りんごは猫に与えても大丈夫か徹底検証しました。

りんごは日本人にとって、とても身近な果物ですよね。

デザートとして食べることもあれば、料理にもよく使われる食材です。

飼い主さんが美味しそうに食べる姿に興味をひかれて、おねだりする猫もいるかもしれません。

人にとっては、風邪をひいたときや、お腹をこわしたとき、便秘解消のために食べる消化に良い、健康的なイメージのある果物ですが、猫にとっても良い食べ物と考えてよいのでしょうか。

 

りんごってどんな食べ物?

りんごは、バラ科リンゴ属の樹になる果実で、そのほとんどが水と炭水化物(水分84%、炭水化物15%)からなります。

カロリーは100gあたり54㎉です。

りんごに多く含まれる栄養とその役割

1)ビタミンC:コラーゲン合成したり、ミネラルの吸収を促進したりする

多くの哺乳類と同じように、猫もビタミンCを体内で合成することができるため、猫にとってビタミンC は必須の栄養素ではありません。

しかし、合成する能力は他の哺乳類に比べるとかなり低く、また、ビタミンCには抗酸化効果を高める良い作用があるため、キャットフードにはある程度の量のビタミンCが含まれています。

2) カリウム:利尿作用、細胞の働きを正常に保ち、筋肉の働きを調整

カリウムは体を維持するうえで重要な働きをしますが、心臓病で投薬を受けている猫の場合は、薬の種類によっては低カリウム血症または高カリウム血症を引き起こすことがあります。

そのため、心臓病の猫はカリウムの摂取量に気をつけなければなりません。

3)ペクチン:整腸作用

ペクチンは多糖類で、よく増粘剤としてウェットフードに使われます。可溶性食物繊維としての働きもあり、整腸作用があります。

 

猫にとってりんごは良い食べ物?悪い食べ物?

猫にとって、りんごは基本的には害のない食べ物ですので、少量なら食べても大丈夫です。

しかし、猫は雑食である人間とは違って完全な肉食動物であるため、植物の栄養を消化・吸収することは苦手です(同じ肉食動物でも犬は雑食性が強く、りんごを与えてもかまいません)。

たとえ猫にとって良い栄養素が含まれていても、わざわざりんごから摂取する必要はありません。

しかも胃腸に負担がかかるため(特に皮の部分)、多く与えると消化不良を起こして下痢をする可能性もあり、日常的に与えるべき食べ物ではないでしょう。

 

人と猫と犬はちがう動物

人にも良い食べ物、犬にも良い食べ物が猫にも良いかというと、そうではありません。

猫のことを小さな人や犬だと考えるのは大きな誤解です。

むしろ、犬と人のほうが、雑食するという意味で食性は近く、猫は雑食を全くしない完全肉食動物です。

そのため猫の腸の長さはとても短く、植物を消化するようにはできていません。

「健康に良さそうだから」と安易に与えると、かえって下痢やおう吐を引き起こす原因にも。

人と犬と猫では、必要な栄養素も異なります。

ちょっとくらい、とおやつ感覚で人の食べ物を与えると、せっかく総合栄養食のペットフードを与えていても、栄養バランスが崩れてしまいます(しかも人用の味付けは猫の健康によくありません)。

例えば整腸作用など良い効果があるからといってりんごを与えるのではなく、獣医師に相談し、整腸作用のある猫用の食べ物、つまりキャットフードやサプリメントを教えてもらうようにしましょう。

 

未成熟な果肉と種には注意が必要

りんごについて気をつけなければならないことは、未成熟な果肉と、種子には「アミグダリン」という加水分解すると「シアン化水素」を発生する物質が含まれている点です。

シアン化水素はいわゆる青酸とも呼ばれ、猛毒であることが知られています。

人間も同じですが、たくさん食べるとおう吐、痙攣を起こし、命にも係わることがあります。

種を致死量相当までたくさん食べることはまずないでしょうが、人が食べるときでも、猫が誤食しないよう種の部分はすぐに蓋つきのごみ箱に捨てるようにしましょう。

アミグダリンはかつてビタミンB17といわれて生体の代謝に必要な栄養素とされていた時期があります。

また、抗がん作用があるともされてきました。これらは、現在では科学的に否定されていて、健康どころか中毒の危険性が高いことが指摘されています。

また、アミグダリンは同じバラ科の梅、琵琶、あんずや桃などの実、種子に含まれており、りんご同様、猫が口にしないよう注意する必要があります。

猫がりんごの種を食べてしまったら

中毒を起こすか起こさないかは個体差が大きいため、もし少量でも未熟な果肉や種を食べてしまったら、しばらくは注意深く様子を観察するようにしましょう。

下痢やおう吐、発熱、フラフラする、などの症状があった場合は、すぐに動物病院を受診してください。

もちろん、たくさん食べてしまった場合は命にかかわりますので、経過観察はせずに直ちに病院へ連れて行きましょう。

病院に行く際は、いつ、何を、どのくらい食べて、どのような症状が出たのか、獣医師に説明できるようにしておきましょう。

まとめ

毎日の食事は猫の健康管理の基本です。体に大きな害がないからといって、猫にとって必要のないものを与え続けるのは良いこととはいえません。

おねだりされるとついあげてしまいがちですが、欲しがるものを与えるのではなく、代わりにキャットフードや猫用おやつを与えるようにしましょう(もちろん、一日に必要なエネルギー摂取量以内で、です)。

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NEKOCLIP

博物館に20年勤務していた古生物学系元学芸員。猫は絶滅してしまった化石猫から イエネコ、ライオンに至るまで全部大好き。猫飼い歴ン十年の猫おばちゃんです。 飼育のお悩みから進化学に至るまで、幅広い情報と猫の素晴らしさをわかりやすく お伝えしようと思います。理学修士、ペットシッター資格、愛玩動物飼養管理士2級。 ペット用品販売会社での勤務経験もあります。