2017年10月4日更新

愛犬は今何歳?ヒトの年齢と比較してライフステージごとの生活を考えよう

後藤大介



獣医師

 

犬の寿命はワクチンやフィラリア予防などの病気予防の普及や、ドッグフード、飼育環境などの向上などによって飛躍的に伸びていますが、それでも犬の寿命は人より短く、20歳を超える子は人の100歳と同じ用に非常に長寿だと考えられます。

お家のわんちゃんが、人で言うと大体何歳なのかお分かりですか?

人と犬では成長や加齢の速度が異なり、あっという間に飼い主さんの年齢を超えてしまいます。

犬でもライフステージごとに生活の仕方や注意点などが異なり、起こりやすい病気も変わってきます。今回は犬の年齢について、小型・中型・大型それぞれで、ヒトと比較しながら考えてみましょう。

 

犬と人の年齢早見表

犬の年齢を人に換算する方法にはさまざまな説がありますが、骨格や内臓の成長、性成熟の時期、寿命などを考え併せて人の年齢に換算してみました。愛犬の年齢を考えるうえで大まかな目安にしてみてください。

生後 人間に換算した年齢 備考
小型犬 中型犬 大型犬
1か月 半年 半年 半年 ミルクから離乳食へ
2か月 2歳 2歳 1歳 徐々に大人のフードへ
3か月 5歳 5歳 3歳
6か月 10歳 9歳 小型・中型犬では早いと性成熟
9か月 15歳 14歳 小型・中型犬では成長が止まる
12か月 18歳 17歳 12歳 大型犬の性成熟
1年6か月 21歳 20歳 16歳 大型犬の成長が止まる
2年 24歳 24歳 19歳
3年 28歳 29歳 26歳
4年 32歳 34歳 33歳
5年 36歳 39歳 40歳
6年 40歳 44歳 47歳
7年 44歳 49歳 54歳
8年 48歳 54歳 61歳
9年 52歳 59歳 68歳
10年 56歳 64歳 75歳
11年 60歳 69歳 82歳 大型犬の平均寿命
12年 64歳 74歳 89歳
13年 68歳 79歳 96歳
14年 72歳 84歳 103歳 中型犬の平均寿命(犬種によるばらつきが大きい)
15年 76歳 89歳 110歳
16年 80歳 94歳 117歳 小型犬の平均寿命
17年 84歳 99歳 124歳
18年 88歳 104歳 131歳
19年 92歳 109歳 138歳
20年 96歳 114歳 145歳
21年 100歳 119歳 152歳
22年 104歳 124歳 159歳 犬の最高齢のギネス記録は29歳193日

 

大きさで変わる年齢の重ね方

犬は体の大きさによって成長スピードや加齢の仕方が異なります。一般的に犬では、体が小さいほど成長スピードは速いですが、加齢スピードは遅いと言われています。

小型犬の場合

小型犬は、6~10カ月齢くらいで性成熟(性的に大人と同じになり、妊娠が可能になること)を迎え、10カ月齢くらいで成長が止まります。そのため小型犬の場合は、1歳になる前に骨格や内臓は大人と同じくらいの機能を持つことになります。

成長が早い一方で、加齢のスピードは遅いため、大型犬に比べると長生きする傾向にあります。1歳以降では、1年で人の4歳分の年を取ると考えておくといいでしょう。通常、8歳以上がシニアという年齢になり、さまざまな加齢性の病気が出て来ることが多いです。

わかりやすく1歳までを子供(パピー)、1~7歳を青年(アダルト)、8歳以上を熟年・高齢(シニア)と考えることが多いです。シニアの年齢に入る8歳は、まだ人で言う40代後半だと考えられますが、健康管理のためには、そのころからシニア用フードを食べておくことがすすめられています。

小型犬の中では、パグやフレンチブルドッグなどは他の犬種に比べると老化のスピードが速くなります。そのため、10歳近くになると見た目や足腰の老化が顕著になる子が多く、寿命も小型犬の中では短い傾向にあります。

