2017年9月23日更新

犬のうれしょん!獣医師が原因と改善方法を解説!

ペット生活 獣医師



獣医師

ペット生活編集部の獣医師アカウント。ペットとの暮らしを豊かにするお役立ち情報をお届けします。

 

帰宅すると大喜びで迎えてくれるけど、おしっこをしてしまい、部屋を汚してしまう…お客さまが来ると興奮しておしっこをしてしまうので、お客さまのお洋服を汚してしまわないか心配…などということはありませんか?

一般的にうれしょんと呼ばれる、嬉しい時や興奮した時などに見られる少量の尿漏れを、獣医学用語では専門的に『服従排尿』や『興奮排尿』と呼びます。うれしょんをする時、犬は人が近づくと興奮状態になり、体を丸めてお腹を見せながら少量の排尿をします。獣医学では、服従排尿も、興奮排尿も不適切な排尿として扱い、適切なトレーニングで改善させることは可能だと言われています。しかし、いずれも病気が原因の排尿異常や尿漏れとの区別も必要です。

 

うれしょんとはどんな事をいう?

普通のおしっことどこが違うの?

まず、排尿姿勢についてです。
通常の排尿姿勢では、雄犬では一後肢のみを高く上げる姿勢でおよそ90%を占めていると言われています。去勢手術を終えた犬でも野外ではこの姿勢をとることが多いです。室内などの狭い場所での排尿、また排尿を我慢していた後では、雄でもしゃがみ込んだ姿勢をとることがあります。雌犬では腰を落としてしゃがんだような姿勢、または少し後肢を上げる姿勢がほとんどです。4歳以上になると、雄のように後肢を上げる犬もいます。
うれしょんでは、犬は人が近づくとうずくまり、転がり、お腹を出した姿勢で少し排尿をしてしまいます。この転がってお腹を向ける姿勢は犬にとって服従を意味します。
通常の排尿では、膀胱に溜まった尿の排泄が目的です。一方、うれしょんは、犬の気持ちを表現したもので、服従であったり、犬が飼い主さんを大好きで、一緒にいて嬉しいという気持ちの表れでもあります。

うれしょんは何か病気?

うれしょんは病気ではありません。
服従排尿は、特に仔犬でよくみられる行動ですが、とても服従的な犬の場合や、犬が恐怖を感じている相手、または支配的な相手に対しては成長後も服従排尿を行うことがあります。また、興奮しやすい性格の犬では、嬉しい時や興奮した時に、少量のおしっこをお漏らししてしまう事があり尿漏れの一種です。動物行動学的な観点からみれば、異常排尿として扱いますが、疾患というわけではありません。
動物病院では、オーナー様からのお話や状況からうれしょんであると認識することが多いですが、尿漏れの中には、病気や先天的な異常が原因のこともあります。

排尿異常が見られる病気

まず、今出ている症状が病気によるものではないことを否定することが必要です。排尿異常、尿漏れを起こしてしまう代表的な疾患をご紹介したいと思います。

神経性の尿失禁

  • 椎間板疾患による神経障害
  • 外傷による脊髄損傷や骨盤神経損傷
  • 脊髄腫瘍

など。

膀胱を支配する神経が障害を受けることが原因となり、膀胱が麻痺をします。自力で排尿ができないため、お腹に力が入ったときなどに膀胱に貯溜した尿が少しずつ漏れ出します。

非神経性の尿失禁

  • ホルモン反応性尿失禁
  • 尿道括約筋の機能不全

など。

成犬の特に避妊済みの雌犬によくみられます。尿道が緩んでいるため、膀胱に尿が貯溜すると尿の圧力で漏れ出てしまいます。

解剖学的な異常

  • 異所性尿管
  • 膣の狭窄

など

いくつくらいからある?

