嫌いな猫が多いみかん。猫にとってみかんはどのような食べ物?

猫にとってみかんは天敵。顔に近づけると、とっても嫌な顔をします。ほとんどの猫は、柑橘系の匂いが苦手で、食べる猫は滅多にいません。

口にする猫はかなり変わった嗜好の持ち主でしょう。

とはいえ、猫にとってみかんは食べてもかまわない食べ物なのでしょうか。なぜ猫はみかんの匂いを嫌がるのでしょう。

 

みかんってどんな食べ物?

私たち日本人にとってみかんはとても身近な食べ物です。どのような栄養素が含まれているのか、私たちに一番なじみ深い「温州みかん」を例にあげてみます。

基本的にみかんの80%は水分。

残りの10%が炭水化物(つまり糖質と繊維質)で、他タンパク質が7%、脂質が2%、灰分1%となります。

カロリーは100グラム当たりだいたい50㎉です。

みかん(果実部分)に多く含まれる栄養素とその役割

  • ビタミンC:コラーゲン合成したり、ミネラルの吸収を促進したりする
  • ビタミンE:体内の脂質の酸化を防ぐ(抗酸化作用)
  • β‐カロテン:抗酸化作用(人ではビタミンAにも変換する)
  • β‐クリプトキサンチン:発がん抑制、免疫力強化
  • カリウム:利尿作用、筋肉のはたらきを調整
  • カルシウム:神経伝達、骨や歯の形成
  • マグネシウム:カルシウムの吸収を促進し、骨や歯の形成を助ける
  • フラボノイド化合物(ヘスペリジン):

栄養素の働きが人と違うところ

β‐カロテン

みかんで有名なβ‐カロテンは、人では体内でビタミンAとなって粘膜や皮膚の保護に役立つのですが、猫には合成する酵素がないため、β‐カロテンからビタミンAを合成することができません。

猫にとっては、主に抗酸化物質としての役割があります。

ビタミンC

猫はビタミンCを体内で合成することができるため(犬など多くの哺乳類ができます)、猫にとって必須の栄養素ではありません。

しかし、その合成能力は他の哺乳類に比べるとかなり低く、さらに抗酸化効果を高めることができるため、キャットフードにはある程度ビタミンCが含まれています。

 

どうして猫はみかんが嫌いなの?

猫は、味わったわけでもないのに、みかんの匂いを嗅ぐだけで逃げてしまうことがよくあります。

なぜなら猫にとって食べ物は、舌で味わうことよりもまずは匂いで感じることが重要だからです。

猫の舌にある、味を感じる「味蕾」の数が500個と、人の9000個、犬の1700個に比べて非常に少なく、味の感覚はそれほど鋭いわけではありません。

反対に嗅覚は人の6~7倍以上も発達しており、猫は食べ物のおいしさを舌で感じるよりも、嗅覚で感じているといえます。

さて、ではどうして猫はみかんの匂いが嫌いなのでしょう。

それは、その独特の「鋭い、すっぱい匂い」が嫌いだからと考えられます。

この理由として、「すっぱい臭いを放つ腐った食べ物を避けるために、本能的に嫌いなのだ」とする説があります。

確かに野生動物にとって食べ物の腐敗度を嗅ぎ分けることは、命を守るうえで大切なことで、この説は正しいのかもしれません。

しかし疑問点もあります。

例えば、みかんの酸っぱさと、肉が腐敗する際に放つ酸っぱさはまったく違う成分でできています。

嗅覚が発達した猫が、シネフリンやリモネンなど柑橘類によく含まれる酸味や香り成分と、肉の腐敗成分とを同じものと感じるだろうか、ということです。

その点は検証されていないのでなんともいえませんが、猫がみかんの匂いが嫌いなのは、意外と単純に、ツンと鼻をつく強い匂いがキツイからかもしれません。

ちなみに、猫は甘味を感じることができないので、みかんを食べる猫でも、甘くておいしいから食べているわけではないようです。

 

猫にとってみかんはよい食べ物?悪い食べ物?

そもそも、真正の肉食動物である猫にとって、みかんは必要な食べ物ではありません。

前述したように、みかんに含まれる栄養素の中には猫にとって良い栄養素もありますが、それをみかんから摂取する必要はありませんので、与える必要もないといえます。

 

猫がみかんを食べてしまったら

もし愛猫がみかん好きで食べてしまっても、果実の部分であれば相当大量に食べない限り体に害はないでしょう。

ただし、おう吐したり、多少お腹が緩くなることがあるかもしれませんので、食べてしまった後は、しばらく様子を見るようにしてください。

万一、皮を食べてしまった場合は、実の部分よりは注意が必要です。

皮にはリモネンという物質が含まれ、猫にとって毒性があるとされています。これは、猫がリモネンなどの植物の毒性を解毒することができないからです。

口にした場合、おう吐、四肢の麻痺、運動失調などの中毒症状が現れることがあります。

どのくらいの量でそのような中毒症状が起きるかはよくわかっていませんが、症状には個体差があり、少量でも食べてしまったときは、しばらく経過観察するようにしてください。

万一、おう吐したり、歩き方がおかしいなどの症状がみられたら、すぐに動物病院に行くようにしましょう。

その際、いつ、何を、どのくらい食べ、いつ頃症状が出始めたかを獣医師に報告できるようにしておくことが大切です。

リモネンは、みかんだけでなく、レモンやグレープフルーツなど柑橘類全般に含まれていますので、みかん以外の柑橘類も同様に注意が必要です。

リモネンは日常の生活でよく使われる香料

リモネンは、アロマオイルやシャンプー、洗剤、芳香消臭剤、ハンドクリームなどに香料として使われていることがよくあります。

特にアロマオイルは精油として何倍にも濃縮されているため、ほんのわずかでも口にするのはもちろん、焚くことも避けたほうがよいでしょう。

なにより、嫌いな匂いで猫に強いストレスを感じさせないためにも、アロマオイルにしろハンドクリームにしろ、あまり使用しないほうがよいといえます。

まとめ

猫は雑食をしない肉食動物です。体に良い栄養素が含まれているとしても、植物性の食べ物から摂取することはあまりおすすめできません。

猫は植物の栄養素を消化吸収することは得意ではないからです。

多くの猫にとってみかんは、嫌いな部類に入る食べ物。人には、みかんの香りはさわやかな匂いであっても猫にはストレスです。

少なくとも柑橘系の匂いで部屋を満たすことは、避けたほうがよいでしょう。

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NEKOCLIP

博物館に20年勤務していた古生物学系元学芸員。猫は絶滅してしまった化石猫から イエネコ、ライオンに至るまで全部大好き。猫飼い歴ン十年の猫おばちゃんです。 飼育のお悩みから進化学に至るまで、幅広い情報と猫の素晴らしさをわかりやすく お伝えしようと思います。理学修士、ペットシッター資格、愛玩動物飼養管理士2級。 ペット用品販売会社での勤務経験もあります。