2017年8月7日更新

お家の子は大丈夫?犬の腎不全ってどんな病気?【獣医師が解説】

ペット生活



編集部

犬や猫との暮らしを豊かにするお役立ち情報をお届けします。

 

犬でよくみられる病気「腎不全」は、命に関わる事の多い怖い病気です。腎不全には急激に腎機能が低下する急性腎不全と、徐々に腎機能が落ちる慢性腎不全があり、それぞれで経過が大きく異なります。

今回は、犬の腎不全を急性と慢性に分けて、それぞれの症状や原因、治療法などについて詳しく解説します。犬の腎不全はどの犬にも起こり得る病気です。しっかり知識をつけて正しい対処法ができるようにしてくださいね。

 

腎臓の働き

腎不全を知る上で、まずは腎臓がどのような働きをしているのかを知っておきましょう。腎臓の主な機能は尿を作ることですが、具体的には3つの働きを持っています。

老廃物の排泄

腎臓は、体の中で余った老廃物を体の外に出すために尿を作ります。腎臓の働きが悪くなると、老廃物が体に溜まって尿毒症を起こしてしまいます。

水分や電解質の再吸収

腎臓は、血液をろ過して尿を作りますが、尿中に必要な成分が漏れてしまわないように再吸収するという働きもあります。特に体に必要な水分や電解質を再吸収する能力は大切で、腎臓の機能の低下によって脱水や電解質の異常が起こることもあります。

赤血球を作る指令を出す

腎臓には尿を作るだけでなく、赤血球を作る命令である「エリスロポエチン」というホルモンを産生するという働きもあります。腎臓の機能の低下とともにエリスロポエチンの産生量が低下してしまうと、腎性貧血を起こすこともあります。

腎臓病の種類

腎不全は、その経過によって慢性腎不全と急性腎不全に分けられます。

慢性腎不全

慢性腎不全は、数か月~数年の経過で徐々に腎臓の機能が落ちてきてしまう病気です。高齢犬によくみられるタイプの腎不全ですが、若いうちから発生してしまうこともあります。

急性腎不全

急性腎不全は数日の間に一気に悪くなる腎不全です。急激に腎臓の機能が落ちてしまったり、何らかの原因で尿を出せなくなってしまうと急性腎不全を発症します。

 

急性腎不全とは?

急性腎不全は数時間から数日の経過で一気に腎機能が悪化する病気です。

急性腎不全は若い犬にも多い

急性腎不全は年齢に関係なく起きるため、若いからリスクが少ないということはありません。

急性腎不全でよく見られる症状

急性腎不全では、急激な腎機能の低下に伴い、尿の量が減る「乏尿」や全く尿が出ない「無尿」となるため、尿量は極端に減ります。散歩に行ってもほとんど尿をしない(尿が出ない)場合には急性腎不全の可能性が高くなります。その他、少量の血尿が出る場合や嘔吐や腹痛が出て来ることもあります。元気や食欲は急激に落ち込み、ぐったりしてくることが多いです。

急性腎不全の原因

急性腎不全の原因には以下のようなものがあります。

1.中毒

犬の急性腎不全の代表が中毒です。「腎毒性物質」と言われる腎臓に毒となる物質を飲み込んでしまうことで急性腎不全を起こすことがあります。特に注意が必要な身近にある腎毒性物質としては、車の不凍液(エチレングリコール)やブドウ、ユリ科の植物、人の風邪薬などです。これらの腎毒性物質を飲み込むと、数時間から1日くらいで急性腎不全を起こすことがあります。