中型犬の場合

中型犬の成長は基本的に小型犬とほとんど変わりません。10カ月から1歳くらいまでに大体大人と同じ大きさになり、内臓の機能も大人と同じくらいになります。

老化のスピードも小型犬と似ていますが、若干年の取り方は早く、1年に5歳程度年を取ると考えておいてください。

寿命は犬種により異なりますが、一般的には小型犬より少し短い13,4歳くらいだと言われています。データとしては出ていないようですが、日本犬やそのミックス犬は比較的長生きできる子を見ることが多く、20歳近くまで元気に生きることも少なくありません。

大型犬の場合

大型犬は小型犬や中型犬に比べると成長スピードが非常に遅く、1歳を超えてもまだ体の成長が続くことが多いです。1歳半くらいで大人と同じ大きさになります。

大人になるのは遅いですが、年を重ねるのは早く、1年間にヒトの7歳分年を取ると言われています。そのため、5~6歳でシニアの年齢に入り、高齢期の病気が増えてきます。

また、その分寿命も小型~中型犬に比べて短く、平均寿命は11歳くらいだと言われています。一方で時々非常に長生きの子もおり、15歳を超える超高齢の大型犬を見ることもそれほど珍しいことではありません。

 

犬の年齢の重ね方


ではここからは、年齢とともに見られる犬の変化についてお話しします。

毛並み

犬は人と違い生まれたときからすでに毛が生えています。産まれたての時は、非常に短いものの密に毛が生えています。成長するとともに犬種によっては毛が伸びてきて、子犬のころは非常に柔らかいふわふわした毛が生えていることが多いです。

成犬になるとその毛が少し硬く強くなってくることもありますが、子犬のような柔らかい毛がそのまま残る子も少なくありません。毛の硬さは犬種による違いもありますし、個体差もあります。また、成長するにつれて子犬の時の毛色と少し変わってくることも珍しくなく、一般的には濃い色から少し薄くなることが多いです。

犬が高齢になると、徐々に毛色が薄く白っぽくなってきます。特に、顔のまわりには白髪が増え始め、全体的に白っぽい顔になってくることが多いです。

これらの変化は病的なものではなく、人の白髪と同じく加齢による生理的な変化になります。

産まれたての子犬には歯は生えていません。生後3週間で前歯(切歯)が生え始め、約2か月ですべての乳歯がそろいます。そして、生後4か月くらいから永久歯が生え始め、8カ月齢位で永久歯が生えそろいます。

人では乳歯が抜けてから永久歯が生えてきますが、犬では永久歯が生え始めてから乳歯が抜けるため、正常でも二枚歯になる時期があります。

ただし、小型犬では犬歯(いわゆるキバ)に乳歯が抜けずに残ってしまうことがあり、永久歯が生えそろってもキバが2本になってしまうこともあります(乳歯遺残がある場合は、麻酔をかけて抜いてあげる必要があります)。

加齢とともにとともに犬の歯は少しずつ削れて摩耗し、着色してきます。

ただし、ドッグフードを食べている家庭犬では、摩耗や着色よりも、歯石による歯の変化が多くみられます。歯石は早ければ1歳からでも付き始め、4,5歳になるころには歯石で歯が見えないなどという子もいます。

歯石から重度の歯周病になってしまうと歯が抜けてしまう子もいます。

犬はほとんどドッグフードを噛まずに丸呑みしているため歯が抜けてしまっても問題になることは少なく、入れ歯などは必要ありませんが、歯周病は中年以降の特に小型犬で非常に問題になることが多いです。

爪は生後すぐから少しずつ伸び始めますので、子犬でも切ってあげる必要があります。

子犬の爪は、まるで猫の爪のように細いです。成長とともに太く大きくなり、生後半年くらいになると成犬と同じくらいの太さになります。

高齢になってくると、爪が太くもろくなることが多くなります。

また、散歩の際に力をあまりいれなくなるため、若いころは爪切りをしなくても削れていたという子でも、高齢になると爪切りが必要になることがあります。高齢犬の爪は、伸びるとクルっと丸くなることが多いため、伸びすぎた爪がUターンして皮膚に刺さってしまうことがあり注意が必要です。

