2017年9月27日更新

犬の涙やけはどうしておこる?原因、改善方法を獣医師が解説!

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涙やけは、目、特に眼頭から涙が溢れてしまい、涙が溢れて濡れた部分の被毛や皮膚が変色してしまう状態を指します。被毛の色の濃い犬では目立ちにくいですが、被毛が白色であったり、薄い色の犬では目立ちやすいため、気になる方も多いと思います。涙が溢れてしまうという状態は、涙の量が多い、または、涙の量は正常でも目から涙がうまく流れ出ていかない、などが原因ですが、それぞれ、疾患によるものの可能性もあります。また、涙やけを起こした部位は臭いの原因になったり、ひどいと皮膚がただれてしまい、治療が必要になる可能性もあります。
今回は見た目にも気になる、病気が原因になっているかもしれない涙やけについて、その原因と対策についてのお話です。

 

涙やけの原因を特定するには?

涙やけのおこる仕組み

涙は、眼の涙腺で作られ、眼頭付近に位置する鼻涙管から鼻に流れ出ます。何らかの原因で、この一連の流れに異常が生じたために、涙がうまく目から流れなくなり皮膚に流れ出てしまうことがあります。その異常とは、涙が作られすぎてしまうこと、そして、涙がうまく流れ出ていかないこと、またはその両方が考えられます。涙が皮膚に流れ出ると、皮膚の分泌物や皮膚の常在細菌などと反応して、被毛を変色させてしまいます。これを一般的に涙やけといいます。

涙やけの原因特定する方法

動物病院に行くと、まず視診といって、目視で眼の状態を確認します。
犬が目を気にしていないかどうかだけでなく、眼の周囲の状態眼に充血がないか、など眼そのものの異変を調べ、病気の可能性がないのかを確認します。病気の可能性がある場合には、症状に応じて、眼の検査を行います。

獣医師に行く前に飼育情報を確認する

トリミングの必要な犬種では、最後にいつトリミングをしたのか、また、いつシャンプーをしたのかが分かるとよいですね。トリミングやシャンプーを行うと、シャンプーが眼に入ったり、タオルで乾かす際にタオルで眼の表面を傷つけてしまうなどということがあり得ます。また、トリミングやシャンプーの際に犬が嫌がり、無理な動きをしてしまった時に、誤って眼を傷つけてしまうこともあります。眼に異物が入ったり、眼の表面を傷つけてしまうと涙が増える原因になります。
この他、同居動物の有無なども参考になります。犬だけでなく、猫、その他小動物であっても、私たちが見ていない時に接触し、眼に異物が入ったり、傷つけてしまうこともあるかもしれません。

自己判断は危険

涙やけの原因はいろいろ考えられ、時として病気の症状のひとつであることもあります。
自己判断での処置や点眼は危険なこともありますので、動物病院で眼の状態を確認してもらい、適切な指示を受けてください。

犬の涙やけの主な原因と対策

先ほどお話した通り、涙やけの原因には、涙が増える場合と、うまく流れ出ていかない場合、大きく分けて2つあります。それぞれに対して原因と対策を挙げていきたいと思います。

涙が増える場合

眼に刺激がある場合には涙が増えます。

異物混入

眼に物が入った時、私たちでも涙が増えますね。それと同様のことが犬でも起こります。逆睫毛が生えている、眼の周囲の被毛が長く、常に眼に入っている時にも、場合によっては眼の表面を刺激し、涙が増える原因になることがあります。
異物の存在があるかどうかや目を刺激してしまうような逆睫毛が生えているかどうかは動物病院で詳しく目の中を診てもらわないとわからない場合も多いです。
被毛が長くなって目に入っている場合には、短くカットして、眼に入らないようにしましょう。