2.腎盂腎炎

腎臓に炎症が起きて急激に腎機能が低下する病気です。腎盂腎炎は以下のような病気によって引き起こされます。

  • レプトスピラ感染症
  • 子宮蓄膿症
  • 重度の歯周病
  • 細菌性膀胱炎
  • 自己免疫性疾患(エリテマトーデスなど)など

3.尿道閉塞

膀胱から体の外に尿を出すための管である尿道が閉塞してしまう病気です。閉塞の原因は以下の通りです。

  • 尿道結石:オスに多い。メスではまれ。
  • 膀胱・尿道腫瘍:腫瘍により膀胱の出口や尿道が閉塞してしまう。
  • 膣腫瘍・前立腺腫瘍:腫瘍によって尿道が外部から圧迫されて閉塞してしまう。
  • 会陰ヘルニア:膀胱がヘルニアの中に入り込んでしまい尿道が閉塞して尿が出なくなる。

尿道閉塞の犬では、尿をしようとするけれど出ないという症状が出て来ることが多いです。

4.重度の脱水や低血圧

重度の脱水や低血圧があると、腎臓への血流が低下してしまい、尿が作られなくなってしまいます。脱水や低血圧を起こす主な原因は以下の通りです。

  • 重度の脱水:激しい嘔吐や下痢、熱中症、水が飲めない環境、高用量の利尿剤や降圧剤の投与など
  • 低血圧:重度の心不全、敗血症など

急性腎不全はどう見つける?

急性腎不全は以下のような方法で診断されます。

急性腎不全の兆候

急性腎不全の最も特徴的な症状は尿量の低下です。散歩に行ってもほとんど尿をしない場合や、排尿の姿勢はとるのに尿が出ないという場合には急性腎不全の可能性があるため動物病院へ行ってもらった方がいいでしょう。

また、腎毒性物質であるユリ科の植物や風邪薬などを食べてしまった場合には、症状が出ていなくてもすぐに動物病院で診てもらうことが大切です。中毒による急性腎不全は、発症する前に予防することがとても重要になります。

検査の方法

急性腎不全が疑われた場合には血液検査を行います。血液検査で腎臓の数値(血中尿素窒素およびクレアチニン)が高ければ腎不全と診断されます。年齢や症状の経過、尿量などによって急性腎不全か慢性腎不全かを判断していくことが多いです。ただし、腎毒性物質の誤食の場合は、飲んで数時間以内であれば腎臓の数値には変化が出ないため、注意が必要です。

急性腎不全の原因を調べたり、治療方法を決めるためには、尿検査や超音波検査が必要になります。尿道閉塞の場合は、ペニスや外尿道口からカテーテルを挿入して、閉塞の確認をしていきます。

急性腎不全の治療はどうする?

急性腎不全の診断が付いたら、以下のような治療を行っていきます。

治療方法

急性腎不全の治療の方法は、その原因によって大きく異なりますが、主に原因治療と点滴を行います。

原因治療

急性腎不全を起こしている原因を治療していくのが原因治療です。

中毒物質の誤食があった場合は、腎不全の症状や数値の異常がなくても治療を行うことが多いです。食べてまだ2,3時間以内に診察ができた場合は、催吐処置により中毒物質の吸収を防ぐことが可能なこともあります。ただし、薬の場合は吸収が早いですし、一度吸収してしまった毒物は基本的に解毒剤がないため、すでに吸収してしまっている可能性が高い場合は点滴療法を行っていきます。

腎盂腎炎の治療は抗生剤の投薬になることが多いです。ただし、子宮に溜まった菌が原因である子宮蓄膿症では手術が、自己免疫性疾患の場合はステロイドの投与なども行われます。

尿道閉塞の場合は、尿道にカテーテルを通すことで尿道を確保します。ただし、カテーテルが通らないこともあり、その場合は手術が必要になることもあります。

点滴治療

原因に関わらず、急性腎不全では腎臓の機能を確保し、老廃物を排泄させるための点滴が必要になることが多いです。脱水や低血圧でも、点滴をすることで血圧をあげることができるため、点滴は非常に重要になります。

