猫は液体?どんな 形にもピッタリはまる猫の不思議な体とは

2017年、イグノーベル賞で猫は固体か液体かを解明しようと流動学的に取り組んだ研究が受賞しました。

猫が体の形を変えて、大小さまざまな形の入れ物にもピッタリと納まってしまうのは、猫が固体ではなく、液体だからだ、という説です。

これに思わずうなずいてしまった愛猫家は多いのではないでしょうか。

段ボール箱はもちろん、コップに花瓶に鍋に……。そんなところにまで?と驚くこともよくある事件。

猫はなぜ狭い所に入りたがり、そしてその場所の形に体を合わせることができるのでしょう。

 

イグノーベル賞受賞「猫の流動学」

イグノーベル賞とは、人々を笑わせ、かつ考えさせられる研究・業績に与えられる、ノーベル賞のパロディ版。

1991年に創設され、毎年ハーバード大学で授与式が行われます。

この2017年の賞に「猫は固体であると同時に液体でもあるのか?」という、フランスの研究が選ばれました。

学問的に、「固体」とは、「物質が一定の体積と形を維持する状態」であり、「液体」とは、「一定の体積を持つが、形はその入れ物の形に合わせて変わる状態」をいいます。

どんな入れ物にも形を合わせられる猫は、学問的には固体であるとともに、液体でもあるのではないか、という疑問を物理学的に“大真面目”に取り組んだ研究です。

 

猫が液体に見えるのはなぜ?

確かに、猫は狭い場所に入り込んでは、その場所の形にピッタリはまっています。

人間から見ると「苦しくないの?」と思うような小さなものでもお構いなしです。

入れ物でなくても、溶けたモチのように、床に広がっている場面にもよく出くわしますよね。

どうして猫は液体のように「溶けて」見えるのでしょうか。

 

猫は体が柔らかい

猫の体が柔らかい大きな理由の1つは、関節が自由に動くということ。

猫の関節は、人よりも緩やかにつながっていて、可動域が広くなっているのです。

例えば、鎖骨が退化して小さいため、関節が人よりも自由に動き、さらに首の後ろ側に位置しているため、足の動きに伴って自由に動かすことができます。

また、背骨と背骨の間にある椎間板が柔らかく、背骨の柔軟性も高いのです。

また、腰椎(腰の部分の背骨)の数が人よりも2個多く、これも背骨の柔軟性に一役かっています。

さらに、関節の柔らかさを助けているのは、骨を支えるじん帯や筋肉も柔らかいことです。

じん帯や筋肉ががっちりと骨をとらえていると、関節を動かすことはできません。

猫の股関節はそのようなじん帯による規制が少ないため、いろいろな方向に動かすことができます。

猫が、人にとってありえない角度にねじれて寝ていてもまったく苦しくなさそうなのは、実際に体の柔軟性が高いからなのです。

 

猫は皮膚も柔らかい

猫の皮膚は、一見人間よりも分厚いように感じますが、実は表皮の部分は人よりもずっと薄く、そのために伸縮性に富み、柔らかくなっています。

いっぽう、皮膚の厚さは体のどの部分も同じというわけではなく、特に首や背中は皮下組織に富み、他の部分より厚くなっています。

ただ、その下の筋肉とはりついているわけではないため、融通がきき、びよーんと伸びてたくさんつまむことができます。

ときどき猫がモチのようにとろけて見えるのは、このような皮膚の柔らかさによるものです。

ちなみに、猫のお腹がたるんでいることがありますが、これは太っているからではなく、原始的な特徴を残しているからと言われています。

野生の血が濃い種類に多いのだそうですが、お腹を敵から守るということ以外に、体をひねったり、後ろ足の動きを助けるためという理由も考えられます。

そもそも猫はどうして狭い所が好きなの?

猫が暗くて狭い場所を好むのは、野生時代からのなごりとされています。

単独生活をしていた猫の祖先は、体も大きくなく、外敵から身を守るために藪の中に潜んだり、木のウロに隠れたりしていました。

相手から見えない、そして見られない場所にいるということは、猫にとって安心安全な場所なのです。

また、小さな紙袋や穴をみると猫はついついのぞき込んでチェックしようとします。

これも猫の祖先が、獲物である小動物の巣穴などを探していたことが理由だと考えられています。

事故に気をつけて

狭い場所への猫の好奇心は尽きることがありません。明らかに小さすぎる場所にも果敢にチャレンジします。

このような猫の行動はとても可愛らしく微笑ましい光景ですが、一方で事故の危険性もはらんでいるので、注意が必要です。

家の中で起きやすい事故

  • 小さな容器を覗いて頭が抜けなくなる
  • 袋や袋の取っ手が体や首に引っかかる
  • 狭すぎる場所に入り込んで出られなくなる
  • 狭い場所に入ろうとして首輪が引っかかる(首つり状態になることも)
  • 洗濯機、箪笥の引き出しなど入ってはいけない場所に入り込んで閉じ込められる

このような事故を防ぐため、危険そうな容器は出しっぱなしにしてはいけません。

紙袋のヒモは引っかかると首つり状態になって猫はパニックになり、暴れることも。使わない袋も片づけるようにしましょう。

また、猫がぎりぎり入れそうなスペース、入ると危険な場所は、あらかじめ塞いでおくか、扉があればチャイルドロックをしておくと安心です。

まとめ

モチのように床にびろーんと広がったり、小さな入れ物にすっぽりはまったり、猫は本当に液体のようです。

でも猫だってときに失敗することもあります。

遊んでいる間は目を離さず、愛でると同時に猫の安全にも気を配ってくださいね。

関連記事

 
 

ABOUTこの記事をかいた人

NEKOCLIP

博物館に20年勤務していた古生物学系元学芸員。猫は絶滅してしまった化石猫から イエネコ、ライオンに至るまで全部大好き。猫飼い歴ン十年の猫おばちゃんです。 飼育のお悩みから進化学に至るまで、幅広い情報と猫の素晴らしさをわかりやすく お伝えしようと思います。理学修士、ペットシッター資格、愛玩動物飼養管理士2級。 ペット用品販売会社での勤務経験もあります。