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ふわふわした毛並み、大きな瞳で人気のうさぎ。たくさんの種類を見かけるようになりました。
うさぎは犬や猫に比べて感情表現がわかりにくく、体調の変化に気づきにくい面があります。
健康な日々を送れるようにするために何に気をつければよいのでしょうか?ウサギの体の特徴、食べ物、環境、気をつけたい病気について解説します。
うさぎとはどんな生き物か?
食べ物
うさぎはもともと山や林で生活していました。そのようなうさぎがペットとして改良されました。
野山を駆け巡っていたうさぎは、木の皮や食べても問題のない草などを選んで食べていました。
ペットとして飼われているウサギの食事は基本的に草です。次のような食べ物をお勧めします。
- チモシー
- ペレット
- 緑黄色野菜
- りんごなどの水分の少ない果物
店頭に、ビスケットなどのおやつが販売されていますが、もともと炭水化物などは苦手なので多給はお勧めできません。
臭い
うさぎ自身はそれほど体臭が強い動物ではありません。しかし、尿臭は比較的強く独特のにおいがします。
うさぎは生殖器の付近(正確にはソケイ腔)に臭腺を持っています。よく見るとねばねばした黒い塊が付着していることがあります。
ここから、分泌物は分泌され、なにか臭うなと思うウサギのにおいのほとんどが臭腺のにおいです。
ねばねばした塊は無理に取ろうとすると嫌がりますので、少しずつゆっくりとっていきましょう。
適正温度
理想温度は19~24度、湿度は30~50%です。比較的涼しく、からっとした環境を好みます。
うさぎは基本的に暑さに弱く、寒さに強い動物です。
30度以上の環境では熱中症になりやすく、湿度が高い季節(梅雨~夏)は気温がそれほど高くなくても体調を崩しやすくなります。
室内で飼っている場合は、人が快適な環境であればウサギにとっても快適だと考えましょう。
室外の場合は、夏は自分で快適な場所に移動できるような環境にしておく必要があります。
冬は日当たりのよい環境を確保し、5度以下の外気温になる場合は室内に入れたり、室内に入れることが困難場合は暖を取ることができるように工夫しないといけません。
特徴
うさぎの特徴は、大きな耳と広い範囲を見ることができる目です。
ほかには、一生伸びる歯を持つことと丈夫に見えますが骨がもろいことです。それぞれについて詳しく解説していきます。
耳の特徴
耳は大きく集音機の役割をし音のする方向へ向きを変えることができます(たち耳のうさぎのみです)。
ほかに耳には太い血管があり暑いときには熱を放散するためのラジエーターの役割をします。
目の特徴
目が頭の側面に位置しているので広い範囲を見ることができます。
歯の特徴
切歯と臼歯を持ちます。切歯は上に4本、下に2本あります。正面から見ると2本しかないように見えますが、裏側に小切歯と呼ばれる小さな歯があります。
臼歯は上に6本、下に5本あります。全部あわせて28本あります。これらの歯は一生伸び、1ヶ月に約1cm伸びるといわれています。
骨の特徴
かなりのスピードで走り、ぴょんぴょん飛ぶ姿からは想像できないほどうさぎの骨はもろく「ガラスの骨」と呼ばれるほどです。
背中側から抑えたりすると背骨が折れてしまったり、激しく暴れただけでも骨が折れることがあるので要注意です。
知能
飼主さんの認識はできます。知らない場所に行ったり、知らない人の声がすると警戒します。言葉の理解は難しいようです。
意思表示はできるうさぎが多く、えさがないとお皿をひっくり返し催促したり、気に入らないことがあるとわざといたずらをしたりすることもあります。
鳴き声
うさぎは通常鳴きませんが、痛みがひどいときやよほど苦しい時には「キューキュー」と鳴いたり、歯軋りをします。歯軋りするようになると、かなり体調が悪いことが示唆されます。
鳴くのは歯軋り以上に悪い状態です。
発情
うさぎは周年繁殖動物で、交尾刺激排卵です。これは1年中繁殖可能な動物で、交尾の刺激があると排卵され比較的高確率で受精し妊娠可能であるということです。
