2017年11月20日更新

犬が甘噛みは止められる?放っておいてはいけません!【獣医師が解説】

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子犬と遊んでいて、甘噛みされたことはありませんか?まだ乳歯で、しかも甘噛みなのに、かなりの痛みですよね。

引っかき傷だらけの手で、動物病院に来られる方もみえます。たかが子犬、たかが甘噛みと思っている方は要注意です。

子犬の頃の甘噛みに対する対応を間違えてしまうと、成犬になっても噛み癖が治らず、大怪我につながる可能性もあります。

今回のテーマは犬の甘噛みについてです。甘噛みをしてしまう原因や対策についても考えていきたいと思います。

 

甘噛みとは?

犬の顎の力はすごく強い?

犬の噛む力ってご存知ですか?犬の噛む力を22匹、7~55kgのペットの犬から実験により調べた結果、咬合圧の幅は1.3~142kgだったというデータがあるそうです。

101回のテストを行って調査をした結果、大半は咬合力が弱いエリアに分布していたようで、平均値は26kgとされています。

また、アメリカで放送されたテレビ番組「Dangerous Encounter with Brady Barr」(邦題:「バー教授の最も危険な調査隊」)内での動物達の噛む力(咬合圧)を計測する実験*では、次のような結果が得られています。

動物名 噛む力
クロコダイル 2268 kg
カミツキガメ 455kg
ハイエナ 454kg
ライオン 313kg
ホオジロザメ 303kg
オオカミ 184kg
イヌ
(ジャーマン・シェパード 108kg ロットワイラー 149kg)
149kg
ヒト 58kg

犬は超小型犬から大型犬まで、いろいろな種類があります。このため、犬種によって咬合力には大きな差があるようですね。

小型犬であれば、それほど咬合力が強力であるとも言えないですが、本来は、肉食系の雑食である犬です。

たとえ小型犬であっても、本気で噛めば、場合によっては大怪我につながる可能性はありますね。

筆者も小学生の頃、自宅で飼っていた柴犬に噛まれ、3針縫う怪我をしています。

子供や高齢者、また、大人でも皮膚の柔らかな部分を噛まれれば、大怪我につながります。

本来は、子犬の頃の犬同士の遊びや関わりの中で自然と噛む力の加減を覚えていくため、子犬の頃の甘噛みは成長につれて治る、というと語弊がありますが、学習をしていくものです。

しかし、最近のペット事情から、早期に親離れ、兄弟離れをせざるを得ない状況のため、犬同士の関わりから学べません。

そのため、飼い主が噛む力加減を犬に教えてあげる必要があります。

どんな時に甘噛みされる?


犬が甘噛みするのには、それなりの理由があります。

乳歯が生え変わる時期

乳歯が永久歯に生え変わる時には、歯や歯ぐきに違和感や痒みを感じるため、それを紛らわすのに硬いものを噛みます。

時期的なものとはいえ、甘噛みを許しておくと後々の問題行動に発展することもあります。

好奇心や興味がある

犬は人間の赤ちゃんと同じで、好奇心旺盛です。しかし、手が使えないため、五感を駆使して物事を確かめています。

また、犬にとって、物が食べられるかそうでないかということはとても重要です。

そのため、匂いを嗅ぎ、口に入れて確かめるのです。食べられそうであれば食べ物でなくても食べてしまいます。

遊びの延長

遊びも最初のうちはおとなしくても、遊びが激しく、エスカレートすると、吠えたり甘噛みしたりするようになります。

子犬は犬同士のじゃれ合いで噛んだり噛まれたりを経験して力加減を覚えていくものですが、可愛いからと言って子犬の頃の甘噛みを放置してしまえば、力加減を覚えることなく成長し、人を噛んでしまうようになります。

子犬の頃と成犬では噛む力も違います。力加減を知らない犬が成犬になった時のことを考えると恐ろしいですよね。

ストレスを感じている

運動量の必要な犬種や大型犬では十分な散歩や外遊びを行わないと体力を持て余してしまいます。

その結果、ストレスが溜まり、激しい遊びで発散しようとし、噛むことがあります。しかし、噛んでストレス発散をすることは決して正しいことではありません。

噛んだ相手の反応を楽しんでいる

甘噛みをして相手が声をあげたり、痛がったりする反応を楽しんでいることがあります。

犬によっては叱られることすら楽しんでいることもあります。

甘噛みをしたら必要以上に大げさな反応をせず、短い言葉で叱り、相手にしないようにする事も大切です。

上下関係の確認

犬は群れをなして生活する動物です。群れにはリーダーが存在し、厳格な上下関係があります。そのため、遊びを通じても上下関係の確認をしています。

甘噛みをしてされるがままになっていると、人と犬との上下関係が逆転する可能性もあります。

甘噛みしやすい年齢

子犬の時期には甘噛みをしやすいものです。好奇心が旺盛で何でも口にしてしまうからです。

犬の口は人間で言うと手のようなものであると思ってあげてください。私たちは、手で物を確かめたり、嫌なら振り払ったり、仲良く手を繋いだりもします。

しかし、犬はその術を持たないので噛んだり、舐めたりといった行動を取ります。

急に背後から触られたりすれば驚いて自分の身を守るために噛む事もあります。犬にとって噛むこととは自然な事です。

しかし、子犬にはまだ、噛む力加減がわかっていないので、強く噛んでしまうこともあります。

そのため噛む力加減を教えてあげなければいけません。

また、乳歯から永久歯に生え変わる生後5ヶ月前後の時期に甘噛みが始まったり、ひどくなったりすることが多いです。

これは、歯が生え変わる頃に歯が痒くなったり、違和感があったりするためだと言われています。

歯の生え変わりという生理的なものが主な原因であれば、甘噛みは成長と共に治っていくこともありますが、甘噛みは単純な原因ではなく、いろいろな要素が複数関係しているものです。

