愛犬の耳が臭かったら?普段から嗅いで異変の時はすぐ獣医師へ!【獣医師が解説】

愛犬の耳がなんだか臭い…

臭いがすると思ったら愛犬の耳だった、などという経験はありませんか?

犬の耳には耳垢腺という皮脂腺がありますので、皮脂の分泌があります。

そのため皮脂そのものの臭いがありますし、皮脂が酸化したり細菌に分解されればまた異なった臭いがするようになります。

何らかの病気が潜んでいる場合にも臭いが強くなることがあります。

今回は犬の耳が臭う時に考えられる原因や疾患、また耳のケアの方法などをご紹介したいと思います。

 

耳の構造

耳の臭いやケアについてお話しをする前に、犬の耳の構造を簡単にご説明します。

犬の耳と人の耳の違いは、外耳道の形にあります。

人は耳の入り口から鼓膜まで直線的に耳道が続きますが、犬ではL字型をしています。

耳の入り口からまず垂直耳道に続き、次に水平耳道となり、鼓膜へと到達します。

 

耳が臭いとは

耳の臭い

犬の耳が臭う時、主には耳の入り口から鼓膜へと続く外耳道から発せられていることが多いです。

外耳道は皮膚と同様に耳垢腺という皮脂腺の一種が分布しており、そこから皮脂の分泌があります。

分泌された皮脂そのものの臭いだけでなく、皮脂は空気に触れれば酸化します。

また、外耳道の皮膚にも常在菌といって雑菌なども存在するため、皮脂がそれらによって分解されることで健常であっても臭いを発することがあります。

また、外耳炎や耳垢腺の腫瘍化などの病気が原因で耳が臭うこともあります。

外耳炎では、外耳道で常在菌が繁殖したり。皮脂の分泌が増えたりして臭いが強くなります。

腫瘍では、分泌物の臭いも強くなりますが、皮膚がただれて炎症性の浸出液が出ることもあり、強い臭いがします。

耳の様子や犬のしぐさ

耳から臭いがしても、外耳炎など病的なことが原因ではない場合には、もちろんですが見た目の変化はありません。

耳が赤い

炎症の兆候があります。運動後や興奮時などが原因で一過性の場合には問題のないことが多いですが、常に赤みがあるような時には外耳炎を起こしている可能性がありますので、お耳掃除もや軽く拭くような感じに、優しくしてあげてください。

耳を掻いている

耳にかゆみがあると前脚で猫が顔を洗うような仕草を見せたり、後ろ足で掻く、耳を床にこすりつけるなどといった行為が見られることがあります。そのような仕草を見せた時にはお耳のチェックをしてみてください。見た目に変化がない事もありますが、一時的なものでなく、続くのであれば動物病院を受診して耳の奥まで診てもらうと安心です。

首を傾ける、頭を振る

耳の奥に耳垢がたまっていたり、炎症で違和感がある、かゆみや痛みがある時には悪い方の耳を下にして首を傾けたり、耳の奥にたまっている耳垢を遠心力で出そうとして激しく頭を振るなどという行為が見られることがあります。特に頭を激しく振るようなことが続くと、耳たぶに血液がたまって腫れる、耳血腫になる危険もありますので、注意して様子を見てあげてください。

耳が臭いやすい犬種

それでは、犬種によってお耳が臭う、臭いにくいなどがあるのでしょうか。お耳の形状別みていきましょう。

立ち耳の犬種

立ち耳には、

  • チワワ
  • ポメラニアン
  • ヨークシャー・テリア
  • ミニチュア・ピンシャー
  • パピヨン
  • フレンチ・ブルドッグ
  • ウェルシュ・コーギー
  • 秋田犬

