2017年8月1日更新

【獣医師が解説】猫の寿命について。猫の寿命を延ばし、長く暮らせるためにできることは?

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私たち人間と生活するようになり、猫の寿命も格段と延びました。勝手気ままに暮らすのを好む猫たち。私たちもそんな猫たちの姿や仕草に日々癒されていますよね。

猫たちの生き方に共感を覚えたり、また、憧れを抱いたりする方も多いと思います。人間との生活で自由が無くなったかもしれませんが、その反面、快適な環境で過ごせ、食べるものには困らず、病気だって早期発見をしてもらえます。

私たちも猫たちも、一緒に生活する事で得られたメリットは大きいのではないでしょうか。今回は最近、猫カフェなどでも大活躍の猫たちの寿命について様々な角度からお話したいと思います。

 

猫の寿命

一般社団法人 ペットフード協会による調査では、2016年の猫全体の平均寿命は、15.75歳(前年度 14.82歳)、完全室内飼育の猫の寿命は16.40歳、家の外に外出する猫の寿命は14.22歳、という結果が出ています。

年々、猫たちの寿命が延びていることが分かりますね。では、猫たちの寿命が延びている要因はどこにあるのでしょうか。この結果からも数字として示されている通り、外に出る、出ない、では平均寿命も異なっています。お外に出る猫には、交通事故に遭うなどのアクシデントのリスクが増えます。

また、猫には縄張りを作る習性があり、私たちと暮らす猫たちもその習性は持ち続けています。このため、特に春先や秋の発情期には縄張り争いが激しくなります。縄張り争いによるケンカでは、傷を負うだけでなく、猫同士の怖い感染症の伝播をしてしまうこともあります。

猫たちにはいろいろな感染症がありますが、ケンカ傷から感染する代表的なものに、猫エイズや猫白血病があります。これらの感染症は発症すると致死率が高く、寿命を縮めてしまうのです。

猫の寿命とキャットフード


また、猫たちの寿命を延ばしてくれることに大きく貢献したものにキャットフードの存在があります。以前は、いわゆる、『ねこまんま』を与えられていた猫たちですが、キャットフードの開発が進み、普段使いのフードも、年齢や性別、去勢や避妊後のケア用など、多種類のものから愛猫に合ったものを選べるようになりました。

また、ドライフード、缶詰めなど、こだわりのある猫の好みに合うよう形態も様々です。さらに、それだけでなく、様々な病気に対応した療法食も数多く見かけるようになりました。そのため、病気になっても食餌による疾病管理が可能になりました。

その代表的にものに、慢性腎不全が挙げられます。慢性腎不全では、療法食を与えれば、与えない場合の3倍もの延命が期待できることが研究によって証明されています。また、下部尿路疾患は食餌管理が必要不可欠です。糖尿病や慢性膵炎、巨大結腸症なども、食餌管理をすることで、投薬量を減らしながらコントロールすることが可能になっています。食べ物の力は偉大ですね。

猫の寿命の延ばし方

次に猫の寿命を延ばし、少しでも長く私たちと暮らせるために、私たちがしてあげられことについてお話したいと思います。

群れをなして共同生活を営むイヌ科の動物とは異なり、猫は単独行動を好むとされています。また、ナイーブでストレスにも弱い動物です。ストレスは曖昧で難しいものですが、このストレスを減らしてあげることが猫にとっても、とても重要なのです。

多頭飼い


先に述べたように、猫は基本的には単独行動をし、縄張りの中で自由気ままに暮らすことを好みます。室内飼育の猫では、お家が縄張りになります。従って、基本的には、多頭飼育をすることは、猫にとって、とてもストレスなことです。多頭飼育でも、猫同士が仲良く生活できることがありますが、実はそれはどちらか、もしくはお互いが遠慮をしていることが多く、とても運の良いことなんです。また、お家への来客は、猫とっては縄張りに勝手に浸入されることを意味し、ストレスになります。

来客に対し、攻撃的になってしまう猫もいます。また、どこか部屋の隅や物陰に隠れて、気配を消してしまう猫もいるかもしれません。全てを猫中心に生活をするのは無理があるかもしれませんが、猫の特性を理解し、少し譲歩してあげれば、もっと猫たちとの距離が縮まりますよ。

