愛犬が苦しそう!逆くしゃみは発作とは違うの?【獣医師が解説】

愛犬が苦しそうな息づかいをしている、発作を起こしているのではないだろうか…

などという症状を見たことはありませんか?

また、そのような症状に驚かれて病院に行かれたことはありませんか?もしかしたら逆くしゃみかもしれません。

逆くしゃみについて認知度も高まってきて、最近は動画サイトでも閲覧することもできますね。

でも、本当に逆くしゃみなのか…今回は逆くしゃみについてです。

逆くしゃみについて様々な角度からお話をしたいと思います。

 

逆くしゃみとは?

逆くしゃみとは

逆くしゃみを言葉で表現することは少し難しいですが、獣医学の成書での定義は、「愛犬が窒息をしているのではないかと考えるような、鼻咽頭部における発作性のゼーゼーと音を立てた吸気性の努力呼吸」とされています。

ちょっと表現として難しいですね…。

要するに、息を吸う時に発作のような様子が見られ、フガフガ言いながら苦しそうに息をする、とでも言いましょうか…

病気ではない?

逆くしゃみは治療を必要としない偶発的な発作、とされており、特に犬では多くの場合、ごく普通に起こるものです。

そのため、様々な年齢で起こる可能性があり、発生に性差はありません。

この場合、一般的には発作の持続時間が短く、自然に止まります。そして、発作と発作の間、犬は正常です。

身体検査で特に異常は認められませんし、実際に窒息するようなこともありませんので心配されなくても大丈夫です。

しかし、中には鼻腔や鼻咽頭における疾患に関連して起こる場合もあります。

疾患に付随して起こる場合には、逆くしゃみの症状のほかに何らかの症状をともなう場合もあります。

疾患が疑わしい場合には、レントゲン検査や血液検査、必要に応じてCT検査などを行い、異常の有無を確認します。

 

逆くしゃみの原因

鼻咽頭に存在する受容体と三叉神経の末端が何らかの刺激に対して反応し、反射的に逆くしゃみが起こるということが示唆されています。

偶発的な逆くしゃみでは正常所見であるとみなされますが、鼻腔や鼻咽頭の症状に関連していることもあります。

どのような疾患が原因になり得るか挙げてみたいと思います。

鼻、鼻咽頭の炎症と様々な病原体による細菌感染症

片側性、または両側性の鼻汁が見られることがあります。くしゃみやいびきを伴うことが多いです。

全身的な症状が出ることは稀です。

鼻腔腫瘍

鼻に腫瘍ができた場合にはくしゃみや鼻水が見られます。鼻水は漿液性、粘液膿性、血様など様々形態があり得ます。

このほか、いびきや進行すると顔面の変形が見られるようになる事もあります。

鼻のアスペルギルス症

真菌の感染症です。他疾患と同様にくしゃみや鼻汁が見られます。

鼻汁は片側性で漿液性、粘液膿性、血様などです。鼻の色素が消失し、顔面骨を触ると痛がります。

食欲が落ちることもあり、そのために体重が減ることもあります。

異物

鼻腔内に、虫や草などの異物が存在する場合にも、逆くしゃみの原因になることがあります。

長期に渡る異物の存在は鼻腔内に炎症を起こすため、くしゃみや鼻汁などの症状を伴うことが多いです。

環境中の刺激物

芳香剤やスプレーのエアロゾル、タバコの煙、花粉、排気ガスなどは鼻腔への刺激になり得ます。

これらを吸い込むことがきっかけで逆くしゃみやくしゃみなどの症状を誘発することがあります。

 

少なくする方法

逆くしゃみの原因にもよりますが、偶発性の場合は異常所見ではないため、少なくすることは難しいかもしれません。

しかし、発作が起きている場合に発作が短縮する方法はありそうです。

重度の不快感を伴う激しい逆くしゃみの発作では、発作を起こしている犬の口を開けて、舌を徐々に引き出して、何かを舐めさせたり、飲ませたりすることで発作が発現している時間を短縮できるとの報告もあります。

 

逆くしゃみではないかも

逆くしゃみに似ている症状

逆くしゃみが毎日、または日に何度も頻回に起こる場合や、鼻水やいびきなど、逆くしゃみ以外の症状を伴う場合には鼻腔や鼻咽頭疾患の可能性もあり、鑑別診断が必要になってきます。

それでは、どんな疾患との鑑別が必要なのか、代表的なものを挙げたいと思います。

鼻腔や鼻咽頭の腫瘍

鼻腔や鼻咽頭に発生する腫瘍はリンパ腫、腺癌、扁平上皮癌などがあります。

逆くしゃみだけでなく、鼻汁やくしゃみなど、他の症状を伴うことが多いです。

進行すれば顔面の変形などがみられるようになります。

異物

鼻腔に草や虫など、異物が入り込んでしまった場合、異物が鼻咽頭の受容体を刺激して逆くしゃみを誘発する可能性があります。

偶発的ではなく異物の刺激による症状の一つとして逆くしゃみを発現していることがあります。

膿瘍

膿瘍は膿の塊です。腫瘍や異物と同様に、膿瘍の存在が受容体の刺激になり、逆くしゃみを誘発することがあります。

真菌感染症

いわゆるカビの感染症です。真菌感染では肉芽腫といって塊状の炎症病変を形成することがあります。

肉芽腫が鼻腔内に存在することで逆くしゃみの症状を発現することがあります。

鼻炎、副鼻腔炎、鼻咽頭炎

炎症が起こると血流が促進し、炎症細胞が集まるなど、炎症部位が活性化します。

様々な炎症物質も産生されるため、受容体を刺激すると考えられます。

緊急性のある症状の可能性

逆くしゃみでは治療の必要はありません。しかし、例えば異物などが原因で気道の閉塞、呼吸困難が疑われる場合には緊急性が出ます。

愛犬の状態を観察し、舌の色がきれいなピンク色ではなく、紫がかった色に変化をしている場合には呼吸困難から酸素不足になっている疑いがあります。

できる限り早く処置が必要ですので、動物病院へお連れいただくようお願いします。

さいごに

いかがでしたか?

逆くしゃみについて、どういった症状であるのかは言葉での表現より、動画をみたほうがわかりやすいですね。

最近では動画サイトに逆くしゃみの症状が発現した時の動画を投稿される方もいらっしゃるので、愛犬に気になる症状が出た場合に、どのような症状なのか検索し、判断する方もみえます。

逆くしゃみは生理的なものであることの方が多いですが、中には鼻腔や鼻咽頭の疾患が原因になっている場合もあります。

気になる症状がある場合には、できれば症状が出ている時の動画を撮影してもらい、動画サイトに投稿するのではなく、主治医の先生に見せるようにしましょうね。

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