犬が唸る時は放置してはダメ!関係を見直すスタートにしましょう!【獣医師が解説】

ふとした時に愛犬が、「ウーッ」と唸り声をあげた、そのような経験はありませんか?

いつも穏やかな性格のはずが何故?信頼関係を築いていたはずなのに何故?

何か気に入らないことをしてしまったのだろうか?

恐怖を感じる方、驚かれる方、ショックを受ける方、犬が人間に歯向かうなんて生意気だ!

なんて言われる方もおられるかもしれません。

しかし、犬が唸るのにも正当な理由があるはずです。とは言うものの、唸るという行為をそのまま放置するのは問題です。

しかし、ただ頭ごなしに怒っても効果がみられず、さらに犬との信頼関係が崩れてしまう恐れもあります。

唸る原因はいったい何なのか、その原因を知り愛犬の気持ちを理解してあげた上できちんとしつけをすることが重要です。

今回は犬が唸ることの意味と対策について考えていきたいと思います。

 

唸るとは

犬の威嚇行動のうちの1つです。

「ウーッ」と低い声をあげ、マズルにしわを寄せて睨みつけるなど表情も恐ろしいですね。

唸る意味は?

犬が唸るのは、遊んでいて興奮している場合を除いては威嚇です。

これ以上嫌なことをすると噛むぞ、これ以上調子に乗るなよ、というサイン、警告なんです。

つまり、唸るという行為は犬側にも理由があってのことですが、唸っている相手を同等以下に見ている証拠です。

そのため、唸る行為自体を許して放置するべきではありません。

唸られると怖いから怯んでしまう、などというのは犬の思うツボです。

犬がよく唸る時

  • 遊んでいるオモチャを取られそうになった時
  • ご飯を食べている時に手を出した時
  • ソファや椅子の上など、自分の気に入った場所に人や同居犬が入ってきた時

これらは経験のある方も多いと思いますが、オモチャやご飯を取られたくないから威嚇する、気に入った場所を渡したくないから威嚇する場合です。

この場合、相手に対して自分が上位だと思っていることを示しています。

ブラッシングや耳の処置、投薬など犬の嫌がることをした時

嫌がることをすると唸る犬は多いと思います。

外耳炎に罹患している時の耳処置や、点眼薬、歯周病を起こしている時の歯磨きは嫌なものです。

しかし、嫌なことをされても威嚇を許して良いわけではありませんし、威嚇以外の痛みの伝え方があります。

また、以前に嫌なことをされた時に唸って威嚇したら止めてもらえた、などという経験がある場合には、少し気にくわないことがあれば唸って威嚇し、嫌なことをさせない、という行動を取ります。