フードの選び方

次に、フードの選び方についてのお話です。ペット業界も一昔前とは異なり、大きく発展しています。フードも国内外問わず、複数のメーカーから数多く製造されており、どんなフードを選べば良いのか難しいことがありますよね。フードを選ぶにあたり、愛猫にフードで管理の必要のある疾患があるかどうか獣医さんにチェックをしてもらいましょう。高齢の猫であれば腎不全が心配です。また、避妊や去勢手術後の猫は肥満が心配ですね。

フードでの管理が必要なければ、猫のライフステージ、つまり、年齢や身体の変化に合ったもの、を選びましょう。子猫と高齢猫では必要な栄養組成が異なります。また、授乳中も栄養要求が増えますので、成猫用のフードでは栄養不足になってしまいます。避妊や去勢手術後の猫には、肥満防止のため、カロリー制限をしたフードがお勧めです。

キャットフードは、各メーカーが研究を重ね開発されたものばかりです。フードだけを食べていても、栄養バランスもバッチリです。

動物病院との付き合い方

最後に、動物病院との付き合い方についてです。読者の皆さんの中には、動物病院は調子が悪い時だけ行けばよい、と思われている方も多いと思います。しかし、そうではありません。

猫はストレスに弱いので動物病院へ行くのもストレスです。調子が悪ければ尚更です。調子が悪ければ動物病院へ行って何もせずに帰って来ることはまずありません。聴診器を当てられたり、体温を計られたり、血液検査やレントゲンもあるかもしれません。

ワクチン接種にしてもそうです。動物病院へ行って何も痛いことをしない日、体重だけ計って先生に健康相談をする日を作って欲しいのです。そうすることで猫も病院へ行くことが特別なことではなくなり、病院でも、自宅にいる時に近い姿を見せてくれるようになるかもしれません。

また、獣医さんも、健康な状態を見ておくことで、いつもと違った様子、つまり異変にいち早く気付くことができるのです。この、愛猫の『いつも』を獣医さんと共有するようにして欲しいと思います。その上で定期的な健康診断は重要です。人と同じように、猫達の病気も早期発見、早期治療が治癒、そして長寿への近道です。私たちよりも早いスピードで加齢する猫たち。

10歳になる前くらいから、せめて年に一度の健康診断に連れていってあげるといいですね。毎年、お誕生日は健康診断と決めても分かりやすいですね。身体の不調が訴えられない猫達の一番の看護師さんになってあげてください。

 

品種と寿命


純血種の猫では先天的、遺伝的な問題が生じやすい傾向にあります。そのような問題が直接寿命に関わる場合とそうではない場合とがありますが、新生子死亡の割合は、純血種が多い傾向にあります。純血種の場合には、血統の存続のため、分かりやすく言うと、血が濃くなります。それがその品種には特有な疾患とつながっているのです。

肥大型心筋症

メインクーンや、ある家系のアメリカン・ショートヘアでは染色体異常が原因の肥大型心筋症が遺伝的に起こります。また、ラグドール、ノルウェージャン・フォレストキャット、ブリティッシュ・ショートヘア、スコティッシュ・フォールドなどもその素因があるとは言われています。しかし、一方で、肥大型心筋症であると診断をされるのはいわゆる雑種が1番多いという報告もあります。肥大型心筋症の重症度は個体差が大きく、軽度なものであれば、5年以上生きられますが、重度なものになると、数ヶ月、という場合もあります。

多発性嚢胞腎

ペルシャ、ヒマラヤン、長毛種でよくみられます。この病気も先天性の染色体異常が原因で、病期の進行により、慢性腎不全となります。

アミロイドーシス

アビシニアンでは腎臓にアミロイドという物質が蓄積し、腎不全を進行させます。

骨軟骨異形成症

スコティッシュ・フォールドでは、遺伝的に軟骨に異常があることが多く、骨瘤が形成されたり、歩行障害がみられたりします。直接命に関わる可能性は低いですが、猫にとっては辛いことです。

純血種を飼う場合には、遺伝的な病気のことも、頭の片隅に置いておいてくださいね。

さいごに

今回は、猫達の寿命についてお話してきましたが、いかがでしたか?この記事が、皆さまと、愛猫の生活に少しでもお役に立ることができれば幸いです。

 
 

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