急性腎不全の治療期間

急性腎不全は、1日~1週間程度の治療が必要になることが多いですが、もう少し長引くこともあります。尿道閉塞の場合は閉塞がうまく解除できればそのまま治療を終了することもありますが、結石や腫瘍などの根本的な原因の治療が必要になることもあります。

急性腎不全は急激な経過をたどるため、発症してから数時間~数日で山を迎えることが多いです。早期に発見し治療が開始できれば完治ができる可能性がある一方、1日で亡くなってしまうこともある怖い病気です。また、治療のタイミングが遅れてしまって慢性腎不全へ移行してしまうこともあります。

急性腎不全の治療が成功するかは、腎不全の原因にもよりますが、どれだけ早く治療を開始するかにもかかっています。少しでも急性腎不全の可能性がある場合は、すぐにでも動物病院で診てもらった方がいいでしょう。

急性腎不全を防ぐために

犬の急性腎不全は中毒で起こることも多いです。腎毒性のあるユリ科植物などは犬が食べないような場所に置いておきましょう。また、散歩中に中毒物質を誤食してしまうこともあるので、拾い食いをさせないことも大切です。

それから、尿路閉塞や腎盂腎炎、低血圧などは基本的には何らかの基礎疾患があり、それが原因となって急性腎不全を起こします。何か気になることがある場合は早めに動物病院で診てもらうことはもちろんのこと、定期的に健診を受けて、急性腎不全を起こすような原因があるならその病気の治療をしておくようにしましょう。

慢性腎不全とは?

慢性腎不全は、腎臓の機能が徐々に落ちてくる病気であり、数か月~数年という長い経過をたどる病気です。

高齢犬で多い

慢性腎不全の原因の多くは加齢に伴う腎臓の加齢性変化です。そのため、慢性腎不全の大部分は7歳以上の高齢犬ですが、腎盂腎炎などから慢性腎不全を起こすこともあるため、若い犬にも起こり得る病気です。

慢性腎不全でよくみられる症状

犬の慢性腎不全は比較的症状が出にくく、進行してきて早めに気付くというケースも少なくありません。

初期症状は多飲多尿・食欲不振

犬の慢性腎不全の初期症状は多飲多尿です。ただし、明らかな多飲多尿がない犬も少ないため、なんとなく食欲がないという非特異的な症状のみである犬もいます。

進行すると脱水や嘔吐が

慢性腎不全が進行すると、溜まった老廃物によって引き起こされる悪心から、嘔吐が出て来る犬が多いです。腎臓が悪く水分を体にとどめておくことができない状況で嘔吐が出て来ると、一気に脱水が進んできます。

脱水があるかどうかを調べる手軽な方法が「テントテスト」です。愛犬の背中の皮膚をつまんで、離してから1~2秒以内に元に戻らない場合は脱水がある可能性が高いです。ただし、パグなどもともと皮膚がたるんでいる犬では、脱水がなくてもテントテストに異常が認められますので注意が必要です。

慢性腎不全の末期症状

慢性腎不全の末期には「尿毒症」と呼ばれる状態になります。腎不全が進行し、腎臓から排泄されるべき老廃物である「尿毒症物質」が体に溜まると、体はだるく、気分は優れないため、食欲・元気の廃絶やよだれ、嘔吐が起こってきます。少し動いただけですぐに息が上がって横になってしまう子もいます。

すべての子ではないですが、けいれんをおこす子もいます。腎不全の最後は、眠るように亡くなる子もいますし、けいれんなどの激しい症状を起こしながら亡くなっていく子もいます。

慢性腎不全をどう見つける

慢性腎不全はどのように診断されるのでしょうか?

