猫の知能ってどれくらい?猫の賢さについて考えてみよう【獣医師が解説】

普段一緒に生活をしていて、愛猫が賢いと感じますか?

それともちょっとおバカだけど、そこがかわいいって思っていますか?

猫はヒトに比べて脳の大きさが小さく、知能のレベルは低いと考えられています。

ただし、ヒトが驚くような知能を持っていることもあり、一概に知能が劣っているとは言えません。

今回は、普段なかなか考えてもわからない猫の知能について、じっくり解説させていただきます。果たして猫にはどのような知能があるのでしょうか?

 

猫の知能はどの程度?

猫の知能はどの程度のものなのでしょうか?現在のところ、以下のようなことがわかっています。

動物の賢さの指標「脳化指数」

猫の知能についてはいくつかのことがわかっていますが、もっとも客観的な評価が「脳化指数」と呼ばれるものです。

これは、全体重に占める脳の重さの目安であり、脳の割合が多ければ多いほど知能が高いと言われています。

ヒトの脳化指数は7.4~7.8と言われており、動物の中では最も高くなっています。

猫は1.0で、犬の1.2よりも低くなっています。

つまり、脳の大きさだけ考えると、猫は犬より知能が劣るということになります。

また、スズメの脳化指数は1.0であり、脳の大きさだけで判断するなら猫とスズメの知能は同レベルだということになります。

脳化指数だけで賢さを正確に評価することはできませんが、脳化指数はある程度の賢さの指標になっています。

知能の個体差は激しい

猫の賢さを測ることは難しいです。

賢さにはさまざまな要素があり、同じ猫でも個体によって賢さは違うと思ってもらった方がいいでしょう。

子猫はものを覚えるという意味では大人よりも賢いです。

小さいころから教えることで、お手やお座りをする猫もいます。

一方、大人の猫は今までの経験を基にした行動ができるという点で子猫より賢いと言えます。

危険を察知する能力や、食べてはいけないものを知っているなど、賢さで大人が子猫を上回っている部分は多いです。

賢さは生まれか育ちか?

賢さは生まれつきある程度違いますが、学習によって身に付ける知識もあるため、猫の賢さは育ちによって違ってきます。

他の猫や他の動物たちと一緒に育ってきた子は、他の動物との遊び方や距離の取り方を学びますし、人と接する機会の多かった子は、人との接し方について学びます。

野良猫はいかに生き抜くのか、餌の見つけ方や車などの危険を回避する方法を覚えます。

猫の賢さは、生まれと育ちのどちらに大きく影響されるかというデータはありませんが、獣医師としての経験上、育ちは非常に重要であると感じます。

猫種によって賢さは違う?

猫種によって性格が異なることは知られていますが、猫種によって賢さに違いがあるかどうか科学的な根拠のあるデータはありません。

時々、賢い猫種ランキングのような記事もありますが、それほど信頼性の高いものではないと思ってもらった方がいいでしょう。

猫の賢さは2歳児と同レベル?

一般的には、猫の知能は人の2歳と同じレベルだと言われています。

ヒトの2歳だと、少しずつ言葉を覚えてしゃべる時期です。

猫の鳴き声にいくつかの意味があることはわかっていますが、言語能力の部分ではヒトの2歳の方が優れています。

また、2歳児は徐々に数字を覚えていきますが、猫が物の数を理解できているのかは不明であり、数学的知能に関しても2歳児に軍配が上がります。

一方で、猫は空間認識能力が非常に優れています。

身体・運動感覚知能についても2歳の赤ちゃんに比べると優れています。

そういったことを総合すると、猫の知能は2歳と同じくらいの知能レベルではないかと推測されています。

ただし、これらの知能を客観的に評価するのは難しく、ヒトと猫の知能の比較にも諸説あります。

 

猫は他の動物より賢い?

他の動物と比べて猫は賢いのでしょうか?優れている知能、劣っている知能を見てみましょう。

犬と猫

猫は本能での知能が優れ、犬は学習による知能が優れていると言われています。

猫はトイレなどを教えなくてもすぐにできることが多いですが、犬はしつけで教えないとできません。

ただし、芸を教える場合には犬の方が優れています。

また、社会性に関しては犬の方が優れています。

もともと犬は群れで生活をする社会性動物であるため、犬同士のあいさつや犬の蒸れの中での役割分担などに関しては犬の方が優れています。

また、言語能力に関しても犬の方が優れているようです。犬の研究では最大250語程度の人の言葉を覚えられるというデータが最近出ています。

一方で、猫は情報認識・処理能力が優れていると言われています。

ヒトのトイレで用を足すネコがたまに話題になりますが、これは猫が、ヒトがトイレで用を足しているということを認識し、ヒトのトイレを排泄する場所だと理解しているからだと考えられます。

