2017年11月25日更新

原因も解明!幸運を運ぶカギしっぽ猫が日本に多い理由とは?

古川諭香



キャットケアスペシャリスト

キャットケアスペシャリストの資格を活かし、さまざまな猫メディアにて猫情報を分かりやすく配信中。自身も猫サイトを立ち上げ、愛猫と楽しく暮らしていくための秘訣や猫に関する知識などを分かりやすく解説。猫と一緒に暮らせる猫仕様の家も建設し、人と猫が快適に生活していくための方法も伝授している。

 
 

そもそも「カギしっぽ」ってどんなしっぽのこと?


カギしっぽとは、アメリカンショートヘアーなどの純血種が持つストレートな尻尾とは違い、途中で曲がっている状態の尻尾のことです。

猫の尻尾は「尾椎」という小さな骨が繋がり合って、できています。

しかし、この尾椎が何らかの原因で変形し、曲がると、かぎしっぽと呼ばれる尻尾になるのです。

カギしっぽは純血種ではなかなか見られない


純血種の猫は、曲がりのないストレートな尻尾が猫種としての特徴でもあります。

そのため、カギしっぽを持つ純血種の猫は、ほとんど見かけられないといってもよいでしょう。

ただし、もともと尻尾が短いジャパニーズボブテイルやクリリアンボブテイルのように、尻尾に猫種としての特徴があり、ストレートにならない場合はあります。

この2つの猫種は同じようなお団子型の尻尾をしていますが、遺伝子的には大きな違いがあるのです。

例えば、ジャパニーズボブテイルは劣性遺伝子によって尻尾がお団子型になるのに対し、クリリアンボブテイルは優性遺伝子によって、尻尾が丸くなるといわれています。

 

曲がった尻尾は「HES7」や「T-box」という遺伝子によって発生!


最近の研究で、かぎしっぽのように曲がった尻尾は遺伝子によって発生するということが分かってきました。

実際に中国にある北京大学の研究チームが公開した研究結果によれば、尻尾が曲がるのには「HES7」や「T-box」といった遺伝子が深く関係しているそうです。

そして、研究により、ストレートの尻尾をしている猫は「HES7」という遺伝子の変異を見られませんが、ジャパニーズボブテイルには「HES7」という遺伝子の変異が認められたとのことでした。

また、カリフォルニア大学のデーヴィス校を中心としたチームが発表した研究結果によれば、ジャパニーズボブテイルとマンクスは似たような尻尾を持っているにも関わらず、尻尾を曲げる遺伝子に違いがみられたそうです。

先ほどご説明したように、ジャパニーズボブテイルの場合は「HES7」という遺伝子が関係していますが、マンクスは「T-box」という遺伝子が尻尾の変形に関わっていることが分かったとのことでした。

こうした研究結果から、カギしっぽも含め、猫の尻尾の曲がり具合は遺伝子によって異なっているのではないかといわれています。

猫がカギしっぽになる原因とは


猫がカギしっぽになる原因は、遺伝子などによる先天的な理由と、生まれた後に起きる後天的理由のふたつに分けられます。

先天的な理由とは?

まず、先天的な理由でカギしっぽになる場合は、遺伝子が関わっていることがほとんどです。

曲がった尻尾を持っている子の中には、親猫から受け継いだDNAによって、生まれつき尾が曲がっている子も多いとされています。

その中でも高確率で尻尾が曲がるとされているのが、長い尾を持つ猫と短い尾を持つ猫が両親の場合だともいわれているのです。

後天的な理由とは?

産まれたての頃は尻尾が曲がっていなかったのにも関わらず、成長するにしたがって、尻尾に変形が見られるようになった場合は、後天的な理由から尻尾が曲がったといえるでしょう。

例えば、生まれて間もない頃、兄妹や母猫に踏まれ、尻尾が曲がってしまうこともあります。

これは、子猫の尻尾は骨が柔らかいため、形が変形しやすいことが理由です。

また、交通事故や日常生活でのトラブルが原因で尻尾が曲がってしまうこともあります。

完全室内飼いが増えてきた最近では、ドアに挟んだがことが原因で、尻尾が曲がってしまう子もいるため、飼い主さんは注意をしなければなりません。

そして、中には骨折が原因で尻尾が曲がってしまう子もいます。

まっすぐな尻尾を持っていた子がいきなりカギしっぽになった場合は、すぐに動物病院で診てもらうようにしましょう。

猫の尻尾には神経がたくさん集中しているため、後天的な理由で尻尾が曲がってしまったときは、足を引きずったりすることもあります。

骨折によりカギしっぽになってしまった場合は、早期治療が大切になので、早めに獣医さんへ相談をしてみましょう。

海外でかぎしっぽ猫は幸運を呼ぶ象徴に!


