2017年10月20日更新

犬のフケってどうしてでるの?皮膚病の症状かも【獣医師が解説】

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夏が終わって秋になると少しずつ空気が乾燥してきます。空気が乾燥するとその変化をいち早く感じるのが皮膚です。秋や冬には肌が乾燥しますよね。粉が吹いたり、フケが気になったり。

私たち人では、フケには何となく不潔のイメージがありますが、犬でもフケは出ます。黒やチョコレートなど濃い色の被毛の犬を飼われておられる方はフケが目立つため、フケに気づいてびっくりすることも多いと思います。

犬のフケは生理的な場合もありますが、大半は病気のサインです。今回は犬のフケについてです。フケが出る代表的な皮膚病をご紹介しながら原因や皮膚のケアなどについても触れていきたいと思います。

 

フケが出たら

フケについてお話しする前に、まず、皮膚の構造から説明を始めたいと思います。

皮膚には、外界と生体を仕切る生体膜としてのはたらきがあります。そのため、様々な外的、内的刺激に対して様々な反応を示します。皮膚は表皮、真皮、皮下組織の三層から構成されています。

表皮細胞は細胞分裂を行なっている最下層から上に向かって移動します。これをターンオーバーと呼びます。

表皮細胞は、下部から順に、基底細胞、有棘細胞、顆粒細胞の順に分化し、最終的に角質細胞で形成される層になります。角質細胞は定期的に剥がれ落ち、正常な角化では表皮と角層の厚さは一定に保たれています。

フケが出る理由

フケは角層が剥がれ落ちたものです。生理的なものだけでなく、何らかの疾患である場合など、原因は多岐に渡ります。主な原因について示します。

環境中の乾燥

冬場になると空気が乾燥し、また暖房器具の使用も皮膚の乾燥を進ませる原因になります。乾燥すると、角層が剥がれ落ちやすくなり、フケが増えます。

立毛筋が収縮した場合

緊張や興奮で立毛筋が収縮するとフケが浮いて目立つようになります。

シャンプーの洗い流しが不十分

シャンプー剤が残ることで、皮膚を乾燥させてしまいます。

疾患や感染症の可能性

  • 細菌やカビ、外部寄生虫などの感染症
  • 内分泌疾患
  • 免疫介在性疾患

などが挙げられます。

自宅でできるケア

一度シャンプーをしてみましょう。乾燥が気になる時には、保湿剤を併用するとよいですね。

シャンプーする場合にはしっかりと毛の根元まで洗い流して、シャンプーが残らないようにすることがとても大切です。

また、シャンプー後はドライヤーを使って毛の根元まできちんと乾かしましょう。濡れたままだと細菌やカビが感染しやすい環境になります。

白犬でもフケが分かる方法

被毛が薄い色合いだったり、白色だとフケが目立たちませんよね。フケは皮膚病のサインであることが多いので、見逃すと病気をひどくしかねません。

そこで、薄い色合いの犬や白色の犬では、濃い色の床の上でブラッシングをするとフケの有無が分かりやすいと思います。

もし、フケがあれば、ブラッシング時に被毛と一緒にフケが落下しますので確認しやすいです。

フケは目立ちませんが、被毛の色が薄いと皮膚の状態は確認しやすいので、ブラッシングの際には皮膚の状態を注意して観察してみてください。

獣医師に診断が必要なフケもある

獣医師の診断が必要な症状とは?