来客や宅急便などが来た時

これは、縄張りを守るための威嚇になります。

犬にとっては飼われている自宅がテリトリーです。そのため、自宅への来訪者はテリトリーの侵入者です。

犬は元々は番犬として飼いならされ、番犬としてテリトリーを守るのは当然のことだといえます。

そのため、来客=テリトリーに侵入した無礼者、というわけです。侵入者を追い出そうと威嚇をするために唸ります。

知らない人に近づかれた時、子犬に近づいた時

母犬には母性があり仔犬を守るために、仔犬に近づく者に対して唸り声をあげて威嚇する姿がよくみられます。

場合によっては飼い主にも唸り声をあげることがあります。

また、犬には仲間意識があります。

知らない人が近づくと仲間を守ろうとして唸り声をあげ、自分だけでなく、仲間(飼い主や家族)を守ろうとして威嚇します。

これは犬の本能に基づくもので、威嚇をする状況は犬にとってもストレスを感じていると言えます。

悪いことをして叱った時

恐怖からくる唸り声です。

怖いと思っているからこれ以上は近づくな、という警告の意味があります。

恐怖を感じている時には耳を下げ体勢を低くしていつでも逃げられるような体勢で唸ります。

恐怖を唸り声と姿勢で示しています。このような場合には犬もストレスを感じています。

熟睡している時に触った時

驚いた事から身を守るための唸り声です。

不意を突かれて驚いた時に攻撃を仕掛けられないように唸って威嚇します。

反射的に噛んでくることもありますが、無意識であることも多いものです。

遊んでいる時

遊びがエスカレートして興奮すると唸り声をあげるようになることがあります。

人と遊んでいる時にも興奮して鼻にしわを寄せ、唸って遊びをけしかけてくることもありますが、遊びの延長とはいっても飼い主に牙をむくことは好ましいことではありません。

また、犬同士で遊んでいても、同様なことが起こり、喧嘩をしているのではないかと勘違いしてしまうこともあると思います。

唸るという行為だけで考えると威嚇かどうかの区別もつきにくいと思いますが、目や表情、体勢をみて、区別します。

犬がよく唸る相手

  • オモチャやフードを取ろうとした相手
  • 仔犬に近づく人や同居犬
  • 来客などテリトリーに入ってきた人
  • 自分より下だと思っている相手
 

唸る理由と改善策

遊んでいるおもちゃを取られそうになると唸る

理由

楽しく遊んでいるおもちゃ、お気に入りのおもちゃを取られたくないために唸って威嚇します

解決策

遊んでいても唸ることは許してはいけないことです。

しかし、興奮している時に怒っても効果がなく、かえって犬を逆上させ噛まれてしまうこともあります。

そのため、無理に取ろうとするのではなく、「離せ」や「貸せ」などと、おもちゃをこちらに渡すような指示を出してそれに従うようにしつけをしましょう。

指示は犬が分かりやすいように短い言葉にするとよいですね。

時間がかかるかもしれませんが、うまくできたらたくさん撫でて褒めてあげる、おやつを与えるなどご褒美をうまく使い、指示に従うとご褒美がある、と学習させましょう。

フードやフードの入っていたお皿を片付けようとすると唸る

理由

フードを取られたくないと思い唸ります。

また、フードのお皿にはフードの匂いが付いているため、フードが残っていなくても犬にとっては取られたくものなのです。

そのため、まだ舐めている時にフードのお皿を取り上げられそうになると唸ることがあります。

解決策

唸る相手を同等以下にみています。

群においても食事の順序ははっきりしていて、リーダーが1番に食べ、上位の者が来れば餌を譲るものです。

犬との生活で、犬を優先せず、私たちが主導権を握り上に立つようにし、犬との関係を見直すようにします。

それと同時に、フードを与える際、手で少しずつお皿に入れるようにして与えます。

お皿には手を近づけると唸る場合には、無視し、フードを与えることを中止します。

犬が落ち着いたら再度与える、を繰り返し、人の手=フードを取る、ではなく、人の手=フードがもらえる、という意識に変えていきます。

ソファなどお気に入りの場所に座ろうとすると唸る

理由

お気に入りの場所を取られたくない、お気に入りの場所に侵入して欲しくないために唸ります。

解決策

犬のワガママです。

飼い主が同等、あるいは下に見られている可能性があります。

犬中心の生活をするのではなく、人間主体の生活をして、常に人が主導権を握るようにしてください。

犬がソファなどに上がることがあるのであれば、指示で犬がその場所から退くようにしつけをしましょう。

この場合の指示は、「下りろ」、「ダウン」などです。

また、遠くから「来い」、「カム」などと犬を呼び、犬を退かせてもよいでしょう。

指示は何でも良いのですが、短く分かりやすい言葉が良いです。

うまくできたらたくさん撫でて褒めてあげる、おやつを与えるなどご褒美をうまく使い、指示に従うとご褒美がある、と学習させましょう。

耳処置をすると唸る

理由

耳を触られるのが嫌だ、外耳炎があり耳が痛い、耳掃除の仕方が適切ではないなどが考えられます。

解決策

耳を触られるのが嫌だという場合には、遊びながら少しずつ耳を触り耳を触られることに慣らせていきます。

触っても嫌がらないようになったら耳そうじをして、終わったらたくさん撫でて褒めてあげる、おやつを与えるなどご褒美をうまく使い、指示に従うとご褒美がある、と学習させましょう。

耳が赤くなっている、汚れが激しい、匂いがきつい、などの兆候は外耳炎の可能性があります。

痛みを伴っていることもあり、その場合には犬も嫌がるものです。

動物病院へ受診して、炎症がおさまるまでは獣医師の指示通りの処置にするようにしましょう。

犬の耳掃除は脱脂綿に洗浄液を付け、指で届く範囲を拭いてあげれば十分です。

綿棒を使うと外耳道に当たり痛みを伴うことがありますし、汚れを外耳道の奥に押しやってしまう可能性もありますので、控えましょう。

ブラッシングで唸る

理由

ブラッシングが嫌い、毛玉ができていてブラッシングされると痛い、ブラッシングの仕方が適切ではない

解決策

ブラッシングが嫌いな場合では、少しずつブラッシングをし、ブラッシングが終わったら、たくさん撫でて褒めてあげる、おやつを与えるなどご褒美をうまく使い、指示に従うとご褒美がある、と学習させましょう。