態度・性格

犬の態度や性格は、人と同じような変化をたどりますが、ヒトと同じく個体差が強いため一概にどうということは難しいです。一般的には以下のような変化をすることが多いです。

子犬のうちはとにかく遊ぶのが大好きで、好奇心も旺盛なため、すべてのものに興味を示し、なんに対してもあまり怖がらない子犬が多いです。

成犬になると少しずつ好奇心よりも警戒心が強くなるため、子供のころに接したことがないものに対しては、警戒心を強く持ちます。

一般的に、大型犬は成犬になると穏やかで優しい性格になることが多く、小型犬は元気ですが少し警戒心が強めに出ることも多いです。大体1~2歳を過ぎると、性格が落ち着いてきて、やんちゃすぎる犬でも少しずつ大人しくなってくることが多いですが、性格の落ち着きに関しては個体差が大きく、いつまでも落ち着かない犬もいます。

高齢になると、ゆっくり自由に過ごすことを好む子が多く、遊びや他の動物にあまり興味を示さなくなる傾向が出てきます。

ただし、高齢になっても子供のように元気な子や甘えたがりの子もいます。人と同じく、高齢になってから子犬のようにわがままになる「幼児返り」をする犬も時々見かけます。

視覚・聴覚

犬は産まれたての時は目も耳も開いていません。生後2週間くらいまでに耳と目が開き、徐々に音や光に反応するようになります。

犬の聴覚は非常に強く、人のおよそ4~6倍程度だと言われています。また、犬は人が聞こえない高音領域の音も聞き取ることができます。

一方で、犬の視力は強くはなく、視力検査をすると0.3未満くらいの視力だと判断されると言われています。

また、色覚も弱く、青と黄色の2原色とそれらの中間色しか見えないということがわかっており、犬には赤色は見えません。視力や色覚は弱いものの、動いているものを認識する能力は高く、1㎞先のものでも動いていれば認識できると言われています。

高齢になると視力と聴力はどちらも落ちてきます。特に聴力に関しては老化とともに大きく低下することが多く、加齢とともに呼んでも聞こえなくなったということが増えてきます。

視力に関しても同様に落ちて来ることが多いです。犬の視力は、白内障によって加齢とともに落ちて来てしまうことが多く見られます。

家庭犬の場合、視力や聴力が落ちてきてもそれほど問題ないことが多いです。

ただし、家の環境をがらりと変えてしまうと、視力が落ちている場合は何がどこにあるのかわからなくなってしまうため、極力環境を変えないようにしましょう。また、聴力や視力が落ちている場合、人が近づいても気づかないことが多いため、急に触るとびっくりしてしまう犬が多いです。

急に触ってびっくりさせないよう、わざと大きな足音を立てて近づき、飼い主さんの存在を振動で気付かせてあげるといいでしょう。

年齢によって気をつけること?

幼年期(パピー):小型犬1歳未満・中型犬1歳未満・大型犬1.5歳未満

幼年期で最も大切なことは、家庭にうまくなじませてあげることです。

家に来て1~2週のうちは特に非常に体調変化が激しく、子犬の場合は予備能力も低いため、少し調子を崩すと一気に状態が悪化してしまうということがあります。

それから、寄生虫や先天性の病気も珍しくないため、子犬をお家に迎え入れたら一度早めに健康診断へ行きましょう。ワクチンなどの予防プログラムや犬の飼い方の相談なども一緒にしておくといいでしょう。

また、子犬は何でも興味を持つため、おもちゃや薬、ビニールなどの異物の誤食事故が非常に多くなります。犬が口にしそうなものは絶対に犬の口の届く範囲にはおいておかないようにしましょう。

