2017年10月8日更新

事前に知っておきたい。犬と猫を同居させるためのコツと注意点【獣医師が解説】

後藤大介



獣医師

 

動物が好きな人は犬も猫もどちらも好きで、一緒に飼いたいと考える人も多いようです。ただし、違う動物を一緒に飼うというのは、なかなか単純なものではなく、実際やってみるとうまく行かないケースも少なくありません。

そこで今回は、犬と猫を仲良く同居させるために知っておきたい知識とできる工夫についてお話しします。犬や猫を飼っていて、新しく動物を飼いたい時にぜひ参考にしてみてくださいね。

 

犬と猫を一緒に飼う前に知っておくべきこと


まず、犬と猫を一緒に飼うにあたって、知っておいて欲しいいくつかの知識をお話しします。

犬と猫どちらが先?

犬と猫を一緒に飼う場合、どちらが先の方がいいということは一概には言えまえん。一般的に、小さいうちから一緒である方が、大人になってから一緒にするよりもうまく行くケースが多いです。

それから、先住動物が新しい子を受け入れてくれるかどうかが、同居成功の重要なカギになります。

そのため、先住の犬や猫の性格が穏やかで、他の動物を見ても怖がったり警戒したりしない子だと成功確率は高くなります。

社会化前が良い?

犬や猫を同居させる場合は、一方もしくは両方が社会化期であることが望ましいです。

社会化期とは生まれてから数か月(半年程度)の間の時期のことであり、この時期に犬も猫も社会化されます。

社会化期には他の動物や人、環境にうまく適合するためにさまざまなことを覚えます。この時期には警戒心より好奇心の方が旺盛であり、この時期に接したものは、その後の生活で受け入れやすくなります。

逆に、この時期に接したことがない物には恐怖心を覚えやすくなり、大人になってから受け入れるのが難しくなります。

また、犬も猫も母性や父性があると言われており、幼弱な動物には寛容になることが多いです。そのため、大人同士ではだめでも子犬や子猫であれば大丈夫というケースも少なくありません。

できるだけ社会化期のうちに同居させることで、同居の成功確率は上がります。

同居させる組み合わせと注意点

では、犬と猫、それぞれがどのような時期に一緒にするのがいいのか、その注意点と一緒に見ていきましょう。

子犬×子猫

子犬・子猫の組み合わせは最も成功しやすい組み合わせだと言えるでしょう。お互い、好奇心旺盛で警戒心が少ない社会化期に時期に一緒にすることで、それぞれうまく適応してくれることが多いです。お互い力も弱いため、危険な喧嘩をすることも多くはありません。

ただし、子犬子猫は体調の変化が非常に激しいです。どちらかがストレスを感じてしまうと、一気に体調を崩すことがあるので、同居させる場合には、体重の増減や元気食欲はしっかり見ておきましょう。

成犬×子猫

穏やかで社交的な成犬であれば、子猫をうまく親代わりに迎え入れてくれることがあり、この組み合わせも比較的うまく行くことが多いです。

ただし、特に小型犬で怖がりで神経質な犬の場合、子猫にも怖がってしまい、全く慣れなかったり攻撃したりしてしまうことがあります。

攻撃をしてしまった場合には、子猫の命の危険もありますので、一緒にする場合にはできる限り観察できる状況で少しずつ慣れさせましょう。

成猫×子犬

この組み合わせが成功するかどうかは成猫の性格次第です。穏やかで優しい性格の猫であれば、子犬をうまく受け入れて上手に遊んでくれます。

ただし、大型犬の子犬の場合は、体格が大きいため子犬が遊びたくても体格の小さい成猫と上手く遊べず、猫のストレスになってしまうこともあります。

また、高齢の猫では非常に強いストレスになることもあるため、高齢の猫に子犬を組み合わせるのはあまりお勧めできません。

成猫×成犬

成犬と成猫の組み合わせは、最も成功率が低く、お互いの性格が合わないと同居は難しいです。また、大人同士の場合は、けんかで大きなけがをしてしまうこともあります。

そのため、非常に注意深く性格を見てもらい、合わせる際にも徐々に慣れさせる必要があります。

成猫と成犬を一緒に飼い始める場合には基本的には猫をフリーにしておいて犬をケージに入れた状態で徐々に慣らしていくことが大切です。

高齢で大人しいの大型犬と若い猫の場合にはうまく行くことも多いですが、犬がやんちゃな場合は、成猫との同居は非常に難しいのであまりおすすめできません。

犬と猫を一緒に飼う時の工夫

犬や猫の性質、本能の違いを知っておく

犬と猫を同居させる場合には、それぞれの性質や本能の違いを知っておくことが大切です。

すべての犬や猫が以下に当てはまるわけではありませんが、一般的な傾向としてそれぞれの性質や本能を覚えておいてください。

  • 犬はリーダーのいる群れをつくる社会性動物だが、猫は単独行動動物
  • 犬は好奇心が強いが、猫は警戒心が強い
  • 犬はフードを一度に食べるが、猫は1日かけて少しずつ食べる
  • 犬は床でくつろぐが、猫は少し高いところの方がリラックスできる