そのため、たかが甘噛みだと大目にみて噛む力を教えてあげないと、成犬になっても力加減をせず目一杯に噛むようになってしまう可能性もあります。

 

甘噛みをやめさせる

どんな時に甘噛みをするかを切り分ける

以下の例のようにどのような時期に、甘噛みをするか考えてみましょう。

時期的なもの

例)歯の生え変わる生後5ヶ月前後

どんな状況か

例)一緒に遊んでいる時、一人になった時

何に対して

例)人の体の一部(手、指、足など)、硬い家具、おもちゃ

甘噛みの対処法

噛んでもよいおもちゃを与える

歯の生え変わりの時期には生理的に歯が痒くなったり、違和感を感じるため、何かしら噛みたくなることは仕方ないことです。

しかし、家財道具や人の手を噛むことは禁止です。噛んでもよいおもちゃを与えましょう。好みのおもちゃがあると思いますので、見つけてあげてください。

噛んだら叱る

遊んでいて甘噛みが始まったらいけないことだと教えてあげましょう。

甘噛みをされても、オーバーなリアクションは必要ありませんので、「痛い」、「ダメ」、「ノー」など短い言葉ではっきりと言い、一旦遊びをストップします。

叱るタイミングは甘噛みをする直前、または、甘噛みをした瞬間です。

時間が経つと何に対して怒られたのか犬も理解ができません。もし、叱って甘噛みを止めることができれば、褒めてあげてください。

これを何度か繰り返し、甘噛みをすると遊んでもらえず、甘噛みをしなければ褒めてもらえるということを学習させます。

甘噛みだからと放置してしまうと、噛む力を覚えず、どんどんエスカレートする可能性があり、もし、来客やほかの犬を噛んでしまえば大変なことになりかねません。

噛んだら無視をする

犬の性格によっては、叱ってもへこたれない、または逆に向かってくる事もあるかもしれません。

その場合には、無視をします。噛んできたら遊びは中止し、無視します。無視をして犬がクールダウンをしたら褒め、また遊んであげてください。

甘噛みされた場合の対処法

人が血を出してしまった場合

たとえ甘噛みでも、特に乳歯は細く、先が尖っていますので容易に皮膚を傷つけてしまいます。

成犬のような大怪我にならないまでも、出血することもあります。

その場合には、よく水で洗い流し、市販の消毒薬で消毒するようにしてください。

もし、傷が皮膚の表面的なものでない場合には、感染を起こし、腫れてしまうこともあります。

その場合には、病院にかかるようにしましょう。

犬に噛まれた時、離そうとして手を引っ込めると傷ついてしまいます。

噛まれた時には手を動かさず、犬の口を開けて犬の口から手を出すようにすると傷はひどくならずに済みます。

アレルギー反応?が出てしまった

甘噛みは強い力では噛まないため、特に仔犬の乳歯で甘噛みされた場合には、皮膚に表面的に傷がついてしまいます。

真皮まで及ばない浅い傷の場合には、みみず腫れのようになってしまうことがあります。

傷に犬の唾液が付着すれば汚染の原因になりますので出血がなくても、流水でよく傷を洗い流して消毒するようにしてください。

表面的なものでも、ひどければ病院へ行きましょう。

他の動物が噛まれて血が出てしまった場合

愛犬が他の動物を噛んでしまったら大変ですね。

愛犬が甘噛みする場合、お散歩途中やドッグランなど、たくさんの犬が集まる場所では注意が必要です。

動物は被毛が生えているため、傷の程度が分かりづらいことも多いです。

また、噛まれた動物も興奮していることが多く、なかなか傷の状態を見せてくれないものです。

この場合には、動物病院へ行って傷の確認をしてもらいましょう。

異物を噛んで飲み込んでしまった場合

もし、食べ物でないものを噛んで食べてしまった場合には、食べたものによっては緊急性が高いものであったり、消化管に詰まってしまう可能性があったりします。

場合によっては、内視鏡や手術によって異物を除去しなければなりません。

  • いつ
  • 何を
  • どのくらい

食べたのかを把握して、動物病院へご相談ください。

もし、食べてしまってから時間が経っている時には、食欲不振や嘔吐などの症状がないかどうかの確認もしてください。

まとめ

いかがでしたか?

子犬が可愛いからといって、甘噛みを大目に見ていた方、甘噛み対策をすることが大切であるとお分かりいただけたでしょうか?

甘噛みは子犬の頃に多く、甘噛みにもそれなりに理由があります。

しかし、自然に治るのを期待するのではなく、きちんと原因を突き止めた上で正しい対応をしてあげることが必要です。

しかし一方で、噛むということは手を使えない犬にとってはごく自然な行動であることも理解してあげてください。

 
 

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