2017年9月15日更新

【フェレットの飼い方】基本的な飼い方や注意点を獣医師が解説

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フェレットはヨーロッパケナガイタチなどが愛玩動物化されたもので、古くからヨーロッパで飼育されています。その歴史は長く、3000年ほど前から飼育されていたと考えられています。

狩猟などにフェレットが利用されることもかつてはありましたが、今はほぼありません。

フェレットは細長い体形で、狭いところに入りたがり、好奇心旺盛な面があります。気が付いたらいなくなっているという事も起こりやすいので、フェレットの習性や食事内容、かかりやすい病気などをしっかり理解した上でお迎えしましょう。

 

フェレットとはどんな生き物か?

食べ物

イタチは野生では動物性のものを餌として捕らえ食べています。主食になるのは、ネズミなどのげっ歯類や鳥類です。

他にも、爬虫類や両生類も餌としてとらえています。フェレットもイタチ同様に肉食動物ですので、高タンパク質、低炭水化物の食餌が必要です。

消化管が短く通過時間が短いため、いつでも自由に食べることができるようにしたほうが良いでしょう。

フェレットの体臭

フェレットは肛門の両脇に臭腺を持ち、外敵に襲われたとき興奮したときに非常に強いにおいの液体を飛ばします。

ペットとしてショップで販売されているフェレットについては、臭腺の摘出手術を受けた個体がほとんどです。臭腺以外にも、独特の体臭があります。

適正温度

フェレットは寒さに強く、暑さに弱い動物で、32度以上の温度に耐えることが難しい。

フェレットの理想環境温度は15~24度ぐらいと言われています。日の当たる場所にケージをおいていても熱中症を起こす可能性があり危険です。

体表に汗腺がないので汗をかいて体温調節ができないため夏場の室温には十分気を付ける必要があります。

フェレットの特徴

  • 体が細長い
  • 柔軟性に富む
  • 足の指が前後5本あり、猫のように爪を出し入れできない
  • 盲腸がない
  • 消化時間が短く、2.5~3時間で食べたものを排泄する

知能

飼い主を認識したり、言葉を覚えたりします。

しかし、眼があまりよくないので、ものを見て認識しているというよりも音や声、においに反応している可能性のほうが高いでしょう。

犬や猫と比較すると少々劣るといえます。

フェレットの被毛

フェレットは1年に2回春と秋に換毛します。少し柔らかいアンダーコートと長いトップコートがあります。

自分で体を舐め、お手入れを行いますが、猫のように毛玉をうまく吐き出すことができないので換毛期にブラッシングを行うことは大切です。

鳴き声

フェレットは基本的に鳴きません。機嫌のよいときや、驚いたとき、威嚇するときなどに鳴きます。

  • クックック…: 機嫌のよいとき。少し高めの声です。
  • ククククク…: 不機嫌、嫌だという意思表示のとき。少し低めの声です。
  • シュー、シャー: 威嚇しているとき。

発情

フェレットは北半球ではオスが12~7月、メスは3~8月に発情期を迎えます。南半球ではその逆になります。

メスは発情期に入ると、外陰部が赤くドーナツ状に腫脹し、発情後1か月後には最大の大きさになります。

フェレットは交尾排卵動物(交尾の刺激があると排卵するタイプの動物)なので、交尾後2~3週間後には腫脹がおさまります。

しかし、交尾刺激がないと発情状態が約120日間継続し、その結果、エストロゲン(女性ホルモン)中毒を起こし命に係わることもあります。

ほとんどのフェレットは避妊・去勢手術が済んだ状態で販売されています。ペットショップで購入する場合は、ファームの証明書に記載されているはずなので確認してください。

フェレットの飼い方

必要なグッズ

  • ケージ(金属で柵の間隔が狭いものをお勧めします。)
  • ハンモックや寝袋などの寝具
  • トイレ
  • 給水器
  • フードボール
  • 専用フード

住環境

  • 床材: 金網、すのこなどが向きますが、何もない床面でも大丈夫です。
  • 隠れる場所: トンネルのようなもの、袋、
  • 水: 皿などよりは給水器のほうがひっくり返さないので適します
  • 餌: フェレットは高タンパク質のものを好みますので、フェレット専用フードを与えてください
  • トイレ: ケージの隅に設置します。後ずさりしながらお尻が当たった場所をトイレにする傾向があります。猫のように排泄物に砂をかける習慣はありませんので、砂を入れる場合は少ない量で構いません。
  • 餌入れ: つついてひっくり返すことがありますので、床置きの皿の場合は重みのあるもの、ケージの柵にかける場合は外れにくいように工夫してください。