オスとメスが一緒にいると、どんどん増えてしまうのはこの特殊な発情が理由ですので、オスとメスは必ず離して飼いましょう。
メスは、発情期に入ると外陰部が赤く膨らんだようになり、顎の臭腺をものやほかの動物に擦り付けるような動作をします。
この行動を「チン・マーク」と言います。背中を触ったりするとしっぽをよけるような動作も発情の時には起こります。
オスは、縄張り主張のために尿を飛ばして臭い付けを行ったり、人の足や腕にしがみついて腰を動かしたりという独特の動作もします。
他に、気が荒くなり噛みついたりするオスもいます。
繁殖
うさぎの妊娠期間は約30~32日間で、朝方分娩する場合が多いです。
出産予定日の数日前から自分の腹の毛を抜き出産予定の産箱にクッションの用に敷き詰めるような動作をします。
出産後は犬や猫のようにつきっきりで抱いて育てることはまれで、授乳も1日1回行うのみです。
これを育児放棄と間違えて産箱を覗いたりすると、安心して子育てができないと判断し子供を噛んでしまうこともありますので、覗かないように気をつけましょう。
分娩後の交尾で、妊娠・出産可能なので1年間に8回は出産可能です。
新生仔は毛の生えない状態で生まれ、眼も耳の穴も最初は開いていません。
約10日で目や耳の穴が開きます。このころになると歯も生えてくるので、草や牧草などをかじるようになります。
このように早熟ですが、まだまだ消化機能は未発達で、消化しにくいものに対応できるようになるのは生後6週齢以降です。
このころに母うさぎと離してしまうと、致命的な下痢を起こしてしまうことが非常に多いので、母うさぎから完全に離さず様子を見るべきです。
完全に母うさぎと離れて自立できるのは8週齢以降です。
うさぎの飼い方
必要なグッズ
- ケージ
- 給水器
- 皿(底の平たい安定した形のもの)
- 小屋
- トイレ
- 餌(ペレット、チモシー)
住環境
- 床材(硬いものは不向きです。チモシーなどのわらを用いるほうがウサギの足の裏のトラブルを防ぐことができます)
- 小屋
- 水
- 餌
- トイレ(ケージの隅に固定したほうがよいです)
ケージは直射日光が当たらない場所で、人の出入りの多い場所は落ち着かないので避けるようにします。
ウサギは捕食される側の動物なので、外敵に襲われない場所を選びます。同居動物に猫や犬がいる場合は同じ部屋には置かないのが無難です。
温度は、19~24度が最適なので気温が上がりやすい窓辺やベランダに近い場所は不向きです。
食生活
ウサギは草食動物なので、ペレットや牧草(チモシー)を中心に与えます。
ペレットはソフトタイプからハードタイプまでありますが、歯が1ヶ月に1cm伸びるので、できるだけすり減らすためにもハードがよいでしょう。
また、ペレットは硬そうに見えますがウサギの歯にとってはやわらかく歯が磨り減りにくくなります。ペレットが流通するようになってウサギの栄養的な問題は減りましたが、歯が磨り減りにくくなり歯の伸びすぎや歯のゆがみなどの問題が多発しました。
そのためチモシーなどの繊維分が多い草を中心に与えるほうがよいといわれています。食事を与えるときには、チモシー:ペレット:野菜=7:3:1の割合がよいといわれています。
また、ウサギは四六時中食べる動物なので餌は入れっぱなしにしておきます。
野菜で与えてもよいのは「小松菜・青梗菜・カブや大根の葉・にんじん・ブロッコリー・パセリなど」野草であれば「タンポポの葉・クローバー・ハコベ・ぺんぺん草など」を与えてもよいです。
しつけ
ウサギはかなり几帳面ですのでトイレのしつけは比較的やりやすいです。
大体決まった場所に排泄するので、そこにトイレを設置するとよいでしょう。噛み癖はオスに多いのですが矯正は非常に難しくエスカレートすることが多いので、あまりひどくなるなら去勢手術を行うこともあります。
接し方
ウサギを抱き上げるときにはおしりに手を添えるように抱くのがコツです。
不安定になるとこわがり暴れてしまい、落としてしまいます。なでるときも急に手を出すとびっくりさせてしまいますので声を掛けながら触るようにしましょう。
ストレス解消方法
ウサギのおもちゃには、犬や猫のようにはしゃいで遊ぶタイプのものより「かじるタイプ」のおもちゃが多いです。