慢性腎不全の兆候

犬の慢性腎不全では、その兆候はあまり出ないことが多いです。ただし、多飲多尿はもちろんのこと、高齢犬で元気や食欲が落ちてきたり、体重が減ってきている場合は慢性腎不全の兆候である可能性があります。また嘔吐の回数が増えてきて来た場合にも慢性腎不全のサインかもしれません。脱水のチェックであるテントテストも慢性腎不全を疑う手段になりますので、一度やってみるといいでしょう。

慢性腎不全の検査

犬の慢性腎不全は、血液検査で腎臓の数値をチェックすることで診断します。血液検査で測る腎臓の数値は血中尿素窒素(BUN)やクレアチニンですが、これらの物質は本来腎臓から排泄される老廃物です。つまり、BUNやクレアチニンが上がっていれば、老廃物を排泄するために腎臓が満足に働けていないという証拠なんです。

ただし、これらの数値は腎臓の大部分の機能が低下してしまってからだと言われています。その前に尿比重の低下・尿たんぱく/クレアチニン比の上昇、シスタチンCの上昇などがみられるため、慢性腎不全を疑ったのにBUNやクレアチニンに異常がない場合は、これらの検査を行うこともあります。

また、腎臓の超音波検査では、腎臓の腫瘍や腎結石、水腎症や腎嚢胞など腎不全を起こす特別な原因が見つかることがあります。

慢性腎不全のステージと治療方法

慢性腎不全のステージ

犬の慢性腎不全は、IRIS(International Renal Interest Society)によって、ステージ1~4までに分類されています。このステージ分類は慢性腎不全の重症度を分類するだけでなく、治療法の決定にも重要なものになります。

ステージ1

ステージ1は、もっとも初期の腎不全であり、一般的な検査では異常が見つからないケースが多いです。ただし、腎機能はすでに低下してきていることが多く、SDMAやシスタチンCと言われる特殊な血液検査では異常が見つかります。

そのため、飲水量や尿量が増えてきているのに腎臓の数値に異常が出てこない場合は、外部検査センターに血液を送ってもらい、シスタチンCやSDMAを測定してもらうといいでしょう。たんぱく尿や高血圧などの腎臓へ悪影響を認める異常があれば、ステージ1からでも積極的な投薬治療がすすめられています。

ステージ2

ステージ2では、一般的な血液検査であるBUNやクレアチニンの高値が出てきます。このステージから、慢性腎不全の食餌療法を始めることが多いです。

ステージ3

ステージ3では腎不全の進行に伴う老廃物の増加から、食欲不振や悪心(吐き気)などが出やすくなります。ステージ3の段階移行は、脱水を改善するための補液や食欲増進剤の投与などが必要になることが一般的です。

ステージ4

ステージ4は重度の腎不全であり、尿毒症を引き起こし、食欲の廃絶や頻回の嘔吐がみられることもあります。数日おき~毎日の補液や、体重を維持するための強制給餌が必要になることもあります。犬ではステージ4まで進行してしまうと、かなり状態は悪くなりそのまま亡くなってしまうことも少なくありません。

慢性腎不全の治療方法

慢性腎不全の治療法には、服薬・点滴・食事治療の3種類があり、単独で行うのではなく、必要に応じて組み合わせて治療していきます。

服薬

腎不全の時に使用する薬にはその目的によっていくつかの種類がありますが、以下の薬がその代表です。

尿蛋白の抑制・高血圧の改善

腎不全の犬では高血圧症がよく認められ、腎臓の血圧が上がると尿にたんぱく質が漏れ出て来るたんぱく尿も増えてきます。

高血圧やたんぱく尿は腎不全に併発しやすい病態であるとともに腎不全の悪化要因です。たんぱく尿や高血圧を抑えるための薬は、その状態によって違ってきますが、以下のような薬を使うことが多いです。

  • ACE阻害薬:ベナゼプリル(フォルテコール)・テモカプリル(エースワーカー)など
  • アンギオテンシンⅡ受容体阻害薬:テルミサルタン(セミントラ)
  • 降圧剤など
リンの吸着