食生活

フェレットは肉食動物ですので、食餌は動物性原料が理想で、主にタンパク質と脂肪から栄養を得ています。

消化時間が非常に速いので一度に満腹になるまで食べるよりも、少量ずつ何度も食べる習性がありますので、水と共に自由採食できるようにすることをお勧めします。

植物性タンパク質や植物性繊維を大量に与えるのは不適切で消化不良を起こす原因になります。

1日に必要なカロリーは200~300kcal/kgです。

しつけ

まず、しつけとして行いたいのはトイレの場所です。フェレットは後ろに下がっていきお尻が当たる場所に排泄する習性がありますのでこれを利用しましょう。

トイレはケージの隅に置きます。排泄物に砂をかけて隠す習性はありませんので、砂は浅く敷くだけで大丈夫です。

噛み癖は、幼少期にはありますが徐々に落ち着くことがほとんどです。目があまりよくないので、急に目の前に手を出すとびっくりして噛んでしまう場合があります。

接し方

一般的に攻撃性はありません。わきの下に手を入れてぶら下げるようにしたり、お尻を支えるように体全体を抱き上げると安定します。

急に触ると驚くので、声をかけて触りましょう。

頭をなでたり、耳の後ろを軽く掻くと喜ぶ場合が多いです。

ストレス解消方法

フェレットは遊ぶことが大好きです。猫じゃらしなどの動くおもちゃが好きなので利用してみるのもよいでしょう。
歯が鋭いので、丈夫なものを選んでください。
スポンジやゴムなどの柔らかくかつ歯ごたえのあるものを噛んで遊びます。

噛んだものを飲み込んでしまい腸閉塞を起こすこともしばしばありますので、要注意です。

おもちゃを与えたままにすると異食の原因になりますので絶対にケージ内におもちゃを放置しないようにしてください。

狭い場所にもぐるのも好きなので、部屋の中に離すときには隙間をふさぎ入り込ませないように注意しましょう。

お手入れ方法

  • ケージの掃除はまめに行いましょう。特に、湿度の上がる季節はカビが発生したりしますので隅々までしっかり掃除をしてください。
  • 1年に2回の換毛期にはかなりの毛が生え変わります。ブラッシングを行い抜け毛を除去してあげます。飲み込んだ毛を猫のように器用に吐き出すことができませんので、除去できる毛はブラッシングで除去し毛球症に注意してください。
  • 室内で生活すると爪がすり減りにくくなり、どこかにひっかけ危険です。爪の根元の赤い部分には神経と血管が通っていますので、切ってしまうとかなりの痛みを伴います。注意しながら切りましょう。
  • フェレットはミミダニが発生しやすいので、耳の手入れはこまめに行ってください。黒い耳垢がたくさん出て、頭を振ったり耳をこすりつけるような仕草は耳が痒い証拠です。早めに動物病院で検査を行ってください。
  • 歯磨きは大人になってから始めるのは困難です。幼少期から少しづつ慣れさせましょう。フェレットは歯石が付きやし動物ですので、ガーゼで歯のべたべた汚れ(歯垢)をぬぐい取るだけでも歯石の付着のスピードは遅くなります。
  • 体臭や被毛の油っぽさは季節や個体によって異なります。コンディションにあわせてシャンプーの種類を変えて洗ってあげましょう。
 

フェレット飼育の注意点

  • 寒さに強く、暑さに弱いので温度管理には十分注意しましょう。汗腺が未発達なので、32度以上の環境には耐えることができません。理想環境温度は15~24度、湿度は40~60%です。同じ室内にいると寒いと感じるかもしれませんが、そのくらいがフェレットにとって最適です。
  • 照明の時間にも注意してください。明るい時間12時間、暗い時間12時間で管理していくのが最も良いとされています。明るい時間がどのくらいあるかは内分泌器官に大きな影響を与えます。
    照明時間がフェレットにとってアンバランスになると様々な病気が起こり、脱毛や副腎疾患は照明時間が影響しているのではないかと言われています。
  • 食事は動物性原料が中心になっているペレットを選びましょう。フェレットの栄養源は「タンパク質」と「脂肪」です。炭水化物は少量でよいとされています。
  • 犬や猫と比較して腸が短く盲腸がありません。そのため消化の良い食べ物を与えるようにします。盲腸がないので繊維質の消化を行うことが難しく、植物性繊維や植物性タンパク質を与えるのは好ましくなく消化不良を起こしてしまいます。
  • フェレットはフィラリアやジステンパーにかかりますので、ジステンパーの入った予防接種(日本ではフェレット専用のワクチンがないので犬のものを代用しています)、毎月1回のフィラリア予防薬は必ず投与しましょう。

