2017年9月9日更新

犬のしゃっくりって大丈夫?

後藤大介



獣医師

 

愛犬のしゃっくり、気になっている飼い主さんはいませんか?犬がしゃっくりをすることは多くはないですが、時々しゃっくりをする犬がいます。愛犬がしゃっくりをしているのを見ると、苦しそうで止めてあげたいと思う飼い主さんも多いのではないかと思います。また、何かの病気ではないかと心配になることもあるでしょう。

今回は、そんな犬のしゃっくりに関する記事です。この記事では、しゃっくりの原因や止め方、しゃっくりを起こす病気やしゃっくりと勘違いしやすい症状などを解説します。しゃっくりが気になっている飼い主さんや、犬のしゃっくりがどんなものなのか興味のある飼い主さんは、ぜひ参考にしてみてくださいね!

 

しゃっくりは「横隔膜のけいれん」

しゃっくりが出る原因は犬も人も同じで、横隔膜のけいれんです。横隔膜は、胸(胸腔)とお腹(腹腔)を分ける筋肉性の膜であり、人も犬も呼吸をするときに意識的に動かすことができます。

この横隔膜に何らかの刺激が加わると、勝手に横隔膜が収縮を始めます。これがしゃっくりが起こるメカニズムです。刺激による横隔膜の収縮は一定のリズムを持つため、数秒に1回しゃっくりが起きてきます。

しゃっくりは止めるべき?その止め方とは


しゃっくりは基本的には自然に止まるため、無理に止めようとする必要はありません。ただし、愛犬が苦しそうとか、なかなかしゃっくりが止まらないという場合には、以下のような方法でしゃっくりが止まるかどうか見てみましょう。

驚かす

しゃっくりを止める際には、呼吸のリズムを変えると効果的です。そのために試してみる価値があるのが、驚かすことです。人と同じく、犬も驚いて呼吸リズムが変わるとしゃっくりが止まることがあるんです。

ただし、強く驚かしすぎると思わぬ事故の原因になるので、あまりびっくりしすぎないように加減してあげてください。また、何度も驚かせても効果がないばかりか、犬のストレスになったり、飼い主さんが嫌われる結果になってしまいます。驚かすのは1~2回にしておきましょう。

水を飲ませる

水を飲ませることでも呼吸のリズムが変わり、しゃっくりが止まる可能性があります。ただし、しゃっくりは吐き気を伴うこともあるため、無理に水を飲ませることはやめましょう。水を飲ませてむせてしまう場合は、それ以上水をあげないようにすることも必要です。

息を止めるのはNG

しゃっくりを止めるために鼻と口を塞いだり、首を絞めて息を止めるということは絶対にやめましょう。犬も息ができなけば当然死んでしまいますので、絶対に無理に息を止めさせることはしないでください。

 

寝てる時のしゃっくりは大丈夫?

犬では時々、寝ているときに小さなしゃっくりが繰り返されることがあります。なぜ寝ているときにしゃっくりをするのかはっきりしていませんが、寝ているときに起こる筋肉の不随意運動(無意識の動き)の一部として、横隔膜が収縮するのではないかと言われています。

犬では寝ているときに手足がピクピクしていることもありますが、寝ているときのしゃっくりもそれと同じ現象である可能性があります。寝ているときは本人は気付いていませんし、苦しくもないので、しゃっくりを止める必要はありません。寝ているときにだけ起こるしゃっくりは特に心配しなくてもいいでしょう。

しゃっくりがなかなか止まらない時の注意点

しゃっくりが止まらない場合には、基本的には物を食べさせたり、水を飲ませない方がいいでしょう。ものを飲み込むときにしゃっくりが出てしまうと、そのものを気道に吸い込んでしまって誤嚥性肺炎を起こすリスクがあります。

また、しゃっくりから嘔吐を起こすこともありますので、吐かないかどうか注意して見てあげるといいでしょう。しばらくは安静にして見守るようにしてあげてください。不安そうなそぶりがある場合は、抱っこしたり、優しく声をかけてあげるのもいいですね。

