バナナを食べるわが家の猫。与えても大丈夫?

近頃、猫がバナナを食べる動画が話題になっているようですが、本当に猫は好んでバナナを食べるのでしょうか。

そして猫にバナナを与えても問題はないのでしょうか。今回は、猫の食性とバナナの安全性についてお話します。

 

猫にとってバナナとは?

猫は肉食動物なので、多くの場合植物であるバナナに興味を持つことはありません。

しかし、なかには食感や匂いにつられて食べる猫もいて、特に食べ物の好みが決まる生後6ヶ月までの子猫期にそのような食べ物を与えられた経験があると、成猫になってからも興味を示すことが多いようです。

バナナは、食べたからといってたまねぎのように中毒を起こすような危険性はありません。

しかし日常的に食べてもよいものかというと、話は違ってきます。

 

バナナの栄養素

それでは、バナナの成分について具体的にみてみましょう。

一般にバナナは低カロリーで高栄養といわれていますが、具体的に多く含まれる栄養素と役割は次の通りです。

・タンパク質:体の組織をつくる
・炭水化物:エネルギー源となる
・カリウム:利尿作用、筋肉のはたらきを調整
・マグネシウム:カルシウムの吸収を促進し、骨や歯の形成を助ける
・ビタミンB1:疲労回復
・ビタミンB2:脂質の燃焼をよくする
・ビタミンB6:血圧を下げ、心筋や筋肉の働きをよくする
・食物繊維:便通をよくする

このように並べると、バナナはとても体に良い食材のように見えます。

確かに人にとってはその通りでしょう。ところが猫にもそのまま当てはまるかというと、どうもそう単純ではなさそうです。

 

猫は「完全肉食」人は「雑食」

猫と人とは同じ哺乳類同士似ているところもたくさんありますが、食生活においてはかなりちがう生き物です。

私たち人間は雑食で肉も植物も食べることができますが、これは好みの問題ではなく、長い進化の過程でそのように体が適応してきた結果です。

同様に猫も進化の歴史の中で、肉食に適応してきました。

それも同じ肉食の犬とも違い、まったく植物を食べない「完全な肉食」となりました。

これは、単に食べ物が違うという話ではありません。

必要な栄養素もその量も、持っている消化酵素も異なる点が多々あるのです。

つまり、バナナに含まれる人にとって良い栄養素が、そのまま猫にも通用するかというとそうではないことも多いのです。

 

炭水化物が猫にとって特に問題

最近、キャットフード市場で盛んにグレインフリーが叫ばれるようになりました。

これは、猫が完全肉食動物であることを考慮に入れた流れです。

なぜなら肉しか食べない猫にとって炭水化物、つまり糖質はほとんど必要のない栄養素であり(少しは必要です)、逆に言えば消化も吸収もよくできないものなのです。

ある研究によると、糖質の多い食事を摂取している猫は肥満よりも糖尿病になりやすいという結果がでています。

猫は糖尿病に犬よりもかかりやすく、そういう意味でも糖質のとり過ぎには注意しなければなりません。

グレインフリーでないキャットフードにはいまだに炭水化物が30%程度も含まれていて、もしこれに加えてバナナをおやつにして食べたら、明らかに過剰摂取となってしまいます。

植物由来の栄養素を取り込めるかわからない

猫は、植物由来の食べ物を消化する酵素を十分持たないため、猫に必要な、バナナの中の限られたタンパク質や脂質さえも、生のバナナからちゃんと取り込めるか確証がありません。

代謝が人や犬と異なり、研究でもよくわかっていないことも多く、たとえ猫にとって有益な栄養素があったとしても効率よく吸収できるかどうかはよくわかっていないというのが現状です。

キャットフードには、確かにバナナなどの果実を原材料にしているものもあります。

それは生のバナナをそのまま入れているというよりも、酵素処理など猫がその栄養を消化できるよう加工してあると考えるべきです。

カリウムやマグネシウムの取り過ぎにも注意

バナナには豊富なカリウムやマグネシウムが含まれています。

猫にも必要な栄養素ですが、キャットフードを与えていれば十分摂取できているはずです。

おやつとして与えると過剰摂取になりやすく、高カリウム血症(腎機能が弱っているとなりやすくなり、心臓の働きに悪影響を及ぼす病気)や、尿路結石、膀胱炎といった病気の原因になりかねません。

特に高齢猫はすでに腎臓病や下部尿路疾患のリスクが高いため、バナナを与えるのは良くないといえるでしょう。

人の食べ物は与えないようにしましょう

さきほどもお話しましたが、猫には、人や犬が持っている植物を消化する酵素や、さらには植物の毒素を解毒する機構さえも欠けています。

猫が食べてはいけない植物が多いのはそのためです。

しかも、猫の代謝はよくわかっていないことも多く、同じ栄養素でも植物から摂取した場合どうなるのか、といったことについて詳しく検証されていません。

そのため、利益よりも害となるリスクをはらんでいます。

そのような現状を考えると、安易に人と同じ食べ物を猫に与えるのは避けたほうが良いでしょう。

もちろん猫にとって良い栄養素も含んではいますが、あえてバナナなどの植物から摂取する必要はありません。

ましてや、おやつとして日常的に与えることは控えたほうが良さそうです。

まとめ

バナナは、猫が少量食べたからといって中毒を起こすような食べ物ではありませんが、飼い主さんが積極的に与えるようなものでもありません。

もしどうしてもビタミンやカリウム、マグネシウムを摂取させたいのであれば、動物性のものから補えるように考えるか、獣医師とよく相談するようにしましょう。

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NEKOCLIP

博物館に20年勤務していた古生物学系元学芸員。猫は絶滅してしまった化石猫から イエネコ、ライオンに至るまで全部大好き。猫飼い歴ン十年の猫おばちゃんです。 飼育のお悩みから進化学に至るまで、幅広い情報と猫の素晴らしさをわかりやすく お伝えしようと思います。理学修士、ペットシッター資格、愛玩動物飼養管理士2級。 ペット用品販売会社での勤務経験もあります。