臭いについての注意点

フェレットの強烈な臭いのもとは臭腺が原因になることが多いのですが、日本国内で販売されているフェレットのほとんどが臭腺除去手術を受けています。

臭腺除去されているフェレット独特の臭いは体臭が原因になっている可能性が高いです。

においが気になるからと、シャンプーをしすぎると皮脂が不足しさらに皮膚から脂が分泌されます。

これが空気に触れると酸化したような臭いがさらに強くなります。シャンプーは10日に1回ぐらいにしておくことをお勧めします。

フェレット脱走

フェレットは体が柔らかく頭の厚み程度の隙間に入り込んでしまうことがあります。

もぐりこむことも好きなので、家具の隙間だけでなく、クッションや布団、絨毯、ラグカーペットの下などにも入ります。

お部屋に出すときには隙間やもぐれそうなものは片付けましょう。また、少しの隙間でも通り抜けますのでドアや窓の隙間には十分注意してください。

ベランダからの落下事故もよくあります。眼が悪く高さの感覚がつかみにくいのでベランダなどにつながる窓には十分注意してください。

暑さに注意

快適に過ごせる環境は気温が15~24度、湿度が40~60%です。日本は高温多湿になり、自然な環境下では体調を崩したり、思いがけない季節に熱中症を起こしてしまいます。

春を超えて夏に向かう季節に、大丈夫だろうと人の感覚でエアコンをつけなかったことが原因で亡くなるフェレットも実際にいます。窓に近い場所にケージを置くと、時間帯によっては陽が当たります。

このような状況も危険です。

また、夏だけでなく冬のこたつも中に入り込んでいるうちに体温が上昇し危険な状況になることも考えられます。

季節にかかわらず暑さには注意しましょう。

診察する獣医が少ない

犬や猫を診察する獣医師はたくさんいますが、フェレットを含むエキゾチックアニマルを診察可能な獣医師が少ないことが現状です。

フェレットをお迎えする前に、近隣で通院可能な範囲の動物病院でフェレットを診察してもらえるかどうかを確認しましょう。

平均寿命

多くのフェレットの平均寿命は6~10年ですが、カナディアンは少し寿命が短く4~8年です。

かかりやすい病気

耳ヒゼンダニ

耳ヒゼンダニが外耳道に寄生し茶色~黒色の耳垢が大量に出る病気。痒みが非常に強く頭や耳をしきりにかいたり、頭を振ったりします。

皮膚の腫瘍

腫瘍の発生は4歳ぐらいからが非常に多くなります。肥満細胞腫、皮脂腺腫、扁平上皮癌、アポクリン汗腺癌、脊索腫、リンパ腫などがみられます。

異物、腸閉塞

好奇心旺盛なので異物を食べてしまい腸に詰まってしまうことがあります。
ゴム、スポンジなどを間違って食べてしまうことが多いので手の届くところに置かないように注意してください。

おもちゃの選択の際には壊れやすいものは選ばないようにしましょう。

毛球症は大人での発生が多くなります。異物や毛球が腸に詰まってしまうと急性腹症から腹痛や虚脱を引き起こしてしまいます。

腸炎

フェレットは腸炎による下痢がよく起こります。原因は細菌・ウイルス・寄生虫などです。

時々緑色の下痢をすることがありますがコロナウイルスが原因になることが多いです。ひどい下痢が続くと直腸脱を起こすことがあるので要注意です。

歯石

フェレットは歯石が沈着しやすく、歯周病が良く起こります。ケージの金属をガリガリ噛み、犬歯が折れてしまうと折れたところから感染が起こることもあります。重度になると歯槽膿漏や根尖膿瘍ができ麻酔下での処置が必要になります。

尿路結石

尿路結石は栄養素の不均衡、細菌感染、体質などが原因で発生します。中でも膀胱結石が起こりやすいです。

結石の成分はリン酸アンモニウム・マグネシウムが多く、排尿困難や頻尿、血尿が多くみられます。

脾腫

脾腫はフェレットでは多発する症状です。健康な子でも起こるので病気との判別が難しいこともあります。

加齢に伴う骨髄以外での造血、感染症に反応して脾臓が腫れている、心疾患が原因になるうっ血などで発生します。

腫瘍が原因となる脾腫としてリンパ腫や血管肉腫がありますので何が原因で脾臓が腫れているかはしっかり鑑別する必要があります

副腎疾患

副腎からエストロゲンなどの性ホルモンの過剰分泌が起こり、「脱毛」「外陰部の腫脹」「前立腺過形成」「前立腺嚢胞」「排尿障害」「削痩」などが起こります。未熟期の性腺摘出や光周期(照明時間)のアンバランスなどが原因ではないかと言われています。

