体に良さそうな食べ物、生姜。猫が食べても大丈夫?

生姜は香りの強い食材のため、多くの猫はほとんど興味を持たないでしょう。

しかし、なかにはマタタビを嗅いだときのような反応を示す猫もいるようです。

人間にとっては血行を促進し、冷え性を改善する食べ物として、そして香辛料としてさまざまな料理に使われる生姜。

猫が食べてしまっても問題ないのでしょうか。

 

生姜とはどのような食べ物?

生姜の約91%は水分で、残りは炭水化物が7%、タンパク質1%、脂質0.3%、食物繊維が2%です。

生姜に多く含まれる栄養素とその働き

生姜はビタミンよりもミネラルが豊富に含まれています。

1)カリウム:利尿作用、細胞の働きを正常に保ち、筋肉の働きを調整

心臓病で投薬を受けている猫の場合、薬の種類によっては低カリウム血症または高カリウム血症を引き起こすことがあるため、心臓病の猫はカリウムの摂取量に気をつけなければなりません。

2)マグネシウム:エネルギー代謝、神経伝達、筋肉の収縮に必須、骨や歯の形成

マグネシウムは、カルシウムと同じように神経伝達、骨や歯の形成に欠かせないミネラルですが、過剰に与えると、尿路結石のリスクとなります。

3) カルシウム:神経伝達、骨や歯の形成

マグネシウムと同じように、過剰に与えると尿路結石のリスクを高めてしまいます。

※マグネシウムやカルシウムの過剰だけが尿石の原因になるわけではありません。尿のpHや、尿の量などいろいろな原因が複合的に関係しています。

生姜に含まれる「香辛料」の成分

生姜は、香辛料としてもよく使われています。

それは生姜の「香り成分」と「辛み成分」に人体に良い効果があるとされるからです。

1)「香り成分」シネオール

食欲増進に効果があるとされ、さらに解毒・消炎作用もあると考えられています。

2)「辛み成分」ジンゲロール、ショウガオール、ジンゲロン

血行を促進して体を温め、新陳代謝を良くするといわれています。

また、お寿司のツマに使われているのは、強い殺菌効果があるからです。

ショウガオール、ジンゲロンは、それぞれジンゲロールが脱水反応や乾燥による分解によって生成される成分です。

ただしジンゲロンは非常に微量です。一般にショウガオールのほうがより強い辛みがあり、効果も高いとされています。

このような成分は古くから漢方薬としても、頭痛や風邪、冷え、食欲不振の改善に利用されています。

 

猫にとって生姜は良い食べ物?悪い食べ物?

結論から言えば、生姜は、少量であれば猫にとって中毒になるような食べ物ではありません。

しかし、香辛料でもあるように、強い辛み成分刺激物が含まれていますので、不必要に胃を刺激しますし、内臓にも負担がかかります。

飼い主さんが自ら与えるような食べ物ではないと言えるでしょう。

さらに、気になるのが「香り成分」のシネオール。

これはアロマオイルにも使われる成分です。

猫は植物毒性を解毒する、主要なシステムのひとつが欠落していて、ある種類の精油は猫に対して強い毒性を示すものがあります。

ただし、毒性が解明されているのは植物の中のごく一部で、しかもアロマオイルはとても種類が豊富。

その全てについて、猫に対する毒性が把握されているわけではありません。

したがって、今のところシネオールがリストに上がっていなくても、猫にとって絶対に安全とはいいきれません。

もちろん精油と生姜ではまったく濃縮度が異なります。

食べたからと言ってすぐになにかあるわけではありませんが、刺激性のある辛み成分のこととも合わせて考えると、生姜を猫に与えるのは避けたほうがよいといえるでしょう。

 

猫は肉食のなかの肉食動物

そもそもネコ科動物は植物を一切食べない完全なの肉食動物です。

草食の小さな動物を丸ごと食べたとしても、消化器に残っている植物は微々たるもので、ほとんどの栄養分は動物性の食べ物から得ています。

しかも通常、総合栄養食(それさえ食べていれば、猫が必要とされる栄養素を十分に満たせるようつくられたフード)のキャットフードを食べていれば、猫が必要な栄養素はまかなえており、ほかの食べ物を与えると、かえって栄養バランスを崩しかねません。

もし、生姜の効能、つまり血行不良や食欲不振を改善したい場合は、獣医師に相談して別の食べ物やサプリメントから摂取することをおすすめします。

 

生姜に反応する猫には

少数派だと思いますが、なぜか生姜に対してマタタビのような反応を示す猫がいます。

そのような猫がいる場合は、食事中や調理中は猫が盗み食いしないように気をつけるようにしてください。

特に、人用に味付けされたツマやはじかみなどは、人工的に味付けされていて、塩分など別の意味でも猫の体によくありません。

生姜の皮などのゴミがでたら、すぐにフタ付きのごみ箱に捨てるようにしましょう。

もし、猫がゴロゴロと生姜に気持ちよさそうに反応していて、取り上げるのが可哀そうであれば、マタタビを代わりに与えてください。

生姜を食べてしまったら

万一、猫が生姜を食べてしまっても、少量を一度口にしたくらいで中毒を起こすことはないでしょう。

しかし、食べ物への反応は個体差が非常に大きいので、念のためしばらくはおう吐や下痢がないか様子を見るようにしましょう。

もし、おう吐や下痢が何度も続くようであれば、動物病院に連れて行きましょう。

その際、いつ、どのくらいの量を食べたのか、食べてからどのくらい時間が経っているのか、おう吐や下痢を何度繰り返したのか、などを獣医師に伝えられるようにしておけば、治療に役立ちます。

まとめ

真性の肉食動物である猫は、植物の栄養を消化・吸収することが苦手ですし、生姜は猫にとって必要な食べ物でもありません。

血行促進や新陳代謝を高める効果があるため、健康に良いのではと思ってつい与えたくなってしまいます。

しかし、猫には刺激が強すぎますし、内臓への負担を考えれば安易に食べさせないほうがよいでしょう。

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NEKOCLIP

博物館に20年勤務していた古生物学系元学芸員。猫は絶滅してしまった化石猫から イエネコ、ライオンに至るまで全部大好き。猫飼い歴ン十年の猫おばちゃんです。 飼育のお悩みから進化学に至るまで、幅広い情報と猫の素晴らしさをわかりやすく お伝えしようと思います。理学修士、ペットシッター資格、愛玩動物飼養管理士2級。 ペット用品販売会社での勤務経験もあります。