リンは腎臓から体の外に排泄されますが、慢性腎不全ではリンの排泄能力が低下し体内のリン濃度が増加してきます。高リン血症が起こると食欲や元気が落ちるだけでなく、ホルモンバランスが崩れてしまい、骨折などのリスクが高くなってしまいます。

そのため、慢性腎不全用のフードではリンの含有量が低く設定されています。慢性腎不全の療法食を食べていてもリンが増加してしまう犬には、「レンジアレン」や「カリナール1」などのリンの吸着剤を飲ませることがあります。

尿毒症物質吸着剤

尿毒症の原因となる尿毒症物質は、食事中のたんぱく質から作られます。そこでその尿毒症物質を腸の中で吸着し、腸から吸収させないためのお薬を飲ませることは、慢性腎不全から尿毒症を発症させないようにするために効果的です。尿毒症物質吸着剤には「クレメジン」や「コバルジン」、「カリナール2」などがあります。

その他

慢性腎不全の治療に使うその他のお薬は以下のようなものになります。

  • 胃薬・制吐剤:特に慢性腎不全のステージ3や4で、食欲不振や嘔吐などの症状が出てしまっている犬に使うことが多いです。胃薬であるH2ブロッカーや制吐剤であるメトクロプラミド、マロピタントなどがよく使われる薬です。
  • エリスロポエチン:慢性腎不全でエリスロポエチンの産生量が低下し、貧血になってしまった場合に注射で使用します。

皮下補液

皮下補液は、慢性腎不全に伴う脱水や電解質の補正のために即効性のある治療です。特に犬では慢性腎不全に伴い高カリウム血症になりやすく、カリウムを下げるために点滴を行うことも多いです。犬では、背中の皮膚の下に点滴を行う皮下点滴をすることが多く、皮下点滴であれば通院で行うことが可能です。状態が非常に悪い場合は、血管に点滴を入れる静脈点滴を行うこともありますが、静脈点滴を行うためには入院が必要になります。

皮下補液は腎不全の治療というよりは、腎不全によって起こる脱水や電解質異常の治療になります。皮下点滴だけでは腎不全の治療にはなりません。食餌や薬などで腎臓の治療をしつつ、必要に応じて点滴をしてもらうことが大切ですね。

食餌療法

慢性腎不全で最も大切だと言われているのが、腎不全用処方食による食餌療法です。慢性腎不全の療法食には以下のような特徴があります。

  • 低たんぱく・低リン・低ナトリウム
  • ω3脂肪酸の強化

腎不全の療法食は腎臓への負担を軽減し、慢性腎不全の進行を遅らせてくれますので、他のフードより高価でもしっかり食べさせてもらう意味は大きいです。

慢性腎不全の治療期間

慢性腎不全による腎機能の低下は不可逆的であり、基本的に腎機能の回復は望めません。そのため、慢性腎不全の治療は「腎不全の進行を防ぎ、悪くなってしまった腎臓でも生活の質(QOL)を保つ」ための治療になります。

つまり、慢性腎不全を完治させることはできないため、治療は一生必要になってきます。治療方法に関しては、食餌療法や飲み薬だけでいい場合もあれば、毎日点滴が必要になることもあります。治らない病気ではありますが、治療をすることで元気に生活できることは多いため、かかりつけの先生と治療の方法や予後などについてしっかり相談することが大切です。

薬の副作用

慢性腎不全の薬は比較的マイルドであるため、副作用は多くはありません。ただし、脱水しているときに薬を飲ませると、腎血流量を下げてしまい、薬の副作用が強く出てしまうことがあります。食欲不振や嘔吐がある場合には脱水している可能性が高いので、投薬するかどうかを相談してから薬を飲ませるようにしましょう。

慢性腎不全の犬で気を付けてあげること

慢性腎不全との闘病生活は、時に長くなります。お家で気を付けるべきことを守ってあげることで、より良い状態を長く保つことができる可能性があります。以下の点を気を付けてみてくださいね。