ゲージに取り付けてかじらせる木、とうもろこしを硬く干したおやつを兼ねたものなどをかじりストレスを発散させます。
お手入れ方法
ケージ内の掃除はこまめに行いましょう。
特にトイレの掃除は健康チェックもかねて毎日行います。糞の量、大きさ、形をチェックすることで食欲、腸内のトラブルなどがわかります。
ウサギは基本的にシャンプーしませんが、高齢になるとおしり周りに糞や尿がついてしまい毛とともに固まってしまうことがあるので、そのような際にはおしりだけシャンプーすることもあります。
普段はブラッシングを定期的に行い、特に換毛期にはしっかりブラッシングします。ウサギはきれい好きなので1日の中で数回体を舐めたり軽くかみお手入れをします。
換毛期には抜け毛が沢山でるので、これを飲み込み毛球症になる確率が高くなります。長毛種のうさぎは特に気をつける必要があります。
爪は犬と同様出し入れができない構造です。細く長い爪が生え、削れる機会が少ないと長く伸び、ねじれてしまうこともありますし、折れてしまうこともあるのでこまめに切りましょう。
うさぎの飼育の注意点
- 温度に注意しましょう。最適温度は19~24度です
- 湿度にも注意しましょう。最適湿度は50~60%です。
- 様々なものをかじるので脱走に注意
- 硬い床やゲージ内のすのこは足の裏をいためますのでできるだけやわらかいものを選びましょう
- ウサギは1ヶ月に1cm歯が伸びますので、歯が磨り減るような硬いものをかじらせる必要があります
臭い
ウサギは尿臭が強いので、トイレの掃除をこまめにしましょう。拭くだけでは臭いは取れないので、洗い天日干しにしたほううが良いです。
消毒するときにはアルコールは絶対に使わないでください。ウサギはアルコールに弱いので最悪の場合ショック死します。
脱走
家の中で脱走してしまった時に注意しなければならないのは、感電です。ウサギがコードをかじってしまい感電してしまうケースがあります。
また、布団やじゅうたんをかじりぼろぼろにしてしまうだけでなく、食べてしまい腸閉塞になってしまうこともあります。
ラグの下や隙間に入り込んで出てこなくなってしまうこともあります。間違って踏んでしまい骨折させてしまうこともあるので、脱走させないように注意しましょう。
外で散歩させるときにはハーネスが抜けて逃げてしまうことがあります。野良猫や犬、タヌキなどに気づかれると襲われてしまいます。
外で散歩させるときには絶対に逃がさないようにして下さい。
暑さ寒さの注意点
ウサギは暑さに弱く、寒さには比較的強い動物です。
- エアコンのない部屋
- 廊下
- 日のあたる窓際
- 熱がこもりやすい壁際
などはウサギが体調を崩しやすいのでゲージを置く場所としては不向きです。
また、寒さには比較的強いですが、隙間風が入る場所や極端な寒さはやはり風邪(スナッフル)をひかせてしまい、致命的な状態になることもあります。
冬に強いとはいえ保温はしっかり行いましょう。
換毛期
換毛期にはいると頭の先からおしりまで順番にどんどん被毛が生え変わります。換毛期は1年に2回あり、夏前と冬前に多いです。
しかし、室内で快適な環境で生活することが多いペットのウサギの場合は1年中だらだら抜けているケースも増えています。
換毛期にはいるとウサギは特に熱心にお手入れをするようになり、体のあちこちを舐めたりかんだりして抜け毛の処理を行うようになります。
この抜け毛を食べてしまい便とともに排泄できなくなると毛球が胃の内壁に付着し毛球症という状態になります。
これはウサギにとって致命的になる可能性の高い病気です。
換毛期に入ったらブラッシングを毎日行いウサギが毛を飲み込む割合を減らしましょう。
また、毛球症対策のサプリメントがありますので普段から与えるのも大切です。
飼育環境の床
ウサギの足の裏は犬や猫のように肉球がなく短い毛が絨毯のように生えています。
本来は野山を跳ねながら走る動物なので、草や土などの硬さ以上のものはウサギの足には負担になります。
硬い床で生活するとだんだん足の裏の毛が抜けてしまい皮膚を痛め潰瘍化することが非常に多くあります。