また、猫は犬に比べ縦の空間を使うのに優れています。これは、空間認識能力が優れている証拠だと考えられます。

犬と猫ではそれぞれ優れている部分が違いますが、総合すると犬の方が賢いとは言われています。

ウサギと猫

ウサギの脳化指数は0.4であり、ラットや豚と同程度の指数になります。

1.0の猫に比べると、ウサギの知能は低いと考えられます。

一般的に、草食動物は肉小動物に比べて知能が低いことが多いようです。

これは、動くものを追って食べるという行動が必要な肉食動物に比べて、動かないものを探して食べるという行動をとればいい分、草食動物の行動はシンプルでいいからだと考えられます。

ウサギを含めた草食動物は、知能を発達させる代わりに繁殖能力や胃腸を発達させたと考えることもできますね。

カラスと猫

カラスの脳化指数は1.25と犬や猫よりも高くなります。

実際の行動を見てみても、カラスは非常に賢い動物だと考えられています。

特に知能が高いと考えられる根拠の一つが、道具をうまく使うことができるということです。

カラスが石や棒を使って餌を採ったり、パズルを解いたりする能力を持つと実証された実験が多くなされています。

また、道具を自分で使うだけではなく、人の行動をうまく利用する高い学習能力もカラスは持ち合わせています。

クルミを道路に落として車に轢かせて食べたり、人に甘えてエサをもらうことも簡単に覚えるようです。

生存に必要のない遊びやいたずらをするなどその知能は非常に高く、知能の面だけで考えると、猫がカラスより優れている部分は少ないようです。

大型ネコ科とイエネコ

ライオンは脳化指数が0.6とイエネコに比べると低くなっています。

あくまで推測にすぎませんが、イエネコは進化の過程で人と一緒に生活するために、骨格や身体能力を発達させる代わりに知能を発達させたものと考えられます。

トラはライオンより若干脳化指数は高いですが、やはりイエネコに比べると知能は劣ると言われています。

 

猫の知能の優れている点と弱い点

猫の知能には非常に優れた点と、他の動物に比べて弱い点があります。

猫の優れた知能

  1. 空間認識能力
    縦に動くことを得意としており、空間認識能力は高いです。
  2. 嫌なことを覚える記憶力
    猫は嫌なことをとてもよく覚えています。特に、動物病院で嫌な思いをしたり、苦い薬を飲ませたりすると、かなり長い間覚えています。猫はしつけが難しいため、記憶力が弱いと考えらえているようですが、特に嫌なことに関してはかなりよく記憶していますので気を付けてくださいね。
  3. 情報認識能力
    猫は人の行動をよく観察しており、入った情報を認識する能力に長けています。

猫が弱い知能

  1. 言語的能力
    猫は言葉を覚えるのが苦手です。
  2. 数学的能力
    数を数えるなどといった能力も現在のところは確認されていません。
  3. 適応力
    猫は新しい環境が苦手です。犬は比較的すぐ慣れますが、猫は警戒心を解くまで時間がかかります。猫をホテルに預けない方がいいのもそのためです。
 

猫の賢さとは?

動物が生き残るためには知能と身体能力が必要になります。

勉強などしなくてもいい猫にとっては、身体能力で足りない部分をカバーすることが猫の賢さと言ってもいいでしょう。

どのように猫の知能は発達する?

例えば、エサにありつく方法。猫が身体能力を使うのであれば、五感をめいいっぱい使い、ネズミなどの獲物を取ります。

一方、知能を発達させると餌をもらえるようにする方法を考えるようになります。

「いつ、どこに、どんなタイミングで行けばエサにありつけるのか?」

「どのような態度を取ればエサがあるのか」

などを考えながら生活をしていくうちに、知能が発達していったと考えられます。

ヒトと暮らすようになったイエネコは、ヒトと上手く暮らすために、社会性やコミュニケーション能力などの知能を発達させたことで、他のネコ科動物に比べて知能が高くなったものと考えれます。

まとめ

猫の知能には、他の動物にはない優れた部分もあれば、弱い部分もあります。

猫とヒトとの歴史は長く、猫はその環境に適応するように進化し、知能を発達させてきました。

近年ではヒトと猫の関係性はどんどん近くなってきています。

もしかすると、今猫が不得意な言葉に関する知能に関しても、ヒトと生活するうちに徐々に発達して、猫が言葉を理解できるようになる日が来るかもしれませんね。

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