カギしっぽの猫は、日本では比較的よく見られるものですが、実はヨーロッパなどの海外では、あまり見かけらず、純血種のようにストレートな尻尾を持っている猫が一般的です。

そのため、なかなか出会えないカギしっぽの猫と出会えるのはラッキーなことだと考えられており、海外では「幸せを運ぶ猫」だともいわれています。

海外の人々は、カギしっぽが釣り針のような形をしていることから、曲がった尻尾の先に幸運をひっかけてきてくれると考えているのです。

カギしっぽの猫はなぜ日本に多いの?


どうして日本にはカギしっぽの猫が多くいるのか、疑問に思った方もいるのではないでしょうか。

実は、それには「猫又」という妖怪が深く関係しています。

江戸時代の日本では、猫をペットとして飼う人も多くなってきました。

そんなときに人々の間で噂になったのが、「尻尾が長い猫が長生きをすると、尾が二つに割れ、猫又という妖怪になる」という迷信でした。

猫又は人の言葉を話したり、二本足で歩いたり、人を食い殺したりする化け物として、人々に恐怖を与えたのです。

そこで、噂を聞いた人々は猫又が現れることを恐れて、短い尾やカギしっぽの猫を積極的に繁殖させるようになり、カギしっぽを持つ猫たちの血が代々続いていったのだといわれています。

長崎で尾曲がり猫が多い理由とは?


日本で一番カギしっぽの猫が多く生息しているのが、長崎です。

長崎では、カギしっぽや短い尻尾、お団子のような尻尾を持つ猫を総称して「尾曲がりねこ」と呼んでいます。

このように長崎で尾曲がり猫が多いのは、その昔、長崎で貿易が行われていたことが理由だといえるでしょう。

長崎の出島は、鎖国時代に日本の貿易港として有名でした。

そうした貿易船に乗って、尾曲がり猫たちは日本に入ってきたのです。

当時、尾曲がり猫は、東南アジアのジャカルタ周辺に生息しており、大変縁起のいいものとして考えられていました。

そのため、貿易相手は縁起を担ぐために、尾曲がり猫を乗せて貿易を行っていたのではないかと考えられています。

さらに、尾曲がり猫たちは縁起を担ぐだけではなく、船の上でネズミなどの害獣駆除も行っていました。

そうした猫たちが積み荷と一緒に長崎へ上陸し、住み着いたことが現在も長崎で尾曲がり猫が多い理由だとされています。

また、長崎は日本で一番島が多いという特徴を持っていますよね。

そのため、上陸後も、長い尻尾を持つ猫の遺伝子が外から入ってくる機会が少なく、尻尾を曲げる遺伝子が受け継がれやすかったのではないかとも考えられているのです。

カギしっぽでも健康に害はない!


尻尾が曲がっている猫を見ると、「痛みを感じるのでは?」と心配になる方もいるかもしれません。

しかし、基本的にカギしっぽは痛みを感じることはないため、治療させる必要もありません。

尻尾が曲がっていても、ストレートな尻尾を持つ猫と同じように日常生活を楽しむことも、もちろんできます。

猫は尻尾で体のバランスを取りますが、それはカギしっぽの猫も同じで、尻尾が曲がっているからといって、体勢を支えにくいということもありません。

また、尻尾を使った感情表現の仕方も一般的な猫と変わらないので、飼い主さんがコミュニケーションを取りにくいと感じてしまうこともないでしょう。

ただし、カギしっぽを持っている子の中には、しっぽを触られることに対し、敏感な反応を見せる子もいます。

特に、事故などの後天的な原因で尻尾が曲がってしまった子の場合は、怪我をしたときに痛みを感じたこともあり、尻尾を触られるのがトラウマになってしまっている場合もあるでしょう。

こうした場合は、しっぽを触られると怒ったり、嫌がる素振りを見せたりすることもあるので、むやみに触ってストレスを与えないようしましょう。

カギしっぽは猫の大切な個性!


純血種が持つ猫種ごとの特徴と同じで、カギしっぽも、その子が持つ立派なチャームポイントのひとつです。

幸運を呼ぶといわれているカギしっぽ猫は、飼い主さんにたくさんの癒しと笑顔を与えてくれるのではないでしょうか。

ぜひこれを読んで、尾曲がり猫が気になったという方は一度、長崎をのんびりと訪れてみるのもよいかもしれませんね。

 
 

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