2017年9月8日更新

猫は、ほんとうにキュウリが怖いの?

NEKOCLIP



ペットシッター、愛玩動物飼養管理士2級

博物館に20年勤務していた古生物学系元学芸員。猫は絶滅してしまった化石猫から イエネコ、ライオンに至るまで全部大好き。猫飼い歴ン十年の猫おばちゃんです。 飼育のお悩みから進化学に至るまで、幅広い情報と猫の素晴らしさをわかりやすく お伝えしようと思います。理学修士、ペットシッター資格、愛玩動物飼養管理士2級。 ペット用品販売会社での勤務経験もあります。

 

以前、食事中に背後にキュウリを置かれた猫が、気づいたとたん飛び上がって逃げていく動画が話題になりました。その後も似たような動画がたくさん投稿されましたが、映像に出ている猫のほとんどが驚くほどあわてふためき、キュウリを怖がっているようにみえます。猫は本当にキュウリが怖いのでしょうか。怖がるとしたらなぜ怖いのでしょう。理由を探りたいと思います。

 

猫がきゅうりを怖がったように見えた理由

理由1.猫はそもそも警戒心の強い動物

ご存知の通り猫は縄張りを持ち、単独で生活する動物です。縄張りに入ってくる得体の知れないものは、自分の生活を脅かすかもしれない侵入者。しかも猫はその侵入者に対し、一人で対処しなければなりません。そのため、猫はもともと警戒心が強い動物なのです。自分のテリトリーに今まで見たことがないものや、いつもはなかったものが現れたら、より警戒し、ものによっては不安感や恐怖を感じるのは不自然なことではないでしょう。

理由2.知らない間に自分の背後に知らないものがあったら誰だって驚く

この状況を自分に置き換えてみてください。自宅で食事に夢中になっている間に、例えばマネキンが真後ろにいきなり現れたらどうでしょう。私だったらきっとビックリ仰天して逃げたと思います。猫も同じです。特に自分が安心しきっている場所で、というのがポイント。誰だって自分の家にないものが突然現れたら、当然驚くでしょう。
ただし、猫にとってのキュウリが、私にとってのマネキンくらい怖いものかどうか、という点を考えなければなりません。

猫がキュウリを怖いと思う2つの要因

では、猫にとってキュウリはどの程度怖いものなのでしょう。怖さの度合いには2つの要素があると考えられます。1つは、その猫にとって見慣れたものかどうか。キュウリを見慣れている猫は、突然の出現に驚くことはあっても、そこまで反応はしないでしょう。しかしキュウリをまるで初めて見る猫にとっては、未知の恐ろしい生物に見えるかもしれず、驚きの程度はアップします。2つ目は、本能的に怖いと感じる生き物、例えば形が近いヘビに誤認すれば怖がるでしょう。つまり、動画の猫たちはキュウリをふだん見慣れていなくて、ヘビなど本能的に恐れる動物と間違えてしまっている可能性があります。

 

性格も関係する

猫は個体差の大きい動物です。さきほど、猫は基本的に警戒心が強い動物といいましたが、実際には警戒心が薄い猫もいます。あまり物事にこだわらない大らかな猫や、好奇心が強い大胆な猫は、ビデオのように驚くことはないでしょう。むしろ、なんだこりゃ?と臭いを嗅いだり、手でちょっかいを出す猫もいるはずです。反対に神経質で怖がりな猫ほど、極端に驚くでしょう。動画に登場する猫たちも、ビビりさんが多いのではないかと思われます。

結論:猫は本当にキュウリが怖いのか?

動画のシチュエーションでは、猫がキュウリに驚くことイコール猫という動物がキュウリそのものを怖がる、という単純な解釈だけで説明するのは、いささか短絡的かと思われます。動画のシチュエーション、登場する猫の経験値、性格などさまざまな要素がからんであのように驚いている、ということだと考えられます。

論争を呼んだ動画のありかた

この動画については、欧米の動物行動学者を巻き込んで論争が起こりました。コメントしたアメリカやイギリスの行動学者は、不必要に猫を怖がらせることは虐待に近いと批判しています。逆に、虐待は大げさとの反論もあります。
一概に言えませんが、あれだけ猫が動転して逃げていくのを見るとあまり肯定的にはなれません。なぜなら、あれほど驚くということは、その猫はもともと怖がり屋さんかもしれないからです。トラウマに発展する可能性だってあります。実際動画を真似した人が、飼い猫が何をするにもビクビクして落ち着かなくなってしまった、可哀そうなことをした、と後悔するお話もでています。動画のような不意打ちが続けば、家は猫にとってもはや安全な場所ではなくなってしまうのです。

まとめ

どのような場合でも、猫自身が遊びとしてその状況を楽しむのであればかまわないと思いますが、本気で怖がるようであればすぐにやめましょう。お家は猫にとって安全な場所としてとっておいてあげてくださいね。