2017年10月18日更新

病気の可能性があるかも…猫の涙の理由は?【獣医師が解説】

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私たち人が涙を流す場合、悲しい、悔しい、嬉しいなどの感情的なことが原因になっていることが多いですよね。それでは猫ではどうでしょうか。愛猫が涙を流している、そんな様子を見かけたことはありませんか?

猫にも感情が無いわけではないと思いますが、猫が涙を流す場合、感情的なことが原因ではなく、病気が原因になっていることが多いんです。

今回は猫の涙についてです。涙の産生機序から涙の原因や対策などを中心にお話を進めていきたいと思います。

 

猫が涙をながす

猫の目の仕組みと涙の産生機序

猫の眼の構造は人や犬と同じです。涙の産生機序も同様です。

涙は眼球の外側理ある涙腺で作られ、瞬きにより眼の全体に広がって眼の表面、角膜を潤し保護する役割があります。そして、目頭にある涙点から鼻涙管を通って鼻に抜けます。

涙を流している時によくある原因

猫伝染性鼻気管炎(FVR)

ウィルスが原因の感染症です。

涙眼、流涙、眼脂の他、くしゃみや鼻水が出ます。抵抗力のある成猫が罹患した場合はそれほどこじれることはありませんが、抵抗力の弱い子猫が罹患すると肺炎などを起こして命に関わることもある怖い病気です。

一度罹患するとウィルスが体内に残り、猫の抵抗力が落ちた時に症状が出るようになります。混合ワクチンの中にも入っていますが、罹患してしまってからでも、ワクチンを接種することで症状を軽く抑えられます。

クラミジア感染症

クラミジアという細菌の感染です。主に結膜炎を起こし、流涙、結膜の充血、結膜浮腫がみられます。症状がひどいと目が腫れ、開きにくくなります。

角膜潰瘍や角膜炎

ウィルスの感染や外傷が原因になります。

先述の猫伝染性鼻気管炎が原因となり、炎症を起こして腫れた結膜が角膜を刺激して傷つけてしまいます。手当てが遅れると結膜がと角膜が癒着し、ひどければ失明する可能性もあります。

外傷は猫同士のケンカが原因となることが多いです。

結膜炎

ウィルスや細菌の感染が原因になる感染性結膜炎が多いです。黄色〜黄緑色の眼脂が出ます。

眼瞼欠損

上眼瞼の外側にみられることが多いです。眼瞼が一部分欠損することで皮膚や被毛が眼の中に入ってしまい、角膜に刺激を与えるために涙の量が増えます。

眼瞼の内反

瞼が内側に巻き込まれている状態です。猫では結膜炎や眼瞼炎に続発してみられることが多いです。

涙が多い猫種少ない猫種


涙の量が増える場合には、眼に何らかの異常がある可能性が高いということは先の通りです。

しかし、短頭種の猫では眼周囲の皮膚にシワが入っており、周囲の被毛や眼瞼が角膜に接触してしまうという特有の解剖学的要因が関係しています。

短頭種とは、マズルと呼ばれる鼻筋の部分が短く、鼻の詰まった種類の猫を指します。ペルシャやチンチラなどが代表的な猫種になります。

 

涙を流してる時の対処方法

動物病院へ行く時

動物病院へ行く際には、次のような事を問診で聞かれると思いますので、分かる範囲で答えられるようにしておくと、獣医師側も診断の参考になります。

いつから症状が出ているのか

症状が出てから変化はあるか
  • 良くなってきている
  • 変わらない
  • 悪化してきている
  • 良くなったり悪くなったりしている

など

どんなときに症状が出るか、または、どんなときに悪化しやすいか
  • 常に症状がある
  • 寝起きに症状が出る

など

猫の全体的な調子

  • 食欲の有無
  • 活動性
  • 排便
  • 排尿などの排泄状況

など

その他の症状

  • 鼻水
  • くしゃみ
  • 目脂の有無

など

飼育環境、飼育環境の変化

  • 室内飼育
  • 家出をした
  • 同居動物の有無

など

知っておくと説明しやすい眼脂の種類

灰色〜黒色眼脂

健常時にもみられます。特に寝起きにみられることが多いですが、眼に充血などがなければ様子を見ていても大丈夫です。

黄色〜黄緑色眼脂

細菌感染が疑われる眼脂です。眼に痒みや痛みなど、違和感があると猫も目を気にする可能性もあります。気にして二次的に眼を傷つけてしまうといけませんので、動物病院へお連れいただいた方がよいですね。