お試し期間を活用する

里犬・里猫募集から犬や猫をもらってくる場合には、お試し期間を設けてもらえることもあります。お試し期間は、1週間など短期間の間に先住犬や先住猫との相性を見るための期間です。

もちろん、これだけで完全に慣れることはできませんが、ある程度うまく行きそうかどうかがわかります。

この期間にずっと喧嘩をしていたり、一方の動物がストレスを強く感じるような場合には相性が悪い可能性があるので、無理に同居を考えない方がいいでしょう。

一緒に暮らす時の工夫

犬と猫を同居させる際に、やっておいて欲しいおすすめの工夫は以下の通りです。

猫が逃げられるスペース作り

犬と猫の同居の場合、犬が猫を追いかけて猫がストレスを感じてしまうことが多いです。そのため、猫が落ち着いてくつろげるスペースを作ってあげることが大切です。

そのためには、犬が登れない逃げ場所を猫に作ってあげることが有効になります。

キャットタワーやキャットステップなどを使い、少し高い場所にくつろげるスペースを作ってあげるといいでしょう。

また、1日かけてゆっくりご飯を食べる猫のために、犬に食べられない場所にフードスペースを作ってあげるといいでしょう。

猫の爪を切っておく

猫は「猫パンチ」という前足を使った攻撃が得意です。本気でない遊びやじゃれあいの時でも爪が出てしまい、犬の目に入ってしまうことがあります。

特に前足の爪には注意が必要ですので、月に1度くらい前足の爪を切っておくようにしましょう。

お互いが嫉妬しないよう平等に遊ぶ

時々、同居動物に嫉妬してしまう犬や猫がいます。特に甘えん坊な動物の場合、「他の動物が来たから遊んでもらえなくなった」と感じて、同居動物に攻撃的になってしまう子もいます。

できる限り平等に遊ぶよう心がけましょう。新しい動物が来てすぐの時は、新しい動物を気にかけがちになりますが、どちらかと言えば先住動物の方を中心に遊んであげるようにしてください。

 

こんな行動していたら注意

以下のような行動がある場合は、同居でのストレスがある証拠です。時にストレスで体調を崩してしまうこともあるので注意して見てあげてください。

犬の注意点

  • 食欲の低下
  • 異常に甘えて来る
  • ウーと唸る
  • 下痢・嘔吐
  • トイレ以外での不適切な排泄
  • 手足や体を異常に舐める

猫の注意点

  • 食欲の低下
  • 下痢・嘔吐
  • トイレ以外での不適切な排泄
  • 隅に隠れて出てこない
  • 毛づくろいが増える
  • 攻撃性が増す

相性が悪い場合には……


狭い空間を共有するためには、どれだけ工夫しても最終的には相性の問題になってきます。

どうしても相性が悪く、同居がうまく行かない場合には、お互いのストレスになってしまうため、無理せず以下のような方法を試してみましょう。

同居するためにできる工夫

  • 上下で空間を分けておく
  • 猫は自由に部屋を出入りできるようにする
  • 人がいないときは犬はケージに入れる
  • 一定時間のみ一緒にする

どうしてもダメな時の対処方法

どうしてもだめな時は、ストレスや喧嘩による体調不良を起こしてしまうこともあり、無理な同居は犬にとっても猫にとっても不幸なだけです。

その場合は、無理に一緒にしようとしないで部屋を分けてあげてください。1階に犬、2階に猫などとしている家もあります。

それでもうまく行かない場合には、離れを作ったり、犬の鳴き声が聞こえないように猫のための防音部屋を作ってあげるのもいいかもしれません。

家の環境的にそれらが難しい場合には、最終手段としては犬猫どちらかを里親に出さないといけないこともあります。

まとめ

犬と猫が仲良く暮らしている姿は、非常にほほえましく、動物好きの人であれば一度は見てみたい光景です。

ただし、犬と猫は基本的に性質や本能が違う動物であり、自然界で一緒に生活することはないことを理解しておきましょう。

犬と猫を同居させる場合には、仲良くなってくれるのが勿論一番ではありますが、無理に仲良くさせるのではなくお互いストレスを感じないよう工夫してあげることも大切です。

犬も猫も幸せになれるような同居の方法を、この記事を参考に考えてあげてくださいね!