毛玉ができている時には無理に引っ張ると痛みを感じるものです。

また、毛玉がひどいと皮膚炎を起こしてしまっていることもあります。

毛玉がひどい時にはトリミングサロンや動物病院で処置をお願いするようにしましょう。

ブラシのかけ方も大切です。

スリッカーブラシやクシなど金属のものではあまり強い力でブラッシングすると皮膚にあたり犬も嫌がりますので気をつけてブラッシングしてあげてください。

投薬をしようと口を開けようとしたら唸る

理由

無理に口を開けられる事が嫌だ、薬を飲みたくない

解決策

犬が優位に立っている場合には嫌なことをされると威嚇してやめさせようとします。

犬中心の生活をしていませんか?人間主体の生活をして自分たちが主導権を握るように変えていきながら、お口を触っても嫌がらないようにトレーニングが必要です。

また、薬だけでなく、フードやおやつなどを手から与え、人の手が口元に行く事が嫌なことではないという条件付けもしていくと良いでしょう。

無理に投薬しようとして噛まれてはいけませんので、順を追って出来るように慣らしていく事が必要です。

仔犬に近づいたら唸る

理由

母性本能、仲間を守ろうとする本能

解決策

出産後の母犬はナーバスになっています。

たとえ飼い主でも子犬に近づくと取られると思い威嚇しむます。

また、離乳前までは触られることも嫌がるものです。育児は母犬に任せ、そっと見守ってあげましょう。

来客や知らない人に唸る

理由

自分のテリトリーに侵入されたと思う。また、知らない人が近づくと仲間を守るため唸って威嚇します。

解決策

自宅がテリトリーでないと認識させる事が必要です。

放し飼いにして自由にさせているのであればそれはやめ、ケージ飼育にするか、せめて一部屋だけの解放にします。

また、自宅でマーキング行為があるのであれば、それも止めさせます。

 

熟睡している時に触ると唸る

理由

急に触られて驚いてしまっている

解決策

犬が熟睡していたり、何かに集中をしている、また、視覚に異常があるなど、触られることに気づかないことが予想される時には、声をかけてから触るなどしてあげましょう。

 

病気の可能性

脳に腫瘍ができているなど、脳の病気があると性格の変化が見られることがあります。

ふだんは大人しい性格の犬の性格が変化して怒りっぽくなる、攻撃的になるなどです。

また、体のどこかに痛みがある時、例えば、軽度な椎間板疾患、ギックリ腰、背部痛などがある場合にも、痛みから唸ることがあります。

痛みが原因の場合には、ある特定の場所を触ったり、特定の動作をするしたりするなど唸る時が決まっていることがあることが多いので、よく注意して見てあげてください。

唸ることの弊害

犬が唸る時には理由があるものです。

犬の本能的なものもありますが、飼い主との上下関係がうまくできていないことが原因になっていることが多いのです。

犬は元々は番犬として人に飼いならされてきた動物ですが、近年は愛玩犬としての役割を担っており、小型犬が好まれる傾向にあります。

見た目が可愛いからと甘やかすことで人と犬との立場が逆転してしまっているケースをよく見かけます。

唸ることは威嚇です。

どんな場合でも唸って威嚇をするという行為を見過ごすべきではありません。

犬に苦痛を我慢させるというわけではありませんが、唸るということは伝え方として適切ではありません。

また、犬の苦手な人にとっては、犬に唸られることは恐怖です。

まとめ

犬が唸るにも理由かあるのですね。唸るということは言葉の話せない犬にとっては自分の気持ちを伝える手段でもあります。

しかし、唸るという行為は威嚇でもあります。

威嚇をする相手は犬が同等以下であり、唸って威嚇されるということは犬との上下関係がうまくいっていない可能性もあります。

また、場合によっては犬がストレスを受けていることもあるのです。

愛犬が唸る状況によって理由も対策も異なります。

唸られたからといって、そこで驚いたり嘆いたりするのではなく、愛犬が唸った原因が何かを考えてあげましょう。

唸ったこと、それを結果ととらえず、愛犬との関係を見直すスタートにしてください。

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