2017年10月12日更新

愛猫の口のチェックは忘れずに!口内炎は重症なこともあります!【獣医師が解説】

ペット生活 獣医師



獣医師

ペット生活編集部の獣医師アカウント。ペットとの暮らしを豊かにするお役立ち情報をお届けします。

 

猫も口内炎になることをご存知ですか?私たち人間では、噛んだ時の傷が元になったり、ビタミン不足やストレスが原因とも言われています。

しかし、猫の口内炎は単純なものではなく、軽症から重症なものまで程度の差があるものの、難治性のものが多いのです。

また、口内炎かと思ったら腫瘍である場合もあります。口内炎ができると食欲が落ち、ひどくなると全く食べられなくもなります。

今回は猫の口内炎について、その症状や原因についてお話しをしていこうと思います。

 

口内炎とは

口内炎は、歯肉炎も含め、お口の中の炎症全般を指します。私たちは口内炎ができると白っぽくなりますが、猫の場合は炎症で真っ赤になり、ひどいと口の中がただれ、潰瘍になったりすることもあります。

症状

猫に口内炎ができると、猫も苦痛です。痛みもあるので元気がなくなり、じっと動かなくなります。食欲が落ち、水も飲まなくなることもあります。

それと同時に、痛みからよだれの分泌が増え、口の周囲や前肢がよだれで汚れてしまいます。口臭も強くなります。

また、口を何か噛むようにくちゃくちゃしたり、前肢で触ったりするなど、口を気にする仕草がみられるようになることもあります。

確認方法

口内炎と言っても、歯肉炎を起こしていることも多いです。また、頬の粘膜や口狭部といって口内の奥、上顎と下顎の境目に病変が出ることもあります。

いずれも粘膜が赤くなり、腫れたりただれたりしています。
猫は健康な時でも口の中を見られることを嫌う事が多いです。特に口内炎がある猫では、口が痛いため、なかなか口の中を見せてくれません。

痛いのを無理するのはかわいそうですし、噛まれることもあります。口内炎が疑われるような異変に気付いたら動物病院へ連れて行き、獣医師の診察を受けるようにしましょう。

口内炎になりやすい猫とは

口内炎を起こす病気

歯石の沈着

難治傾向にある猫の口内炎は歯周病菌に対するアレルギーが原因だと言われています。つまり、歯周病が重度でなくても、歯周病菌が少数でも存在するとその菌に対して体が過剰に反応し、炎症を起こしてしまいます。

腫瘍

猫の口腔内腫瘍は、最も多いのが扁平上皮癌、次いで線維肉腫です。この2種類の腫瘍でほとんどが占められます。

扁平上皮癌ではしこりを作らないことも多く、痛みが強いです。特に初期の段階では口内炎との区別もつきにくい場合があります。

好酸球性肉芽腫症候群

口内炎とは言い難い病変ですが、口唇部や歯肉にも出現する事があります。赤く腫れ、腫瘍のように腫瘤を作りますが、通常痛みは無く、猫も苦痛ではありません。

 

口内炎の治療方法

完治には根本的な治療が必要ですが、困難なこともあるため、その場合には対症療法を行います。

根本治療

難治性口内炎

難治性口内炎の場合には、全歯抜歯が根本治療となります。歯周ポケットに存在する歯周病菌が原因となるアレルギー反応ですので、歯周病菌をゼロにすることが根本治療になります。

もちろん、全歯抜歯で完治しないこともありますが、かなりの改善効果がみられます。

扁平上皮癌

扁平上皮癌では転移が少なく、局所侵襲が強い傾向にあります。このため腫瘍の局所制御が治療の中心になります。

外科手術が可能であれば手術で腫瘍を取り除きますが、手術ができない場合には、放射線療法を選択することが一般的です。

対症療法

軽症の場合

  • 比較的症状が軽いもので、食欲が落ちていない場合では、経過を見ることもあります。
  • 食欲が落ちている場合には、炎症と細菌感染をコントロールするために、ステロイドと抗生物質を投与します。特にステロイドは長期連用で副作用が心配になりますので、食欲が落ちていない場合にはできる限り投与を避けます。
  • 細菌増殖抑制作用と免疫活性作用のためラクトフェリンなどの投与も検討することもあります。
  • 扁平上皮癌の場合には、根本解決のため手術や放射線治療が可能であれば検討します。投薬は抗腫瘍作用のある非ステロイド系の消炎剤を選びます。
  • 脱水があれば、点滴を行います。

