がけのイベントであり、時に命を落とす可能性もあります。

以下のような場合には母体の命の危険がある可能性もあるので、注意してください。

  • 母猫がぐったりして生まれた子猫のお世話をしない
  • 陰部から大量の出血がある
  • 口を開けて呼吸している

母猫の状態が明らかにおかしい場合には、動物病院で診てもらう必要があります。

子猫の異常

子猫は産まれてすぐに「ニャーニャー」鳴いて、母親のお乳を吸うために母猫のお腹をまさぐります。

ほとんど動かずお乳を吸え名ていない場合は子猫が弱っている可能性がありますので、すぐに動物病院に連絡をしましょう。

また、お乳を吸っても鼻から出てきてしまう場合は、上あごに穴が開く「口蓋裂」という病気の可能性があります。

口蓋裂を持つ子猫は栄養不良や肺炎などを引き起こし、亡くなってしまうことも多いので、早めに動物病院で診てもらいましょう。

死産・流産

猫の場合、死産と流産のはっきりした区別はありませんが、死んだ子猫が産まれてくる死産は多いです。

死産となった子猫の多くは、健康に産まれた子猫とほぼ同じか若干小さく、見た目は普通の子猫です。

ただし、死産の子猫は産み落とされてから全く動かず、何も反応がありません。

口を開けても力を入れない(生きている子猫は口を閉じようとします)場合には、死産である可能性が高いです。

猫の産後のお世話はどうしたらいい?

猫の産後のお世話も勉強しておきましょう。

 

母猫のお世話に関する注意点

産後の猫をお世話をするときには、以下の点を守りましょう。

  • 必要以上にかまいすぎない
  • フードやお水はできるだけ産床の近くに
  • 子育てしている場所はできるだけ静かに

基本的には、子猫のお世話は母猫に任せっぱなしにした方がうまくいきます。

母猫が安心して子育てできる環境を作りつつ、母猫と子猫の様子を見てあげるようにしてください。

同居の父猫をどうする?

お家に父猫が同居していても、基本的に父猫は子育てをしません。

母猫と父猫の仲があまりよくない場合には、父猫が近くにいることで母猫が安心して子育てをできないこともあります。

常に一緒にいるような仲の良いオスメスでない限り、父猫を近くに寄せるのはやめておきましょう。

もし、父猫と母猫の仲が良く、父猫が子猫を舐めるなどの子育てをしている場合には、そのまま任せておいても良いでしょう。

ただし、最初数日は、父猫が子猫を噛んでしまったり、母猫が嫌そうにしていないかどうかをしっかり見ておいてください。

子猫の食事とトイレは?

生後3週くらいまでは、子猫は母乳を飲んで育ちますので飼い主さんが子猫用のフードを与える必要はありません。

また、同じくらいの時期まで子猫の尿や便は、母猫が舐めて出してあげます。

そのため、飼い主さんは母猫のトイレのお世話をするだけで特に子猫のトイレも気にしなくてもいいでしょう。

母猫は子猫につききり?

出産後の母猫は基本的に子猫のそばを離れようとはしません。

特に警戒心の強い猫や、飼い主さんにあまり懐いていない猫では、子猫を頑張って守ろうとし、ずっと子猫の近くにいます。

ただし、飼い主さんに心を許している猫や甘えたがりの猫は、子猫のそばを離れて飼い主さんの近くに来ることもあります。

産まれたての子猫は数時間おきの授乳と尿のお世話が必要となりますので、1時間以上子猫のもとを離れる場合は、子猫のそばに戻してあげる必要があります。

子猫のそばを離れる時間が長い場合には、育児放棄の可能性もあります。

子猫の体重や元気などをしっかりチェックし、育児放棄が疑われる場合には飼い主さんが人口哺乳などをしてあげなければならないかもしれません。

猫の産後の注意点

母猫と子猫の産後の注意点は以下の通りです。

猫の出産の異常行動

出産後に自分の子供を食べてしまったり、育児放棄をしてしまうことがあります。

特に、出産環境が悪く安心して育児ができない場合や、栄養状態が悪く育児に不安がある場合にこのような行動が起こることが多いです。

できる限り出産・育児の環境を整えてあげてしっかり栄養を与えるようにしましょう。

 