涙を流している時の対処方法

  • 様子を見て、眼をこすりそうなら、傷をつけないようにエリザベスカラーをつける
  • 涙を拭いて清潔に保ってあげる
  • 自己判断で点眼薬を使わない

放置してしまったら

特に角膜炎を起こしているような病態、または角膜炎になる可能性のある病態だと、角膜が破れ、失明する可能性もあります。

涙やけとは


涙やけの原因には、涙が増える場合と、涙が目からうまく流れ出ていかない場合、大きく分けて2つあります。それぞれの主な原因をご紹介します。

涙が増える原因の場合

眼に刺激がある場合には涙が増えます。

異物による刺激

眼に物が入った時、私たちは涙が増えますね。それと同様のことが猫でも起こります。短頭種での猫では鼻が短いため、顔にシワができやすく、被毛や眼瞼が眼に入りやすいです。このため眼瞼や被毛が目に入り、目の表面の角膜を刺激することがあります。

異物の存在があるかどうかや眼瞼欠損の有無、眼瞼の内反が実際に悪さをしているかどうかについては、動物病院で詳しく目の中を診てもらわないとわからない場合もあります。

角膜の傷

角膜の傷は表層であるほど痛みが強く、涙が増えます。目が充血したり、痛そうに目をショボショボさせたりもします。

涙がうまく流れ出ていかない原因の場合

鼻涙管が詰まっている時には、涙が鼻にうまく抜けずに目から溢れてしまいます。

鼻涙管は入り口で詰まることが多いです。特に短頭種では生まれつき顔にシワが入るため、下眼瞼の向きが変わります。その結果、鼻涙管の向きも変わって入り口を塞いでしまうことがあり、その場合には、涙がうまく流れていかなくなり、涙が溢れ出してしまうのです。

動物病院での涙やけの対処方法

涙やけがある場合、短頭種であることが多いです。

涙やけは鼻と目頭の間のあたりで、ちょうどシワが入っている部分に起きることが多いです。この部分は眼に近く、またシワが深く入っている部分でもあります。多くは対症療法になります。

涙やけは、眼に疾患があるというわけではないことも多いですが、眼科疾患が原因となっている涙やけの場合には、疾患に応じた治療をします。内反などの解剖学的な構造が原因となっている時には、涙やけを起こしている皮膚の症状に応じた対応をします。

皮膚に炎症が起きていれば皮膚炎の治療をし、問題がなければ特に治療は行いません。

自宅での対処方法

涙やけがひどくなると皮膚がただれて炎症を起こすこともあります。そのため、できれば涙で濡れてしまった部分は拭いて清潔に保ってあげましょう。

この時、眼の近くになりますので、消毒剤は用いないようにしてください。万が一、眼に入ると危険です。蒸しタオルや水に濡らしたコットンなどが適しています。

皮膚が赤くなっている、じゅくじゅくしている、など炎症の兆候があればご自宅でのケアでは改善が望めないこともありますので、早めに動物病院へお連れいただいくとよいでしょう。

流涙症の原因別改善方法

原因:猫同士の喧嘩が原因の角膜外傷

対処方法:猫は縄張りを大切にする動物です。多頭飼育で相性の悪い猫同士の場合は、居住スペースを分けましょう。

また、屋外に外出する猫の場合は、できるだけ室内で飼育しましょう。去勢手術や避妊手術を終えていない場合には、手術を考えることも大切になります。

原因 : ウィルス感染性の角結膜炎

対処 : ワクチン接種をすることで、症状を軽くすることが可能になります。混合ワクチンは定期的に受けましょう。病気をうつされないよう、外へ出さないようにすることも予防につながります。

まとめ

いかがでしたか?
猫にも感情はあると思いますが、猫の涙は感情が原因となるのではなく、何らかの眼科疾患が隠れている可能性が高いということがお分かりになられましたか。

早期に治療を開始することで短い治療期間で治癒が望め、猫の苦痛も最小限にすることができます。愛猫に涙がみられたら、何らか疾患のサインだと認識し、動物病院で診察を受けるようにしましょう。