副腎皮質の過形成、副腎腫瘍、腺癌などが発生します。

リンパ腫

全身に発生するリンパ系の悪性腫瘍で、リンパ節、肝臓、消化管などに発生し、時には神経系や眼にも発生します。

腹水がたまってしまうこともあります。

インスリノーマ

膵臓の過形成や腫瘍により、過剰なインスリン分泌が起こり低血糖を起こす病気です。(インスリンは膵臓ランゲルハンス島β細胞から分泌される血糖値を下げるホルモンです。)

中高齢のフェレットで発生することが多く、元気喪失、虚脱、痙攣、視線が合わない放心状態、多量のよだれ、吐き気、昏睡など様々な症状が現れます。食後、運動後に症状が現れることが多いので注意してください。

フェレットの種類とは

ファームによって違う

日本国内で販売されているフェレットの9割以上は海外から輸入されています。

ファームとはフェレットが繁殖されている場所のことで、それぞれに特徴があります。

代表的なファームに、「マーシャル」「マウンテンビュー」「パスバレー」「ルビー」「カナディアン」などがあります。

毛の色の種類

  • セーブル
  • バタースコッチ
  • シルバーミット
  • シナモン
  • シャンパン
  • ブレイズ
  • パンダ
  • ライトセーブル
  • マークドホワイト
  • ホワイトファーブラックアイ
  • アルビノ
  • スターリングシルバー

など

フェレットの人気の種類

マーシャルフェレット

性格

噛み癖の少ないおとなしい子が多いので初心者にお勧めのファームです。

特徴

  • 体長:オス35~40㎝、メス30~35㎝
  • 体重:オス1~1.8㎏、メス0.7~1.0㎏
  • 耳に2つの入墨があります。
  • 胴体が細く、顔が鼻に向かって細長いのが特徴です。
  • 日本でもよく見かける種類で、噛み癖が気になるフェレットの中でも比較的おとなしい個体が多く初心者向けです。

マウンテンビューフェレット

性格

温厚な性格で、人に良くなつきます。噛み癖もあまりなくしつけやすいフェレットです。

フェレットを飼ったことのない初心者向けです。

特徴

  • 体長:30~35㎝
  • 体重:0.8~1.5㎏
  • 耳に入墨が入っています。
  • 丸みのある体格で、がっちりしているのが特徴です。
  • アメリカニューヨーク生まれで、アメリカでは広く飼われていますが日本ではなかなかお目にかかれない種類です。
  • 噛み癖が少ないのが特徴です。

パスバレーフェレット

性格

子供の時に噛み癖が気になる点はありますが、比較的おとなしい種類です。遊び好きでやんちゃです。

特徴

  • 体長:オス38~43㎝、メス33~38㎝
  • 体重:オス1.2~2.0㎏、メス0.8~1.2㎏
  • 全体的にまるい印象です。顔だちも少しずんぐりした感じで、体格もしっかりしています。
  • 少し噛み癖が気になりますが、病気になりにくく長生きする傾向です。

ルビーフェレット

性格

もともと、ペット用のフェレットではないのでなつきにくい傾向があります。

噛み癖が強い個体も多いので気長にしつけができる方に向きます。

特徴

  • 体長:30~35㎝
  • 体重:0.8~1.5㎏
  • (体長や体重は繁殖ごとに異なります。)
  • 顔がまるく、全体的にしっかりした体格です。ルビーフェレットはもともとパスバレーフェレットとほかのファームのフェレットを掛け合わせて生まれました。毛並みが非常に良いことも特徴です。
  • 日本でほとんど出回っていないので希少価値の高いフェレットです。

カナディアンフェレット

性格

やんちゃで、遊び好きです。
噛み癖が強く、自己主張がはっきりしているのでしつけにくいかもしれません。
初心者向けではなく、根気よくしつけができる方に向きます。

特徴

  • 体長:オス40~45㎝、メス35~40㎝
  • 体重:オス1.5~2.0㎏、メス0.9~1.5㎏
  • 耳に入墨が入っています。
  • 全体的に大きく、かなりがっちりした体型です。
  • 他のフェレットに比べると寿命が短く4~8年です。

まとめ

フェレットは愛くるしい表情と独特の体形で人気があります。

中には噛み癖の強い子もいますので「一目ぼれ」でお迎えするのではなく、何回か接してみて無邪気な性格を生涯にわたって受け入れることができ、準備しないといけない環境を整えることが可能かどうかを熟考したうえでお迎えしましょう。

走る姿、呼び鳴きは本当にかわいいものです。フェレットのことをしっかり知って、フェレットの魅力を堪能していただきたいと思います。

 
 

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