飲水量を増やす

慢性腎不全の子には多めに水分を取らせてあげることが大切です。飲水量を増加させるためには以下の3つの方法を試してみましょう。

  • ドライフードを水でふやかす
  • ウェットフードを与える
  • 常に新鮮な水を用意しておく

療法食を食べてくれない場合

慢性腎不全ではもともと食欲が落ちている犬も多く、療法食を食べてくれない子も多いです。そんな場合は以下のような方法を試してみましょう。

  • お湯でふやかして温める
    ドライフードはふやかして温めるとにおいが出ておいしく感じます。ウェットフードも軽く電子レンジで温めるといいでしょう。
  • 肉や魚の煮汁をかける
    塩などで味付けしていない煮汁を使ってください。ささみのゆで汁を使うことは多いです。ただし、ゆで汁にもリンなどは含まれるため、ゆで汁を飲み水にはしないようにし、あくまでフードにかけて風味をつけることを目的としてください。
  • 好きなおやつをトッピングする
    おやつはトッピングですので、風味付け程度の量にしましょう。おやつの種類に関しても、できれば動物病院で相談して、与えても害の少ないものにすることをおすすめします。
  • フードの種類を切り替える
    腎不全用の処方食は1種類だけでなく、いくつかのメーカーから出ています。もし今のフードの食べが悪い場合は動物病院で相談して他のメーカーの処方食を試してみましょう。
  • ウェットフードにする
    ドライフードよりもウェットフードの方が一般的には嗜好性が高く、水分もたくさん取れます。ドライに比べると割高にはなりますが、ドライフードを食べない場合はウェットフードの療法食を試してみましょう。また、ウェットとドライを混ぜてもいいでしょう。

慢性腎不全の原因と予防

発症してしまうと治すことのできない慢性腎不全です。慢性腎不全は基本的には加齢に伴う腎臓の変化が原因と言われていますが、何か予防はできるのでしょうか?

慢性腎不全の原因は?

慢性腎不全は加齢に伴う腎臓の変化であり、原因らしい原因がないということがほとんどです。

ただし、歯周病歯が腎臓の炎症を引き起こし、慢性腎不全の原因になる可能性も指摘されています。また、若いころから塩分の多い人のご飯やおやつを食べていると、腎臓に負担をかけて慢性腎不全のリスクを増やしてしまう可能性があります。

歯石を予防する

歯周病は慢性腎不全のリスクを増やす可能性があるため、歯周病を予防することは大切です。犬の歯周病の大部分は歯石に伴う歯周炎によって引き起こされるため、歯石予防の歯磨きが大切です。歯磨きはある程度の年齢になってから急にやろうとしてもなかなかうまく行かないことが多いです。若いうちから歯磨きの癖をつけるようにしましょう。

また、もしすでに歯石がたくさんついてしまっている場合は、歯周病のリスクが高いため、歯石除去(スケーリング)をしてもらうことをおすすめします。ただし、スケーリングをするためには全身麻酔が必要ですので、麻酔リスクの少ない若いうちにやってもらった方がいいでしょう。

若い時からのフード選びも重要

腎臓は常に老廃物を排泄するため働いており、若いころから食事で負担をかけないことは大切です。

腎臓の機能に問題ない犬が腎臓の療法食を食べるメリットはありませんが、腎臓に負担のかかる塩分の多いフードは良くはありません。塩分含有量が多いと嗜好性は高くなるため、食いつきを良くするために塩分(ナトリウム)濃度を高めてあるフードもあります。特に安くておいしいフードには注意が必要でしょう。

フードのパッケージの裏にナトリウム濃度の記載がありますので、一度確認してみましょう。成犬では、ナトリウム濃度は最低0.08%は必要になりますが、それだけあれば十分だと考えられています。ナトリウム濃度が0.5%以下のフードが理想であり、1%を超えるフードは腎臓への負担が大きいので注意してくださいね。

 
 

関連カテゴリ