うれしょんは通常、仔犬でよくみられます。
成犬でのうれしょんは、成犬になってもうれしょんが残る場合、今までなかったのにうれしょんをし始めてしまう場合とがあります。その場合、犬の性格がとても服従的だったり、相手に対して犬が恐怖を感じていたり、支配的だったりします。また、環境の変化などで犬がストレスに感じている場合もあります。しかし、成犬になってからのうれしょんは、基本的には、飼い主さんが大好きだったり、飼い主さんに依存していることの現れであることが多いものです。

うれしょんを考える?

うれしょんの原因は?

  • 年齢的なこと : 仔犬では服従排尿をすることが多くみられます。
  • 犬が興奮しやすい性格
  • 犬が服従的な性格 : 気の小さい、気の弱い犬では服従排尿をします
  • 犬が飼い主に依存している

1つでも当てはまればうれしょんの原因になる可能性があります。もちろん、複数の原因が関係していることもあります。

うれしょんのよくあるタイミング

  • 家族が帰宅した時
  • 犬が興奮した時
  • 褒められた時
  • 来客があった時

怖くておしっこを漏らすよくあるタイミング

  • 怒られた時 : 悪いことをして怒られると分かっていても漏らすことがあります。服従の意味もあります。
  • びっくりした時 : 雷や花火など突然の大きな音、熟睡していて突然触られる、といった場合です。
 

うれしょんの防止方法

うれしょんの治し方

まず、うれしょんをしてしまっても絶対に怒ってはいけません。うれしょんをされると私たちが困るのであり、犬が悪い事をしているわけではありません。犬が自分より上位のものに対して服従をすることは、祖先であるオオカミから受け継いだ習性です。また、犬が飼い主さんを大好きだということでもあるのです。
犬と接する時には感情的に興奮しないように努め、特に犬と触れ合う時には静かに近づくなどしてください。興奮しやすいような高い声で犬に話しかけるのはもちろんやめましょう。特に帰宅時には、犬が完全に落ち着くまでは無視し、一度排泄させてから触れ合うなどの対策をとるとよいです。定期的に排尿をさせ、膀胱を空にしておくことも大切です。
興奮してうれしょんをしてしまう犬に対しては、落ち着いて座ったり、伏せをしたりという行動が褒められたり、関心を引くということを根気強く教え、学習させます。
抱っこをするとうれしょんをしてしまう犬では、抱っこをしてうれしょんをしてしまったら一度抱っこから下ろし、落ち着くまでは構わないようにして、お漏らしをすると抱っこをしてもらえないということを学習させます。
また、うれしょんをして飼い主さんの反応を見ている犬もいます。構って欲しい犬では、たとえ怒られてもよいので構ってもらおうとします。うれしょんをした時に過剰な反応をすることは犬の期待に応えることでもありますので、落ち着いて対処することが大切です。

家庭でできる対策

愛犬がうれしょんをしてしまうタイミングで犬におやつなどのご褒美を与えながら、尿を漏らしたり、すくんだりせずに落ち着いて座ることを家族皆で教えるとよいでしょう。
来客がある場合やうれしょんをすると困る場所では、オムツをしたり、マナーバンドをするなどして、汚れないようにする工夫も必要です。また、うれしょんをして困る部屋には入れないようにするようにしましょう。

うれしょん対策

外出中でのうれしょんも困りますよね。うれしょんをしてしまうと分かっているのであれば、オムツをしたり、マナーバンドをすれば他の人に迷惑をかけずにすみます。
公共交通機関を利用する場合には、あらかじめキャリーケースに入れるなどして、人と接触をしないようにするとうれしょんの予防にもなりますね。

まとめ

犬も私たちを困らせようとしてうれしょんをしているわけではないのですね。よく観察すると、お腹を見せて申し訳なさそうにしている様子ともとれますよね。うれしょんをされた時、「ダメだよ」などと言った事もあるかと思いますが、注意したり怒ったりするのではなく、落ち着いていいんだよ、と犬を安心させ、自信を持たせてあげてください。
犬とは主従関係が必要ですが、犬を必要以上に怖がらせる必要もありません。愛犬と良い関係を築き、楽しい生活を送ってください。