2017年10月10日更新

【獣医師が解説】猫の散歩~注意点と安全に散歩するためのコツとは?

後藤大介



獣医師

 

最近、猫の散歩をさせている人を見かけることがあります。猫の散歩、「やってあげた方がいいのかな?」と疑問に思っている愛猫家の方も多いのではないでしょうか。

猫の散歩にはメリットもありますが、デメリットもあり、いくつか気をつけておきたい点もいくつかあります。

今回は、そんな猫の散歩についての記事です。お家の猫の散歩を考えている人はぜひ参考にしてみてくださいね。

 

猫に散歩は必要か?散歩のメリット・デメリット

まずは猫に散歩をさせるメリットとデメリットを知っておきましょう。

猫の散歩のメリット

  • 外の世界を見ることで刺激になる
  • 好奇心を満たし、ストレスの解消になる
  • 運動不足の解消になる

猫の散歩のデメリット

  • 脱走のリスク
  • 喧嘩や事故の可能性
  • ノミ・ダニ・ウイルスなどの感染症にかかるリスク
  • 外の世界を知ることで、外に行きたい欲求が強くなる

散歩の事前準備

散歩のメリット・デメリットが理解したうえで、愛猫を散歩に連れていきたいという場合には、以下のようにしっかりした事前準備をしましょう。

準備する道具

ハーネスとリード

猫の散歩には首輪ではなく極力ハーネス(胴輪)を準備するようにしてください。犬に比べて首と顎の部分の太さの差が少なく、体が柔らかい猫では、ちょっと引っ張るとすぐに首輪が抜けてしまうことがあります。その点、胴と胸の前でつけるハーネスは抜けてしまうリスクが少なく、引っ張っても比較的安全に使うことができます。

ハーネスにはいくつかのタイプがありますが、左右の前足に輪になった部分を通し、背中で止めるというものが多くなります。ぶかぶか過ぎずきつ過ぎない、愛猫に合うサイズのハーネスを準備しましょう。

また、ハーネスにはリード付きのものとそうでないものがありますので、付いていない場合にはリードも必要になります。

リードの長さはさまざまですが、1.5~2mくらいの長さを選びましょう。あまりに長すぎると、リードをつけていても事故を起こす危険がありますし、植木の中などに入り込んでしまうこともあります。

洗濯ネットもしくはキャリーバッグ

散歩に慣れないうちは、洗濯ネットもしくはキャリーバッグも念のため携帯しましょう。

これは怪我や事故に遭ってしまった時にさっと入れて連れて帰るためです。怪我や事故に遭った猫は異常な興奮状態になるので、普段大人しく抱っこさせてくれる子でも抱っこさせてくれないことがあります。

必ず猫を入れて安全に連れて帰れるものを携帯しておきましょう。

伝染病の予防対策

外の世界には、家の中にはない伝染病のリスクがいくつか存在します。そのため、外に行くためには伝染病予防のためのワクチンやノミダニ予防が必要になります。

ワクチン

散歩をする猫にはワクチンは必須です。猫用のワクチンには3種・4種・5種・6種などさまざまな物がありますが、最低3種のワクチンは打ってもらいましょう。

野良猫が多い地域や1歳未満の猫、高齢や病気があって免疫が落ちている猫では野良猫の排せつ物から白血病ウイルス(FeLV)をもらってしまう可能性があるので、FeLVワクチンを含む4~6種のワクチンを打ってもらった方がいいでしょう。

ノミ・ダニ予防

ちょっとした草などにノミやダニがいることもあるため、外を散歩する場合は夏場を中心にノミ・ダニ予防をしてもらう必要があります。

1か月以上効果のあるノミ・ダニ予防薬を、背中に垂らす「スポットオン」製剤や飲み薬として動物病院で購入することができます。

ペットショップで販売されているものは安全性や効果の面で不安があるので、必ず動物病院で処方してもらうようにしましょう。

ルートを探す

猫の散歩のためには安全なルートを探すことが大切です。以下のような条件に当てはまるルートが理想的ですので、しっかり探しておきましょう。

  • 車通りが少ない、もしくは広い歩道がある
  • 犬や猫があまりいない
  • 人通りも少ない
  • 藪や草むらが少ない(ヘビにかまれるなどの事故が多いです)
 

猫を散歩させる際の注意点

外のパニックに要注意

猫は警戒心の強い動物ですので、ちょっとしたことでパニックになってしまいます。特に気をつけたいのは、

  • 急な物音(車・子供の声・動物の鳴き声など)
  • 動きの速い物(自転車やバイクなど)