青年期(アダルト):小型犬1~7歳・中型犬1~6歳・大型犬1.5~5歳

青年期は最も病気が少なく、健康的に過ごせる時期です。この時期に気をつけたいのが事故です。

事故は交通事故だけではありません。高い場所からの落下や喧嘩、異物の誤食など、日常生活にはさまざまな事故のリスクがあります。

異物の誤食や落下による骨折事故で夜間の緊急動物病院に来院するのは、1~2歳の犬が非常に多いです。お家の環境には十分注意しましょう。

また、健康に見えても実は病気が潜んでいるということもあります。また、アレルギーやてんかんなどの病気は、1~3歳くらいの若い時期から出てくる病気の代表です。

愛犬の様子をしっかり確認し、何か変なことがある場合は早めに動物病院で診てもらうことも大切です。

それから、この時期には肥満にさせないことも大切です。成長が落ち着いて必要なカロリーも徐々に減ってきますので、欲しがるだけフードを与えると、どんどん太ってしまいます。

犬も人のメタボリックシンドロームのように、肥満が原因で悪化する病気も多く、ダイエットは非常に難しいため、この時期に太らせないことが大切です。

若いころから、「おねだりしたらおやつがもらえる」とわかってしまうと、それをやめるのはとても難しいので、おやつの与え方や量などにも注意をしておきましょう。

熟年期(シニア):小型犬8~11歳・中型犬7~9歳・大型犬6~7歳

熟年期は人で言う中年・壮年の時期です。この時期になってくると性格はかなり落ち着き、事故などのリスクは減ってきます。その代わりに増えて来るのが、加齢性(慢性)疾患です。

小型犬では心不全に要注意です。

心不全は小型犬では6~7歳頃から出て来ることも少なくありません。

心不全は完治させることはできませんが、効果的な薬がいろいろ出ており、心不全が発症してからも数年間、元気で何も症状なく生活できる子も多いです。咳をしたり、呼吸が速い、運動をすぐやめてしまうなどの症状がある場合には心不全の可能性があります。

大型犬にもいろいろ病気はありますが、特に慢性の関節炎に注意が必要です。大型犬はその重い体重を支えるために、常に関節には大きな負担がかかっています。

加齢とともに関節炎による痛みが起こってくると、「痛い→運動しない→太る→関節に負担がかかる→痛みが増す」という悪循環に陥ってますます状況が悪化してしまうこともあります。

その他、さまざまな病気があるため、以下のような点には特に注意をしておきましょう。

  • 元気・食欲
  • 体重の増減
  • 飲水量や尿量の増減
  • 脱毛や皮膚のできもの
  • 呼吸状態
  • 体の痛み
  • 歩き方

老年期(ハイシニア):小型犬12歳以上・中型犬10歳以上・大型犬8歳以上

老齢期には熟年期に出やすい病気のリスクがさらに高まりますので、熟年期での注意点をそれ以上にしっかり見ておいてください。

それから、最近犬の高齢化とともに、犬の認知症が増えてきています。

  • 隅の方に行って動けなくなる
  • 夜中の無駄吠えや徘徊運動
  • 昼夜逆転

などの症状は認知症の可能性があります。また、これらの症状は認知症だけでなく、脳腫瘍などの重い病気の可能性もありますので、早めに動物病院で相談するようにしましょう。

また、犬の大きさに関わらず、この時期には慢性関節炎が多くなってきて、足腰が少しずつ弱ってくる犬が増えてきます。

最近では関節のサプリメントも多く販売されており、老犬のリハビリなどを行っている動物病院もあります。1度寝たきりになってしまうと、そこから立てるようになるのには非常に難しいため、早めに動物病院を受診するようにしましょう。

特に大型犬では寝たきりになるとその介護は非常に難しく、犬も飼い主もどちらも生活の質(QOL)を落としてしまうので、早めに対策を取るようにすることが大切です。

まとめ

犬の年齢の重ね方、ご理解いただけたでしょうか?

犬は人の数倍の速さで年を取るため、気付いたら自分の年を越されていたなんてことも珍しくありません。

それぞれのライフステージで気を付けておくべきことを知って、それに合った犬の飼い方をすることが、愛犬を健康に長生きさせてあげるためには必要です。時々、愛犬がヒトで言う何歳くらいなのかを意識して、愛犬の様子を観察するようにしてくださいね!

 

 
 

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