犬に与えていい果物と与え方の注意点【獣医師が解説】

ヘルシーなイメージのある果物。

犬にもおいしい果物を与えたいという気持ちはよくわかります。

ただし、果物を与えることで犬の健康を害してしまうことがあり、与え方によっては果物やその種子が食道や腸に詰まってしまい、手術が必要になるケースもあります。

「人が食べているから犬にも大丈夫だろう」と軽く考えず、犬に与えていい果物とその与え方をしっかり理解しておきましょう。

 

果物を与えるときに知っておきたいこと

果物をあげる時の注意点

多くの果物は、動物が食べても問題ありません。

そのため、おやつやコミュニケーションの一環として果物を与えることは悪いことではありません。

ただし、果物を与える場合には以下の点に注意しておきましょう。

カロリーに注意

ヘルシーなイメージのある果物ですが、果物に含まれる果糖はカロリーが高く、果物を与えることで太りやすくなってしまいます。

果物を与える場合には、あげ過ぎて太らないように注意しましょう。

大きさに注意

つるっと飲み込みやすい果物は、一口大に切って与えることで犬が丸呑みしてしまいやすい食材です。

小型犬の場合、3㎝角以上の大きさの果物は、丸呑みすることで食道に詰めてしまう可能性があります。

特にリンゴやナシなどの少し硬めの果物は丸のみによる食道内異物になる可能性が高いため、小さく切って与えるようにしましょう。

種に注意

大きな種のある果物を食べてしまうと、それが腸に詰まってしまうことがあります。

動物病院での経験上、モモの種は非常に危険で、10㎏を越えるような大きめの犬でも腸に詰まってしまうリスクがあります。

他にも、柿の種や梅の種も腸閉塞を起こす可能性があるので、柿や梅(梅干し)を与える場合にも、種には注意をしておいてください。

食べても大丈夫な果物とその量

犬にとって中毒の危険性のある果物は多くはありません。

リンゴやバナナ、イチゴ、スイカ、ナシ、みかん、柿などは犬に食べさせても問題はありません。

ただし、食べさせる場合には、カロリーをしっかり計算して与えるようにしてください。

例えば、リンゴは1/5個を食べると、26kcal摂取することになると言われています。

不妊手術をした健康な成犬の場合、3㎏の犬の必要カロリーは1日当たり255kcal程度になります。

つまり、3㎏の犬がリンゴ1/5個を食べた場合、カロリーオーバーにならないためにはフードを1割減らす必要が出て来るということです。

その他の果物でリンゴ1/5個と同じカロリーになるのは、以下の量です。

  • バナナ:20g(1/4本)
  • イチゴ:25g(Mサイズ5個)
  • スイカ:70g(Sサイズ1/24個)
  • ナシ:60g(1/4個)
  • 柿:40g(Sサイズ1/4個)
  • みかん:50g(2/3個)
 

食べさせてはいけない果物

食べさせてはいけない果物

上で紹介したような果物は基本的に食べさせて問題はありませんが、以下の果物には注意が必要です。

  • ブドウ
  • アボガド
  • 種の大きな果物
  • 大きめの一口カットにした果物

危険な理由

ブドウを食べてしまった場合

ブドウは犬に腎不全を起こす可能性のある果物として知られています。

その中毒量は個体差がありますが、一般的には大量に食べなければ大丈夫だと言われています。

ブドウを1粒だけ食べてしまったというくらいでは基本的には問題になりませんが、ブドウやレーズンを大量に食べてしまった場合には危険です。

ブドウを食べてしまうと以下のような症状が出て来ることがあります。

  • 元気の消失
  • 食欲減退
  • 嘔吐
  • 尿量の増加あるいは減少

ブドウを大量に食べると急性腎不全を起こし、致命的になることもあります。ブドウを食べてしまった場合には、まずは動物病院に連絡してみましょう。

アボガドを食べてしまった場合

アボガドはそれほど危険な食物ではありませんが、日本のアボガドには「ペルシン」という中毒物質が多く含まれていることが知られています。

ペルシンはヒトには無害ですが、犬には下痢やおう吐などの消化器毒性を起こす可能性があると言われています。

種の大きな果物を食べてしまった場合

モモなど種の大きな果物を種ごと食べてしまった場合には、腸に詰まってしまうことがあります。その場合には、食べて半日~3日くらいの間に

  • 腹痛
  • 嘔吐
  • 食欲廃絶
  • 元気の低下
  • 下痢や血便

などの症状が出てきます。

腸閉塞を起こしてしまった場合には、すぐに開腹手術が必要になります。

そのまま放置すると腹膜炎から命を落としてしまう可能性もあり、非常に危険です。

もし種の大きな果物を種ごと食べてしまった場合には、数時間以内であれば動物病院で催吐処置や内視鏡によって回収できる可能性が高いです。

種ごと果物を食べてしまった場合には早めに動物病院で診てもらうようにしましょう。

大きめの果物を飲み込んでしまった場合

大きめの一口サイズの果物を飲み込んでしまった場合、食道に詰まってしまうことがあります。

胃の中まで落ちてしまえば消化してくれますが、食道の中では消化できず「食道内異物」になってしまいます。食道内異物の症状は

  • えずく
  • よだれが増える
  • 落ち着かない

などです。食道内異物があるとかなり苦しいため、緊急的に処置をする必要があります。

通常は、内視鏡を使って取り出すか胃の中に押しこむことで治療します。

一口大の果物を食べてから調子がおかしい場合は、動物病院へ電話をして内視鏡があるかどうか確認し、早めに動物病院へ連れて行きましょう。

かかりつけの動物病院に内視鏡がない場合には、内視鏡ができる動物病院を紹介してもらえることが多いです。

 

まとめ

果物を食べさせることは悪いことではなく、時に犬とのコミュニケーションを取るために役立つこともあります。

ただし、中毒や腸閉そく、食道異物などの原因になることもありますので、犬に果物を与える場合には、しっかり注意事項を守って与えるようにしてください

もし、今まで愛犬が果物を食べたことがないのであれば、果物を与える必要性はありません。

むやみに犬に果物をあげるのはやめておきましょうね。

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ABOUTこの記事をかいた人

後藤大介

岐阜大学農学部・獣医学科(現応用生物科学部・共同獣医学科 ) 卒業。大阪・北海道の動物病院に勤務し、2018年、岐阜市にアイビーペットクリニックを開業。生まれ育った地元で、ペットと家族の幸せのためのお手伝いをしたいと考えています。病気の治療だけでなく、ペットの健康のための情報発信や、地域の飼い主さん同士が交流できるような動物病院を目指しています。