また、フローリングの床は肉球のないウサギが歩いたり飛んだりすると滑ってしまい、関節を痛めたり骨折の原因になることもありますので注意してください。
診察する獣医が少ない
ウサギの診察を行う獣医師は少なくないですが、手術や専門的な治療が必要になると対応が困難な場合もあります。
まず、近隣でウサギの診察可能な動物病院を見つけておくことが大切です。
かかりやすい病気
毛球症
飲み込んだ毛が便とともに排泄されず、消化管特に胃の内壁に大量に付着し消化ができなくなる状態です。
重度の場合は手術で毛を取り除くう必要があります。普段からブラッシングを行ったり、毛球症対策のサプリメントを利用することが大切です。
咬合不全
ウサギの歯は1ヶ月に1cm伸びます。食事やかじり木などで磨り減る機会がないと歯が伸びてしまい、食事がとれなくなります。
伸びてしまった歯は麻酔下での処置が必要になります。
足底糜爛
うさぎの足の裏は犬や猫のように肉球がなく細かい毛で密に覆われたような構造です。
ケージの床がプラスチックやすのこの場合、ウサギの足には硬すぎるため皮膚が炎症を起こし潰瘍のような状態になってしまうことがあります。
床材は牧草などのできるだけ吸水性の良い柔らかいものを選び足の裏を保護する必要があります。
寄生虫感染(耳ダニ・ツメダニなど)
耳ダニは非常に痒みが強く、耳介の中にコケのような付着物が大量に出ます。
また、ツメダニは皮膚に寄生するダニですが、フケが大量に出ることで比較的発見は容易です。ツメダニは人にも感染しますので要注意です。
スナッフル
ウサギの上部気道疾患(呼吸音の異常や鼻水など)の俗称です。ひどくなると膿性の鼻汁が出て、口で呼吸すると下痢になり全身状態が悪化することもあります。
斜頸
寄生虫や細菌感染、その他原因がわからない場合もありますが突然首が傾き、重症化すると頭だけでなく体がねじれたようになり、体勢を維持できずゴロゴロ転がってしまう場合もあります。神経症状の一種です。
生殖器疾患
雌では卵巣疾患や子宮蓄膿症、雄では精巣腫瘍が良く見られます。内服薬では治療できず、手術が必要になります。
寿命
寿命は平均6~10歳です。
うさぎの種類とは
ペットとして飼育されているうさぎ
ペットのウサギは愛玩用に改良され、1800年代にオランダなどで改良が進みました。
体型・被毛の長さ・毛並みや毛色などで細分化され多数の品種が生み出されました。小型種から大型種まで現在約150種類以上の品種があります。
耳の形や体格の大きさで、ドワーフ、ロップなど多くの種類に分類されています。
うさぎの人気の種類
ネザーランドドワーフ
性格
活発で好奇心旺盛だが、神経質な面がある
特徴
理想体重は900g、最小種のウサギです。丸い頭で首が短く、尖った短い耳介が特徴です。色は薄い茶色で口の周囲やあごに白い毛があります。
原産国と原種
原産国 | オランダ原産 |
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原種 | ウサギ科アナウサギ |
ホーランドロップイヤー
性格
性格は温和で噛み癖はほとんどありません。
特徴
理想体重は1.4kg、たれ耳ウサギの代表です。胴体は短く筋肉質で、大きな丸い頭を持ち目の幅は広いです。
原産国と原種
原産国 | オランダ原産 |
---|---|
原種 | ウサギ科アナウサギ |
アメリカンファジーロップ
性格
性格は温和で、噛み癖もほとんどありません。
特徴
長毛種のたれ耳のウサギで、長毛の被毛は細くてふわふわした綿毛でぬいぐるみのような印象です。
理想体重は1.6~1.7kgです。
原産国と原種
原産国 | アメリカ原産 |
---|---|
原種 | ホーランドロップとイングリッシュスポット・フレンチアンゴラの交雑種です |
ライオンヘッド
性格
落ち着きがあり、なつきやすい性格
特徴
毛が長くボリュームがあり、ライオンのたてがみのように頭の周りに毛がふわふわと生えているのが特徴です。
耳の形はたち耳が多いですが、近年たれ耳も見かけるようになりました。
原産国と原種
原産国 | ベルギー |
---|---|
原種 | ウサギ科アナウサギ |