実は危険がいっぱい。猫にアイスを与えても大丈夫?

夏の暑い時も、冬の寒い時も、アイスは人気のおやつです。人が食べているのをみて、「ちょうだい!」とおねだりする猫もいるでしょう。

ちょっとくらいならいいかな、とあげたくなってしまいますが、そもそも猫にアイスを与えてもよいのでしょうか。

 

アイスとはどんな食べ物?


アイスは、乳成分の多い順に「アイスクリーム」「アイスミルク」「ラクトアイス」「氷菓」と分類されています。

氷菓だけは基本的に果汁などを凍らせたものやシャーベット、かき氷のことで、ほとんど乳固形分はほとんど含まれていません。

アイスには、意外と猫にとって問題となりそうな成分が多々含まれています。

1)肥満の原因「糖類」

アイスには砂糖、ブドウ糖、果糖、みずあめといった糖類がたくさん使用されています。

糖質は猫にとっても必要な栄養素ではありますが、キャットフード、特にドライフードを主食としていたらすでに炭水化物は十分摂取しているため、アイスクリームを与えると糖質オーバーに。

雑食をしない肉食動物である猫にとって、糖質はそこまで重要な栄養素ではありませんし、消化・吸収するのはあまり得意ではないため、内臓にも負担がかかります。

しかも糖質の摂り過ぎは肥満の原因になってしまいます。

アイスはとてもカロリーが高く、人にとっては少量でも、猫に与えればすぐカロリーオーバーになってしまいます。

ちなみに猫は、甘味を感じる感覚を持ちません。

甘いことは猫にとってあまり意味がなく、アイスクリームを欲しがる猫は、牛乳の匂いにひかれていると考えられます。

2)下痢の原因「牛乳・乳製品」

全ての猫がそうではありませんが、牛乳に含まれる乳糖を分解する「ラクターゼ」という酵素が通常よりずっと少ない猫がいます。

よく「乳糖不耐症」といいますよね。このような猫が牛乳を飲むと、乳糖を分解できずに下痢になってしまいます。

また、牛乳はカルシウム、ナトリウム、リン、カリウムなどミネラルの含有量も高いため、腎臓や心臓が悪い猫は症状を悪化させる恐れもあります。

3)大変危険な「フレーバー」

チョコレート

チョコレートは最も猫にとって危険なフレーバーです。

「デオブロミン」という覚醒・興奮作用をもつ物質が含まれていて、猫は、このデオブロミンを分解する能力が低く、中毒を起こしてしまうことがあります。

特にデオブロミンの含有量が高くなるビターチョコレートは要注意です。

たくさん食べると、4時間から1日くらいかけて中毒症状が現れ、下痢やおう吐のほか、抑うつや興奮状態になったり、重症だと不整脈や痙攣をおこして命にかかわることも。

チョコレート味のアイスクリームは絶対に与えないようにしましょう。

コーヒー

コーヒーにはカフェインが含まれています。

アイスクリームに使われるコーヒーの量はそれほど多くないでしょうが、カフェインは興奮状態を引き起こして重症だと痙攣や呼吸不全を起こして亡くなってしまうこともあります。

コーヒー味のアイスクリーム、特に本格的なコーヒーを使用したものほど与えないようにしましょう。

抹茶

抹茶もコーヒーと同じくカフェインが含まれています。コーヒーほど高い含有率ではありませんが、与えないほうがよいでしょう。

ナッツ類

特にマカダミアナッツは中毒性が高く、量によっては命にかかわります。

どのような成分が中毒を引き起こすのか詳しくは解明されていませんが、犬の症例では虚脱、震え、麻痺などが起こるとされています。

症状は急激に現れ、最悪の場合死に至ることもあります。

また、ピーナッツやアーモンドも、含有されるペニトリウムAという物質によって呼吸が浅くなったり、痙攣を起こしたりします。

正確なデータはありませんが、摂取量によっては命に関わることも考えられるため、食べさせてはいけません。

ナッツ類は、よくチョコレートといっしょにアイスクリームの中に入っていたりします。

これは猫にとってとても良くない組み合わせ。絶対に与えてはいけません。

もち

最近流行りのおもちを使ったアイスクリーム。

おもち自体は猫にとって毒になることはありませんが、喉に詰まらせたりするため、与えるのは危険です。

4)「各種添加物」

アイスには、安定剤、乳化剤、香料、着色料などたくさんの添加物が含まれています。

製品によって使われる添加物は、天然のものから人工のものまでさまざまですが、なかには発がん性が疑われるものもありますので、注意が必要です。

 

猫にとってアイスは良い食べ物?悪い食べ物?

たとえバニラ味でもアイスは肥満の原因になったり、下痢やおう吐の原因にもなります。

チョコレートなどのフレーバーがついていればさらに深刻な健康被害も。

最近は、「大人の○○」として本格的なビターチョコレートやコーヒー、抹茶を使ったり、ナッツ類をふんだんに使ったりする製品がたくさん登場しています。

このような製品はひどい中毒を起こす可能性が高いので、決して猫に与えないようにしましょう。

そもそも猫はあまり冷たい温度の食べ物は好みませんし、冷えたものを食べるだけで下痢や腹痛の原因にもなりかねません。

アイスは猫に与える必要のないものです。

 

アイス好きな猫への対処法

アイスクリームなど乳成分の多いアイスは、好きな猫も多いでしょう。

人が食べているすきをねらって、容器のフタや袋についたアイスを食べたり、容器に残ったアイスを舐めたりすることもあります。

容器のフタや袋はすぐにフタ付きのごみ箱に捨て、食べ終わった後もすみやかに片づけましょう。

もし、どうしても猫にアイスのようなものを与えたいのであれば、猫用ミルクを凍らせたり、スープタイプやゼリータイプのキャットフードを凍らせたりして食べさせてあげましょう。

単に猫用ミルクに氷を浮かべるだけでもかまいません。

 

猫がアイスクリームを食べたら

バニラアイスであれば、下痢やおう吐がないか様子を見るだけで十分ですが、もしチョコレートやコーヒー味、ナッツ入りのアイスを食べてしまった場合は、早めに動物病院に連れて行きましょう。

中毒を起こす量は個体によってかなり差があるため、少量だからといって大丈夫とは限りません。

もしおう吐が始まり、痙攣や呼吸が早いなどの症状がみられたら、直ちに動物病院に連れていくべきです。

その際、何をどの程度食べたのか、食べてからどのくらい時間が経過したか、どのような症状が出始めたか、などを獣医師に伝えられるようにしましょう。

まとめ

猫にアイスクリームを食べさせることは、いろいろな意味でよくありません。

また、飼い主さんご自身が注意していても、知らない間に知識に乏しいお子さんなどご家族がうっかり与えていることもあります。

猫の体に悪い食べ物とは何か、という知識は猫を飼育するうえでとても大切な情報です。

ご家族全員で共有するようにしましょう。

関連記事

 
 

ABOUTこの記事をかいた人

NEKOCLIP

博物館に20年勤務していた古生物学系元学芸員。猫は絶滅してしまった化石猫から イエネコ、ライオンに至るまで全部大好き。猫飼い歴ン十年の猫おばちゃんです。 飼育のお悩みから進化学に至るまで、幅広い情報と猫の素晴らしさをわかりやすく お伝えしようと思います。理学修士、ペットシッター資格、愛玩動物飼養管理士2級。 ペット用品販売会社での勤務経験もあります。