 

母猫の様子

以下のような点を中心に母猫の様子をチェックしておきましょう。

元気・食欲

まずチェックしたいのは母猫の元気食欲です。

出産後数日はあまり食べないこともありますが、しっかり元気があるようであればそれほど心配はいりません。

ただし、出産後、明らかに元気がない場合やまったく食べない場合には、出産後のトラブルの可能性もありますので、まずは動物病院に電話で相談してみましょう。

床や陰部の汚れ

後産(胎盤)がうまく出なかったり、出産後に子宮の出血が続いている場合には、陰部や床が赤黒く汚れることがあります。

出産後に多少オリモノが続くことはありますが、大量のオリモノが続く場合には注意が必要です。

母猫の体調不良

出産後に体調を崩す母猫は少なくありません。

  • 胎児遺残:一部の胎児が残ってしまう
  • 胎盤停滞:胎盤の一部が子宮に残ってしまう
  • 低カルシウム血症:出産・授乳により体内のカルシウム成分が不足する

などを代表として周産期の異常は多く出てきます。産後に食欲がない・体が熱い・呼吸が荒い・悪露が多いなどの症状があれば早めに動物病院で診てもらった方がいいでしょう。

その際、子猫を離すと不安になってしまう母猫も多いため、子猫の健診を兼ねて子猫も一緒に連れて行きましょう。

子猫の様子

子猫の状態のチェックポイントは以下の通りです。

鳴いているか

子猫は非常に良く鳴きます。母乳を飲んでお腹がいっぱいになった後は寝ますが、すぐに起きて鳴いてお乳をせがみます。

あまり鳴かない子猫は先天的な病気があったり、弱ってきている可能性があります。

順調に大きくなってきているか

子猫が順調に育つと、毎日10gくらいずつ体重が増えます。

可能であれば、キッチンスケールなどで毎日体重を測るようにしましょう。

もし体重の増えが悪いような場合には、ミルクをうまく飲めていなかったり、先天的な異常があったりする可能性もあります。

子猫の体調は劇的に変化しますので、元気でも様子を見ずにできるだけ早く動物病院に連れて行ってください。

子猫の体調不良

子猫の育児は基本的に母猫に任せる方がうまく行きます。

完全な人口哺乳で子猫を育てるのは容易ではないため、人が手を出して育児放棄にならないよう、あまり子猫をかまいすぎないことも大切です。

ただし、しっかりお乳が飲めているのか体重のチェックをしてもらうことをおすすめします。子猫は毎日10gずつくらい体重が増えるのが普通です。

料理用のはかりなど、グラム単位を測定できるはかりで毎日体重は測っておきましょう。

子猫には口蓋裂や鎖肛など、命に関わる病気があるケースもあります。

母猫がそれほどナーバスでないのであれば、生まれた次の日にでも一度母猫・子猫一緒に動物病院で診てもらうことをおすすめします。

子猫の頭数とその注意点

子猫が多い場合、少ない場合で注意する点は少し違います。

子猫が多い場合

子猫が多い場合には、強い猫に取られてしまい、弱い子猫が母乳を飲めない可能性があります。

体の大きさに違いがある場合には、母乳がしっかり出る乳首を確認して、体の小さい子猫に吸わせるようにしてあげてください。

子猫が少ない場合

1~2頭しか生まれなかった場合、異常な出産である可能性も考えられます。

その場合には、子猫の体質が弱かったり、母猫が育児放棄をしてしまうこともあります。

子猫の体重がしっかり増えてきているかをしっかり見てあげてください。

また、出産前に頭数が分かっていればいいですが、出産前に健診を受けていない場合、実はまだ子猫がお腹の中にいるということも考えられます。

子猫の頭数がわかっていない場合はできるだけ早く動物病院で診てもらい、お腹に残っている子猫がいないことを確認してもらってください。

自分で猫を繁殖させるデメリット

猫は繁殖力の高い動物であり、簡単に妊娠してしまいます。

お家で余り何も考えず猫を妊娠・出産させると思わぬデメリットが待ち受けていることがあります。

遺伝子疾患