病気が原因でしゃっくりすることも

基本的に病気が原因でしゃっくりが起こることはかなり稀です。そのため、「しゃっくり=病気」と考える必要はありません。ただし、いくつかの病気ではしゃっくりを起こすことがありますので、注意してください。

胸の中の炎症

心膜炎や胸膜炎など、胸の中に炎症がある場合に、横隔膜の刺激が起こってしゃっくりが出ることがあります。呼吸困難や開口呼吸、咳などを伴うことが多いですが、それらの症状がはっきりしないケースもあります。

脳神経の異常

てんかんや脳梗塞など、脳神経の病気があっても、脳の指令の異常から横隔膜が収縮してしゃっくりを起こすことがあると言われています。

胃拡張・胃捻転

胃が異常に張ってしまう「胃拡張」やねじれてしまう「胃捻転」では、胃が横隔膜を押して刺激をするためしゃっくりが出ることがあります。しゃっくりがある上に、犬の上腹部がパンパンに張って苦しそうという場合は、胃拡張や胃捻転がある可能性があるので注意が必要です。

しゃっくりと間違いやすい2つの症状


犬には本物のしゃっくりよりも、しゃっくりと間違われる症状が多く発生します。特に「吐き気」と「逆くしゃみ」は間違われることが多いため、しゃっくりをしていると思った場合は、これらの症状としっかり区別してください。

吐き気

犬が物を吐くときは、その前に腹筋を何度か収縮させます。その時のお腹の動きがしゃっくりに似ているため、嘔吐の前兆としゃっくりを間違えることもあります。しゃっくりに比べて吐き気があるときのお腹の動きは大きく、数回繰り返します。そのまま嘔吐をすれば、吐き気としゃっくりは簡単に区別できますが、時々吐くのを我慢してしまう子がいるため、その場合には吐き気をしゃっくりと間違えてしまうことがあります。

吐かなくても腹筋の収縮を何度も繰り返している場合は、しゃっくりではなく吐き気の可能性があります。腸閉塞や急性膵炎など怖い病気が原因に潜んでいるかもしれませんので、早めに動物病院で診てもらいましょう。

逆くしゃみ

しゃっくりに似た症状の一つが逆くしゃみです。人のくしゃみは息を吐くことで起こりますが、犬の逆くしゃみは息を吸い込むくしゃみです。しゃっくりに比べて、息を吸い込む時間が長くなることが逆くしゃみの特徴です。

逆くしゃみは小型犬の若い犬に多く見られ、ほとんどは病的なものではありません。ただし、高齢になってから出て来る逆くしゃみは鼻や喉、胸の中の病気によるものがあると言われていますので、注意してください。逆くしゃみも数分続くことが多いですが、通常自然に収まります。

病気以外でもしゃっくりが起こりやす環境や体質とは?

しゃっくりは横隔膜の刺激によって起こります。そのため、その刺激が起きやすい環境はしゃっくりの原因となります。

例えば、冬場に温かい室内から寒い外に突然連れ出した場合にしゃっくりが出ることがあります。また、急にたくさんのものを食べたり飲んだりして、胃が膨らんだ場合も横隔膜の刺激によりしゃっくりを起こすことがあります。

しゃっくりを予防するためには?


しゃっくりを起こしたから何か大きな問題になるということはありませんが、しゃっくりを起こしやすい子では、しゃっくりをしにくい環境作りをしてあげるといいでしょう。

寒暖差のある場所に急に連れて行かないことや、ご飯を一気食いさせないことなど日常での予防が可能なことが多いので、一度生活を見直すようにしてみましょう。

まとめ

犬のしゃっくり、意外に知らなかったことが多いのではないでしょうか。犬のしゃっくりに関しては、基本的には心配はいりませんが、中には病気からくるものがあったり、吐き気と混同してしまうこともあります。愛犬がくしゃみをしている場合は、本当にくしゃみなのか、くしゃみであれば様子を見ていいのかなど、この記事を参考に判断できるようにしておいてくださいね!