などの犬種が挙げられます。

お耳の臭いは、耳が立っているからと言って臭わないというわけではありません。

それは、立ち耳でも耳垢腺は存在しますし、もちろん、耳垢腺からの皮脂の分泌があるからです。

また、特に柴は、アトピー性皮膚炎の好発犬種です。

アトピー性皮膚炎に罹患していると、全身的に皮脂の分泌量が増え、外耳炎を起こす事も多いため、耳の臭いが強い傾向があります。

体質がらみのこともあるので、なかなか臭いを抑えることが難しい場合もあります。

定期的にお耳の掃除をして清潔に保つことで臭いが少しは抑えられたり、早期に耳の異常に気づいてあげられると思います。

半立ち耳の犬種

  • ジャックラッセル・テリア
  • ワイヤー・フォックス・テリア
  • イタリアン・グレーハウンド
  • シェットランド・シープドッグ
  • コリー

などが代表的な犬種です。

半立ち耳の犬も、立ち耳と同様に臭わないというわけではありません。

耳垢腺が存在し、耳垢腺からの皮脂の分泌があります。

アトピー性皮膚炎やアレルギー性皮膚炎に罹患していると、皮脂の過剰な分泌がみられる場合があります。

また、外耳炎も起こしやすいものです。そのような状態では、お耳の臭いも強くなります。

垂れ耳の犬種

  • シー・ズー
  • トイ・プードル
  • マルチーズ
  • ビーグル
  • アメリカン・コッカースパニエル
  • ゴールデン・レトリーバー
  • ラブラドール・レトリーバー

などが代表的な犬種です。

垂れ耳は耳の中が蒸れやすいので臭いが強いと思われる方が多いのですが、必ずしもそうとはかぎりません。

お耳の臭いの強さは耳垢腺からの分泌物の量や病気に罹患しているかどうかに依存します。

シー・ズーやアメリカン・コッカースパニエルなどはアトピー性皮膚炎やアレルギー性皮膚炎の好発犬種です。

また、マルチーズやゴールデン・レトリーバー、ラブラドール・レトリーバーでも皮膚の弱い犬が多く、外耳炎を起こしやすいです。

 

病気が考えられる症状と治療

外耳炎

炎症が起こるため、耳に赤味があったり、耳を痒がったりします。耳垢の量も増え、臭いも強くなります。

感染がひどいと化膿し耳垂れが出ることもあります。

片方の耳だけに起きることもありますし、両耳に起きることもあります。

また、片側ずつ繰り返すこともあります。

動物病院では、耳の奥にたまった耳垢を取り除くため、洗浄液を用いて洗浄します。

また、耳垢の検査をして検査結果に応じて点耳薬、内服薬などを用いて治療をします。自宅での治療や処置も必要になります。

外耳炎はアトピー性皮膚炎やアレルギー性皮膚炎の一症状として発現することもあり、その場合には、再発を繰り返し、うまく付き合ってコントロールする必要があります。

ミミヒゼンダニ感染

ミミヒゼンダニというダニの感染症です。

耳の臭いは強くありませんが、ダニが感染するととても耳を痒がり、黒っぽい耳垢が大量に出ます。

耳垢検査でダニが検出されれば駆虫薬を点耳して治療をします。ヒゼンダニやヒゼンダニの卵を含んだ耳垢を介してうつるので、同居の犬がいる場合には同時に治療することもあります。

治療を開始すれば比較的早く完治が望めます。

耳垢腺の腫瘍

耳垢腺も腫瘍化します。良性のものは耳垢腺腫、悪性のものは耳垢腺癌です。

腫瘍ができると分泌物が増え、かなり強い臭いを出すようになります。

外耳道に腫瘍の発生が疑われた場合には、外耳道を切除する方法が取られることが一般的です。

 

耳のケア方法

外耳道には、自浄作用といって自分で浄化する作用があり、耳の奥にたまった耳垢はベルトコンベアのように耳の入り口まで運ばれてくると言われています。

そのため、お耳のケアはコットンに洗浄液をつけ、指の届く範囲を拭いてお掃除をしてあげれば十分です。

よく綿棒を使ってケアをされる方がおられますが、綿棒を使うと汚れを耳の奥に押しやってしまう可能性があり、あまりお勧めはできません。

また、外耳炎を起こしている外耳道は傷が付きやすく、綿棒の刺激で容易に傷がつき、出血する可能性もあります。

普段から定期的にケアをすることで愛犬の耳の様子が把握できます。耳垢の量や耳の臭いは個体差があります。

耳垢が多い、または耳の臭いが強いからといって必ずしも病的なものとは言えません。

愛犬の普段の耳の様子を把握して、いつもと比べて耳垢がたまっている様子が見られる、耳垢を愛犬が気にして頭を振っているなどの仕草が見られる時には動物病院へお連れいただき、処置をしてもらうようにしましょう。

まとめ

犬の耳は人の耳とは構造が異なり、少し複雑です。

そのため、お耳のケアも人の耳そうじとは同じように、というわけにはいかないです。犬

には犬に合ったケアの方法で日頃からお手入れをしてあげるようにしてください。

また、日頃からケアをして愛犬のお耳の状態を把握することがお耳の健康にも繋がります。

お耳の臭いも体臭の一つと考え、普段の臭い強さ、どんな臭いがするのか、など五感で感じておくとよいですね。

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