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多頭飼いをしていると、年に何度かは猫同士のケンカに遭遇することがあります。今回は、猫のケンカの理由とその対策についてお話いたします。
猫はケンカを避ける動物
成猫は基本的に取っ組み合いのケンカを避けるものです。例えば縄張りでオス同士が出会っても、まずは目をそらして穏便に立ち去ろうとします。
それでも収まらければ唸り合いが始まりますが、大抵はこれで決着がつきます。
体を大きく弓なりにして立つほうが勝ち、姿勢を低くするほうが負け。
負けた猫は目を背けてちょっとずつ抜き足差し足で立ち去ります。それでも決着がつかない場合に初めて取っ組み合いとなります。こうなると猫パンチがさく裂し、くんずほぐれつの大乱闘へ発展することもあります。
ケンカの理由
1:縄張り争い
猫は縄張りを持つ動物です。自分の縄張りに侵入してきた猫とケンカになりますし、縄張りと縄張りが重なるところで出会ってもケンカになります。家の中での多頭飼いは縄張りが著しくかぶりますが、相性が良ければ激しい取っ組み合いにはなりません。しかし外にパトロールにでかける猫は、野良猫と熾烈な戦いになることも。
去勢していないオス猫同士の争いが多いですが、メス同士でもケンカをします。
2:メスの奪い合い
これは未去勢のオス同士にのみ起きるケンカで、メスをめぐって争います。発情期には、同じメスをオスが数頭で取り合うために、毎日ちょっとしたケンカがおこり、勝ったものがメスへのアプローチを許されます。
3:優劣の確認。体格が小さい猫、気の弱い猫は狙われる
犬ほど一貫性はありませんが、猫社会にもある程度地位の優劣があり、どちらが優位かケンカで確認することがあります。相性が良くない場合、体の小さい猫や気の弱い猫はターゲットになってしつこく絡まれることもあります。
4:遊びがエスカレート
家の中で起こるケンカの多くは、じゃれ合っているうちに感情が高ぶってエスカレートするケース。お互いグルーミングするうちにケンカになることもあります。しかし多くの場合、猫パンチや追っかけっこにとどまり、それほど大事には至りりません。基本的には放置していても大丈夫でしょう。
ケンカの止め方。ケンカが深刻になるまえに
ケンカが以下のようになったら、止めに入りましょう。
- シャーシャーいわなくなって、唸り声に変わる
- 激しい取っ組み合いになる
- 執拗に攻撃する
ケンカの止め方
- 板状のもの(段ボールなど)で二匹の間にわって入り、お互い見えなくする
- 霧吹きで水をかけて中断させる
- 飼い猫であれば、お互い落ち着くまで別々の部屋で隔離する
注意してほしいのは、外で飼い猫がケンカしている場合。救い出そうとして手を出さないことです。ケンカ中は興奮していて飼い主が分からず、本気で噛みつきます。病院での治療が必要なほどの傷を負う可能性もあるので気をつけましょう。
猫がケンカで怪我をしたら
猫の爪や口はばい菌だらけ。引っかかれたり、噛まれた傷が深いと、猫だって化膿します。傷が深いときは動物病院で手当てをしてもらいましょう。また、感染症がうつる危険もありますので、年1度のワクチン接種は必ず行うようにしてください。
ケンカをさせない飼い方
本気のケンカを誘発しないために飼い主さんができることはたくさんあります。まず、去勢・避妊を行えば、ぐっとケンカを減らすことができますし、外に出る猫はできるだけ室内飼いに移行するようにしましょう。
家の中でひどい争いに発展させないコツ
- 逃げ場を多く作る:キャットウォークやキャットタワーを増やしたり、身を隠す場所を多くつくる
- 普段から遊んでパワーを発散:ふだんから意識的におもちゃをつかって猫の狩猟本能を満足させる
- 立場が弱い猫に自信をつけさせる:立場の強い猫と一緒におもちゃで遊ばせ、飼い主さんの誘導で弱い子により多く成功体験をさせ、自信をつけてあげる(強い猫が手出ししづらくなる)

まとめ
猫が追いかけっこをする姿は微笑ましいものですが、ケンカとなれば話は別。特に多頭飼いのかたは猫同士の関係性によく気を配り、立場の弱い子がいないか気づいてあげられるようにしましょう。猫はもともとケンカが好きではありません。互いにストレスの少ない環境をつくってあげるのも飼い主の役割です。