猫の抜け毛はどうしておこるの?抜け毛がひどい時は病気のサインかも?【獣医師が解説】

毎日毎日掃除をしているのに洋服に愛猫の毛がついてしまう!

猫の抜け毛は猫を飼われている方を困らせてしまう問題の一つですよね。

抜け毛は困りますが、愛猫の様子をよく観察してみてください。どこか特定の部分だけを毛づくろいしたり引っ掻いたりしていませんか?

その部分が脱毛していませんか?

もしかしたらその抜け毛は愛猫の病気のサインかもしれませんよ。

今回は猫の脱毛についてです。脱毛を起こしてしまう疾患だけでなく、被毛についても触れながら多角的にお話を進めていきたいと思います。

 

抜け毛がどうして起こるか?


猫の毛は成長し続けるわけではなく、一定の期間成長をしたら抜け落ち、それを周期的に繰り返します。

この周期を毛周期といい、その仕組みは基本的には私たちと同じです。毛周期は3つに分けられます。それぞれについてご紹介します。

成長期

毛を作る元になる細胞は毛母細胞といいます。成長期では、毛包にあるこの毛母細胞が盛んに細胞分裂をして増殖します。

分裂で増殖した毛母細胞は角質化して毛がどんどん伸び、長くなります。

猫の毛の成長は季節によってもスピードが異なりますが、だいたい1週間で2㎜であり、成長期は60日〜90日だと言われています。

退行期

さかんに分裂をしていた毛母細胞の分裂がストップし、毛の成長も止まる時期です。

休止期

毛を包んでいる毛包が縮み、毛を皮膚の表面に押し上げます。

古い毛の奥では新しい毛が成長し始めています。この新しい毛が成長を始めると、古い毛は押し出され抜け落ちるのです。

退行期と休止期は合わせて40日〜60日ほどだと言われています。

この毛周期を周期的に繰り返し、毛が生え変わっています。

またこれとは別に、換毛期と呼ばれる時期があります。

 

抜け毛の多い季節

毛の成長に影響を与える因子としては成長ホルモンや性ホルモンなとがありますが、この他、気温や日照時間も関係しています。

特に日照時間は換毛に大きく関与しています。

日照時間が長くなり、気温が高くなると、つまり冬から春になると新しい毛が成長し始め、休止期にあった毛を押し出します。

これが春の換毛期です。

寒い冬の間、体を温めていた冬毛が抜け落ち、夏毛が生えます。

また、夏から秋になり、気温が下がり、日照時間が短くなると今度は夏毛が抜け落ち、寒い冬に備えて冬毛が生えてきます。

このように、猫の換毛期は、春と秋です。特に春の換毛期は抜け毛が多いといえます。

最近では、室内飼育の猫も増え、照明器具や冷暖房器具の影響を受け、そのサイクルが乱れています。

明確な換毛期がなくなり、だらだらと年中毛が抜け落ちる傾向にあります。

 

アンダーコート、トップコートとは?

猫や犬の毛は、一つの毛穴から約7〜15本もの毛が生えています。

私たち人では1〜3本程度とされていますので、とても多いですね。

同じ毛穴から生える毛も同じものが生えているわけではなく、主毛、トップコートと呼ばれる太くてしっかりしている毛と、柔らかく細い、体に近い内側に生えている副毛、アンダーコートと呼ばれる毛に分かれます。

アンダーコートも少ししっかりしたものとさらに細い2種類に分かれていて、合計3種類の毛がそれぞれの役割を果たしています。

トップコートは太くてしっかりとした毛で、体の表面を覆っています。水や紫外線から皮膚を守る役割があります。

アンダーコートは、細くて柔らかな毛で、体温を保温する役割があり、寒さから守ってくれます。換毛期に抜け落ちるのはアンダーコートです。

 

ダブルコート、シングルコート

一層構造でアンダーコートのない被毛をシングルコート、トップコートとアンダーコート両方を持ちニ層構造となっている被毛をダブルコートと言います。

アンダーコートを持たないシングルコートでは換毛期が無いため、抜け毛は少ないと言えます。

抜け毛のケア方法

猫は自分でグルーミングをして体のお手入れをします。

特に換毛期にはグルーミングで飲み込んでしまう抜け毛も増えます。

その結果、胃の中で毛が塊をつくって胃を刺激し、嘔吐や食欲不振がらみられるようになることがあります。

これを毛球症と言いますが、短毛種の猫より、長毛種の猫でよく見られます。

予防ができるようであればしてあげたいものです。

短毛のケア

やはりブラッシングが基本になります。

グルーミングはしますが、週に一度くらいはブラッシングをしてあげたいものです。

換毛期にはできれば毎日ブラッシングを行うと良いでしょう。

長毛のケア

ブラッシングを怠ると毛玉になりやすいですので、できれば毎日のブラッシングを習慣にしたいものです。

ブラッシングを嫌がる猫も多いですが、毛玉になるともっとブラッシングが大変になります。

小さな毛玉ができていたら大きくならないようブラッシングをする、ハサミで切るなどをしましょう。

シングルコートの猫のケア

シングルコートだからといって毛が抜けないわけではありません。

換毛期が無くても通常の毛周期はありますので、定期的なブラッシングは必要です。

高齢猫のケア

高齢猫ではあまりグルーミングをしなくなることが多いので、ブラッシングをしてあげてください。

また、毛の生え変わりの周期も乱れてきますので、ブラッシングでの抜け毛のケアは大切です。

被毛の手入れだけでなく、爪とぎもしなくなることが多いです。

爪をとがないと、古い爪が剥がれず、太く爪になっていきますので、爪切りも忘れずにしてあげましょう。

ブラッシングの注意点

特に長毛種では毛玉ができやすいので、必ずブラッシングをしてあげる必要があります。

愛猫が嫌がる場合には専門家に任せる必要もあるかもしれません。

ブラッシングし過ぎで起こりやすい注意点

しつこくすると愛猫に嫌われてしまうかもしれません。

アンダーコート用のブラシも市販されていますが、力を込めてお手入れをすると皮膚を傷つけるなど皮膚のトラブルにつながることもありますので、注意しましょう。

こんな症状に注意

抜け毛だと思ったら皮膚病だった、などという場合もあります。

次のような症状がみられたら皮膚にトラブルが起きている可能性もありますので、動物病院への受診をお勧めします。

皮膚に赤味、湿疹がある

皮膚炎を起こしている可能性があります。

細菌や真菌の感染、ダニの寄生、アレルギーなどが原因として考えられます。

痒みがある

引っ掻いたり、しきりに舐めたり、噛んだりしている様子が見られる場合、痒みがある可能性があります。

細菌、真菌の感染やダニの寄生、アレルギーなどが原因として考えられます。

フケが出ている

フケも病気のサインの一つであることがあります。

フケは角質細胞が剥離したものです。感染があった場合には、感染源が体内に侵入するのを防ぐために角質細胞が病原体とともに剥がれ落ちます。

脱毛して脱毛班になっている

脱毛部位に発赤や湿疹など炎症の兆候が見られない場合には、ストレスなど心因性の理由で体の一部分だけを舐めて脱毛している可能性があります。

さいごに

愛猫の悩ましい抜け毛ですが、抜け毛には生きていくために必要な原因があることがお分かりいただけましたか?

グルーミングだけに頼らず、こまめにブラッシングをするなどし、ケアをすることで愛猫の被毛の健康も保ってあげるようにしましょう。

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