です。

パニックになった場合は狭いところに入れて、音や視界を遮ることが一番です。

洗濯ネットに入れて大きめのタオルで隠したり、キャリーバッグに入れてしばらく刺激しないようにしましょう。

パニックになってしまった時のために、洗濯ネットやキャリーバッグは必ず持ち歩くようにしてくださいね。

猫がやってしまう可能性があること

散歩中に猫がやってしまう可能性のある危険な行為は以下の通りです。

  • 驚いて急に走り出してしまい、事故に遭う
  • ハーネスを抜けて脱走してしまう
  • 猫や犬を見て興奮して喧嘩になってしまう
  • リードが長すぎて植木の隙間などに入ってしまう

これらのことができるだけ起きないように、散歩コースや散歩の方法をしっかり考えてあげましょう。

散歩の後の猫の確認

散歩の後には以下のような点に注意してください。

  • 虫が付いていないか(ノミやダニなど)
  • 触って嫌がる箇所や猫が気にして舐めている部位はないか
  • びっこを引いていないか

これらのことは、帰ってきてすぐと、次の日にはしっかり確認しておきましょう。小さなけがの場合、数日後に腫れてきたり膿んできたりすることもあるので注意してみてあげてくださいね。

猫の適切な散歩方法とは?

散歩の方法

一般的に、猫の散歩は以下のようにしてもらっていることが多いです。

散歩の間隔

特にこれという決まりはありません。犬のように毎日行く必要はないので、気晴らし程度に週1~2回くらい散歩している人は多いです。

毎日散歩に連れて行ってもいいですが、この先継続して行ける場合だけにしておきましょう(毎日行っていたのに急に行かなくなると、猫のストレスになってしまいます)。

散歩の時間

基本的には明るい時間に行くようにしましょう。暗くなってからだと予期せぬ事故や野良猫とのケンカのリスクが増加してしまいます。

散歩の長さ

特に決まりはありません。5分程度外を経験させるだけでもいいですし、30分~1時間しっかり散歩してあげてもいいです。

通常、30分程度であれば十分で、1時間以上の散歩は必要ありません。

散歩のやり方

まず最初は、リードを短く持ち、猫が自由に動けるスペースをほとんどとらないようにしましょう。

これは、散歩に慣れていないときに猫がどのように動くか予測できない場合には、安全のために絶対必要です。猫も飼い主さんも馴れてきたら徐々にリードを長く持ち、自由に動けるようにしましょう。

また最初は、家の周りの狭い範囲、もしくは安全なところまでキャリーバックで運ぶようにしてください。歩道と車道がなく、すれすれの場所を車が通る道では散歩しないようにしてくださいね。

猫が出す「帰りたい」のサイン

猫が本当に散歩を望んでいるのかはわかりません。以下のような行動がある場合には、楽しいよりも恐怖が強く、散歩がかえってストレスになりますので、散歩を中止するようにしてください。

  • 腰を引いて後ろに重心をかける
  • 地面に伏せる
  • 歩きたがらない
  • 常にびくびくしている

抱っこやキャリーでの散歩は?

ノーリードの散歩はNG

ノーリードの抱っこ散歩は絶対にやめてください。家の中では大人しく抱かれている子でも、外で何かにびっくりするとパニックで逃げたり引っかいたりしてしまいます。

事故のもとですので、ノーリードの抱っこ散歩はお勧めできません。

キャリーでの散歩はおすすめ

また、外の見えるキャリーでの散歩は、外の刺激を見せてあげるのには有効です。怖がりだけど外を見てみたいという猫には、キャリーで外を見せてあげることで安全に散歩ができます。

散歩しない猫

猫の散歩は必ずしも必要でない

猫は散歩しなくても家の中で十分に運動したり遊べる動物です。散歩をしないのはかわいそうということは全くありませんので、家で散歩の代わりにストレスを解消してあげましょう。

散歩しないでも家の中で代わりになること

猫のストレス解消のためにできることは散歩だけではありません。

猫は平面の移動ではなく、縦の移動が好きで、空間を使うことを好みます。そのため、キャットタワーなどの空間を移動できるものを置いてあげるといいでしょう。

また、棚の上などに、猫がくつろげる場所を作ってあげるのもいいです。

それから、猫に刺激となるおもちゃを与えてあげることも有効です。

特に、餌を探すのが好きな猫は多いです。転がすと餌が出て来るボールのようなおもちゃは、本能を刺激して楽しみを与えてくれるおもちゃとしておすすめです。

まとめ

猫の散歩は必ずしも必要ではありませんが、猫によってはストレス発散や運動不足解消などメリットもあります。

その一方で、事故や喧嘩、感染症などのリスクもありますので、散歩をする場合には、この記事を参考にして危険のない安全な散歩方法を考えてあげてください。

散歩をしなくても、猫が快適にストレス少なく生活させることもできますので、それらの工夫も同時にしてあげ、愛猫といい関係を築けるようにしてあげてくださいね!