皮膚に赤味や痒みを伴う時

感染症などが原因の皮膚炎を起こしている可能性があります。

フケが出ている部分がどんどん広がっていく時

感染症が原因のフケである可能性があります。

皮膚の一部分だけに異常にフケがみられる時

感染症が原因のフケである可能性があります。

皮膚が脂っぽく、臭う時

内分泌疾患やアトピー、アレルギー体質が原因のフケである可能性があります。感染症も考えないといけません。

皮膚の状態がフケとともに変わってきたと感じる時

様々な皮膚病だけでなく、皮膚症状が全身疾患の症状の一部分である可能性があります。

皮膚の症状だけでなく、全身的に何らかの症状が出ている時

内分泌疾患など、全身症状の一部としての症状が出ている可能性があります。

獣医師に早めの診断してもらうメリット

生理的なものではなく、感染症など、何らかの疾患が原因の場合にはフケだけではなく他の症状も伴っていることが多く、犬も不快な思いをしているでしょう。

もちろん、治療に入るのが遅れれば症状がひどくなってしまい、治療にも時間がかかる可能性があります。

フケが多い場合に考えられる病気

フケは生理的なものばかりではなく、病気が原因になっていることも多いです。症状としてフケが出る代表的な疾患をいくつかご紹介しします。

感染症の場合、病原体を体内に侵入させないようにするため角質層が厚くなったり、角質すを脱落させたりして体を守ります。

病名 : 膿皮症

症状 : 細菌が最初に接触する皮膚が角質層です。そのため、ここで初期の防衛反応が起こり、フケとして角質が脱落します。

細菌感染を起こした部位のみにフケはみられます。感染部位は遠心性に拡大するため、円形状の病変になります。

フケ以外には皮膚の発赤、痒みを伴います。治癒するにつれ、患部に色素が沈着し、黒っぽい色になります。

病名:カイセン

症状:ヒゼンダニは角質層に寄生して、繁殖します。そのため、角質層が肥厚し、フケやかさぶたが増えます。

フケはヒゼンダニの寄生している部位に一致してみられます。特に耳、肘、頭部が好発部位です。フケ以外には、ヒゼンダニに対するアレルギー反応に起因した強い痒み、発疹を伴います。

病名:ツメダニ症

症状:ヒゼンダニと同様に、角質層に寄生します。鋭い爪で皮膚に穴を掘って進みます。

このため感染部位に一致してフケがみられます。特に背部に大量のフケが出ることが特徴です。フケの他には、ツメダニに対するアレルギー反応に起因した強い痒みや発疹もみられます。

病名:先天性角化症

症状:全身にフケが出ます。シャンプーの刺激などの外的な要因でフケが増えます。先天的な疾患のため、幼少期より発疹やフケを認めることが多く、加齢により悪化します。

病名:甲状腺機能低下症

症状:全身にフケが出ます。

何年もかけて悪化し、症状が出るようになります。甲状腺ホルモンはエネルギーの産生、タンパク質や酵素の合成、糖質や脂質の代謝など、様々な作用があります。

このため、皮膚の症状は全身症状の一部にすぎません。全身症状としては、食欲不振、体重増加、動作緩慢などがみられます。

皮膚症状としてはフケの他、被毛の発育不良、脂漏、鼻梁の色素性脱毛、創傷治癒の遅延などがみられます。皮膚のバリア機能が低下するため、再発性の感染症を認めることがあります。

病名:皮膚糸状菌

症状:犬ではフケを伴った脱毛班は少ないですが、ヨークシャー・テリアでは、広い範囲、または多発してフケを伴った病変が出ます。同時に病変部の被毛が抜けて、脱毛班となります。

 

普段からの予防

自宅でできる予防

ご自宅でブラッシングやシャンプーができるようでしたら行なって、定期的に皮膚の状態をチェックしてあげる習慣にするとよいですね。

また、お散歩から帰ったらブラッシングをして、体についた病原体や花粉などの異物を取り除くことも皮膚病の予防になります。

それと同時に、部屋は清潔に保ち、日ごろから愛犬の様子をよく観察して、いつもと違った様子が見られたら動物病院へ行くようにしましょう。

オススメのグッズ

日ごろからブラシを使い、ブラッシングをしてあげることで皮膚の変化をいち早く見つけることができます。

環境が乾燥していると皮膚の痒みやフケの原因にもなります。乾燥が気になる季節やエアコンを使用する時には、加湿器を使い部屋の湿度にも気をつけてあげてください。

また、空気中の花粉やハウスダストに反応する皮膚炎もあります。空気清浄機を使用することも予防につながりますね。

さいごに

いかがでしたか?全身被毛に覆われている犬では皮膚のトラブルが起こりやすく、皮膚の状態を確認しにくいです。

そのため、皮膚病の発見が遅れることもあります。もちろんフケは環境の変化などでも増えますが、皮膚病で一般的に現れる症状でもあります。フケが気になる場合には、何らかの皮膚病にかかっているかもしれません。

もし、フケが目立つようでしたら、早めに病院へ連れて行くと安心です。