比較的重い症状の場合

  • 食欲が落ちている場合には、炎症と細菌感染をコントロールするために、ステロイドと抗生物質を投与します。ステロイドの投与間隔が短縮する場合には、長期間作用型のステロイドに切り替える場合もあります。定期的な血液検査も行っていきます。
  • 脱水があれば、点滴を行います。
  • 根本解決のため、全歯抜歯を検討します。
  • 扁平上皮癌の場合には、根本解決のため手術や放射線治療が可能であれば検討します。投薬は抗腫瘍作用のある非ステロイド系の消炎剤を選びます。

重症の場合

  • 食欲が落ちていることが多いため、炎症と細菌感染をコントロールを目的としてステロイドと抗生物質を投与します。重症例ではステロイドの連用、もしくは、長期間作用型のステロイドを投与をしていることも多く、副作用が心配になりますので、定期的な血液検査を行います。
  • 根本治療のため、全歯抜歯を検討します。
  • 扁平上皮癌の場合には、緩和のため手術や放射線治療が可能であれば検討します。投薬可能であれば抗腫瘍作用のある非ステロイド系の消炎剤を投与します。
  • 扁平上皮癌の場合には、胃瘻や食道チューブの設置も検討します。
  • ひどい脱水の場合は改善するまで点滴に通院します。

よく使われる薬

ステロイド系消炎剤

難治性の口内炎は歯周病菌に対するアレルギー反応による炎症なので、その炎症を抑えるために使います。

非ステロイド系消炎剤

扁平上皮癌には非ステロイド系消炎剤が抗腫瘍効果を示すため、使われます。

抗生物質

口腔内の感染に対して用います

インターフェロン

体の免疫バランスを整えるため用いることもあります。

ラクトフェリン

歯周病菌の増殖抑制効果と免疫細胞の活性作用を期待して投与することもあります。

口内炎を予防する

家でできるお手入れ

くどいようですが、難治性口内炎の原因は歯周病菌に対するアレルギーです。歯周病にならないためには、仔猫の頃からの口腔内ケアが大切になります。

アレルギーというのは、オールオアナッシング、つまりたった1個でも細菌がいればアレルギー反応が出ます。歯周病にならないようにケアをするのが予防につながります。

また、口内炎になっても、口腔内を清潔に保つことは二次感染を予防するのに役に立ちます。

歯磨きをすることは難しいかもしれませんが、デンタルジェルや水に混ぜて口腔内をケアするものなど、動物用の口腔ケア製品も多く市販されています。

ひどくなってしまった口内炎に直接的な効果は期待できないかもしれませんが、こういった製品もうまく活用していくと良いですね。

獣医さんでできる予防

動物病院では、猫も緊張し、診察や処置もなかなか難しい時があります。お口のケアは毎日の積み重ねです。

猫の状態次第ですが、動物病院で日々のお手入れがうまくできているかということをチェックすることはできます。

また、症状として現れていない初期の口内炎の有無を確認することもでき、早期から対策を講じることも可能かもしれません。定期的に動物病院へ行き、お口の中を診てもらうもよいですね。

まとめ

猫の口内炎は、私たちの口内炎とは原因が異なるのですね。

私たちは、口の一部に少し口内炎ができても、とても痛く、しみない食べ物を選んでしまいがちです。猫たちがものを食べたがらない理由も分かります。

また、猫の口内炎では病変が広範囲に及ぶことが多く、その程度も私たちとは違うようです。私たちの口内炎の常識を当てはめることはいささか無理があるということが理解いただけたと思います。

猫は体のどこかに痛みがあるとじっとして動かなくなったり、食欲が落ちたり、というような様子がみられます。

難治性で治療による副作用が心配な場合には、思い切って全歯抜歯の選択もあります。治療方針を主治医と相談する事も大切なことです。

愛猫の様子が気になる場合には、お口のチェックも忘れずに!

 
 

関連カテゴリ