角膜の傷

角膜の傷は表層であるほど痛みが強く出て、涙も増えます。涙が増える他、目が充血したり、痛そうに目をショボショボさせたりします。

涙がうまく流れ出ていかない

鼻涙管の入り口が詰まっている時には、涙が鼻にうまく抜けずに目から溢れてしまいます。
洗面台を思い浮かべてください。蛇口から常に水が流れて、洗面台に溜まります。もし、排水口が詰まっていたら、洗面台から水が溢れてしまいますよね。
鼻涙管の入り口が詰まる大部分の原因が、下眼瞼の形です。生まれつき下眼瞼が内反していると、鼻涙管の入り口の向きが変わり、うまく涙が流れていかない、という状態になります。

 

自宅でやってよいケアとやらないほうが良いケア

自宅でやってよいケア

目の周りの長い被毛をカットしてあげる

被毛が目の中に入ると涙が増え、涙やけを起こしたり、悪化させたりします。

涙を拭いてあげる

涙が増えても、こまめに拭いて手入れしてあげることで、分泌物や常在細菌との反応を防ぐことができます。

涙やけをしている部分を清潔にする

涙やけを起こしている部分は、臭いや皮膚炎の原因にもなります。清浄綿などを用い、できるだけ清潔に保ってあげてください。

自宅でやってはいけないケア

獣医師の指示無しに点眼薬(人体薬、動物薬問わず)をする

もし、何らかの疾患が隠れている場合には、悪化させてしまう場合もありますので、もし、『前に獣医さんでもらった目薬』が余っていても、使用は控えてください。

涙やけをしている部分を消毒剤を用いて消毒する

涙やけをしている部分は目の近くです。もし、消毒剤が目に入ってしまうと危険です。消毒剤を用いての消毒は控えてください。

涙やけしやすい犬種、涙やけしにくい犬種

涙やけしやすい犬種

  • チワワ
  • トイ・プードル
  • マルチーズ
  • シー・ズー

など。

同じ犬種でも、毛色の薄い犬の方が涙やけが目立つため、酷いように感じます。

涙やけあまりしない犬種

  • ミニチュア・ピンシャー
  • ミニチュア・シュナウザー
  • ジャック・ラッセル・テリア
  • ラブラドール・レトリバー

など。

全く無いわけではありませんが、涙やけをしてしまう犬は少ないように思います。

犬の涙やけの予防

衣環境で予防

トリミングの必要な犬種でしたら、目の周りは短くカットして目の中に被毛が入らないようにすることも予防につながります。まだトリミングに出せない月齢でしたら、動物病院でも顔回りだけでもカットをしてくれるところもありますので、ご相談いただいても良いと思います。また被毛を伸ばしている場合には、縛るなどして目に入らないようにしてあげてください。

食生活で予防

フードを変えることで涙やけが治る、涙やけが少し良くなる、などと言われることがあります。涙やけは、涙と皮膚の分泌物、皮膚の常在細菌が反応して起こりますので、フードを変えることにより、分泌物や常在細菌に何らかの変化が起こるのかもしれません。学術的には根拠はありませんが、トライしてみるのも1つの方法です。

散歩の仕方

散歩が直接的に涙やけの状態に影響することは考えにくいですが、眼瞼の内反がある犬などでは涙量が増えれば、涙やけもひどくなります。草むらに顔を突っ込んで臭いを嗅ぐなどの行為は、目に草が入って刺激になる可能性もありますので、控えた方が良いかもしれません。

シャンプーの仕方

散歩と同様に、シャンプーが涙やけを改善したり悪化させたりする直接の原因にはなりにくいです。しかし、シャンプーが目に入ると炎症を起こしてしまいます。その結果、涙が増えて涙やけを悪化させてしまう可能性がありますので、シャンプーをする際には涙やけの予防だけに限らず、目に入らないように注意が必要です。

まとめ

涙やけについていかがでしたか?動物病院でも涙やけを気にされてご来院いただく方も多くみえます。涙やけは病気ではありませんが、涙やけを起こすと見た目にも気になります。もし、病気が原因であったり、涙やけを起こしている部分に炎症を起こしてしまえば犬も苦痛でしょう。また、それを見ている飼い主さまも心が痛いと思います。涙やけは瞼の形や分泌物などとの反応なので、体質的な部分がその原因の大部分を占めます。この記事が涙やけの予防や対策の参考になればと思います。