猫には現在わかっているだけでも数種類の遺伝子疾患が見つかっています。

スコティッシュホールドの骨軟骨異形成やペルシャ猫の多発性嚢胞腎など、寿命やQOL(生活の質)に関わる病気が遺伝することが分かっています。

これらの遺伝子疾患は特定の猫同士の組み合わせで遺伝するため、その知識なく繁殖させてしまうと、不幸な猫を増やしてしまう結果につながることがあります。

性感染症の伝染

猫エイズウイルス(FIV)や白血病ウイルス(FeLV)は交尾によっても伝染しますので、オスメスどちらかの猫が持っている場合には、相手にうつってしまうことがあります。

さらにこれらのウイルスは死産や流産の原因となるだけでなく、生まれて来た子猫に奇形を引き起こしたり、エイズや白血病を発症させてしまうこともあります。

増えすぎてしまうリスク

猫の繁殖力はかなり強く、交尾をしたらほぼ100%妊娠すると言われています。猫が家で増えてしまえばさまざまなデメリットが出てきます。

室内飼いが難しくなる

猫が増えればその分スペースが必要になります。

特に仲が悪い猫同士では、別々の部屋にしないと喧嘩でケガをしたり、ストレスがかかってしまうこともあります。

またトイレの数を揃えて毎日掃除をするのも大変です。

つまり、猫が増えれば増えるほど室内飼いが難しくなり、中には外に出してしまう人もいます。

そうすると事故に遭ったり、感染症にかかってしまうなどのリスクが高くなります。

また、ご近所さんへの迷惑につながる可能性もありますので、猫が増えたから外で飼うという考えはやめておきましょう。

費用が掛かる

猫を多数買うのには、かなり費用が掛かります。毎日の食餌代だけでなく、病気になった際の動物病院代などもばかになりません。

さらには、それ以上増えすぎないようにするためには避妊手術や去勢手術が必要になりますが、それも1頭数万円の費用が掛かります。

猫をお家で増やす場合には、その飼育費などを払えるのかもしっかり考えておく必要があります。

健康管理が難しくなる

多頭飼いの猫では、どの猫がどれだけ食べたか、どれが誰の便や尿なのかなどのチェックが難しくなります。

そうすると、猫の体調管理が難しくなり、病気の発見が遅れてしまうことがあります。

また、ノミやダニなどの寄生虫やウイルス感染症の猫が一頭でもいると、すべての猫に感染してしまう可能性が高いです。

多頭飼育崩壊の可能性

猫が増えすぎてしまうと、収拾がつかなくなり多頭飼育崩壊に陥ってしまうことがあります。

多頭飼育崩壊は、最初は数頭の猫を飼っていて、その猫の間で子供が産まれてしまい収拾がつかなくなるという例がほとんどです。

一度増えすぎてしまうと手に負えなくなってしまうので、飼えない場合は最初から増やさないようにしましょう。

 

まとめ


猫の妊娠・出産にはいろいろなリスクがあります。

また、無事に生まれてきたとしても、多数の子猫が産まれてきますので、その子たちをしっかり飼育できるかどうかという問題もあります。

すべての子を飼うのであれば、避妊手術をしないとまた子猫が増えてしまいますので、そのあたりの費用についても考えなければいけません。

子猫の出産に関しては、これらのリスクやデメリットを考えたうえで、しっかりと管理ができる場合のみ行うようにしましょう。

もし、管理が難しいと判断した場合は、妊娠させないだけでなく、病気の予防や発情によるストレス予防のためにも避妊手術をしておくことをおすすめします。

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ABOUTこの記事をかいた人

後藤大介

岐阜大学農学部・獣医学科(現応用生物科学部・共同獣医学科 ) 卒業。大阪・北海道の動物病院に勤務し、2018年、岐阜市にアイビーペットクリニックを開業。生まれ育った地元で、ペットと家族の幸せのためのお手伝いをしたいと考えています。病気の治療だけでなく、ペットの健康のための情報発信や、地域の飼い主さん同士が交流できるような動物病院を目指しています。