猫の突然死の原因や対策は?【獣医師が解説】

昨日まで元気だった愛猫が突然亡くなってしまう――

実はそういったことはそれほど珍しいことではありません。

では、猫の突然死はなぜ起こってしまうのでしょうか?また、それを防ぐ方法はあるのでしょうか?

今回は、猫の突然死について、その原因や予防法などについてお話いたします。

猫ちゃんを飼っている家族の方はぜひ参考にしてみてくださいね。

 

猫の突然死とは

猫が突然死してしまうことは珍しいことではありません。

昨日まで元気だったのに急に調子を崩して亡くなってしまったり、夜中や留守中など人目がない状態で急に亡くなってしまっていたということがあります。

突然死の原因のほとんどには基礎疾患(隠れている病気)がありますが、猫はしゃべることができないため、病気が隠れてしまって気付くことができないというのが、突然死が多い理由です。

人であれば調子が悪ければ自分で病院へ行きますが、動物の場合には調子が悪い様子を飼い主さんが気付かなければなりません。

また、猫などの動物は、弱っている姿を見せると他の動物にやられてしまうという本能があるため、病気があっても症状に出しにくく、飼い主さんすら気付けないということは少なくなりません。

 

突然死の主な原因

肥大型心筋症

猫の突然死の最も多い原因と考えられているのが肥大型心筋症です。

肥大型心筋症は心臓の壁(心筋)が分厚くなりすぎて血液をうまく送り出せなくなる病気です。

肥大型心筋症では高血圧や血栓症などの合併症が起きやすく、突然死の原因となりやすい病気になります。

肥大型心筋症の症状

肥大型心筋症は、症状が出にくい病気の一つです。

肥大型心筋症を抱えている猫でも、全く元気で健康な猫と変わらないように見えることもあります。

少し進行すると、疲れやすい・体がだるそう・何となく元気がないなどの症状が出て来ることも多いですが、特徴的な症状がないのが問題です。

重度の肥大型心筋症では、口を開けて呼吸をするなど呼吸困難を起こすこともあります。

肥大型心筋症では、突然発作のようなものを起こし亡くなることがあります。

留守中に心発作を起こすと、朝は元気だったのに帰ってきたら亡くなっていたということになることもあります。

発作が起きた場合には、突然「ギャッ」と強い痛みの症状を出し、苦しんでそのまま息絶えてしまうというケースが多いです。

早期発見方法

肥大型心筋症は症状が出にくいだけでなく、動物病院で心臓を聴診してもわからないことが多いため、早期発見が非常に難しい病気になります。

肥大型心筋症を早期に見つけるためには、心エコー検査や血液検査(心臓マーカー)が有用です。

7歳を越えたら半年から1年おきくらいで定期的に、心エコーや血液検査などをしてもらうのがいいかもしれません。

特に、長毛種の猫(肥大型心筋症が多いと)や最近疲れやすいなどの症状がある猫では、肥大型心筋症に要注意であり、早めの検査をおすすめいたします。

甲状腺機能亢進症

甲状腺機能亢進症は、7歳以上の猫に非常に多いと言われている病気です。

甲状腺機能亢進症では、首の左右についている甲状腺という内分泌器官の働きが強くなりすぎることで、甲状腺ホルモンの過剰分泌が起こり、それに伴う症状が出てきます。

症状

甲状腺ホルモンは代謝を活発にするためのホルモンです。そのため、甲状腺機能亢進症が起こると、代謝が活発になりすぎて体に異変が起こります。

甲状腺機能亢進症でよく見られる症状は以下の通りです。

  • 食べるのに痩せて来る
  • 異常に活発になる(眼がギラギラしている)
  • 怒りっぽい
  • 嘔吐が増えた
  • 毛艶が悪くなった

甲状腺機能亢進症では高血圧を起こしやすく、心発作や脳梗塞などのリスクが高まります。

発作的に症状が出て、そのまま亡くなってしまう可能性があります。

早期発見方法

甲状腺機能亢進症は、今のところ6歳未満の猫での報告例はないようです。

7歳以上の猫で上記のような症状がある場合には、早めに動物病院を受診し、ホルモン検査をしてもらうといいでしょう。

また、7歳を越えたら定期的にホルモン検査などの血液検査をしてもらうことで、症状が出る前に病気の早期発見ができるかもしれません。

甲状腺機能亢進症が見つかった場合には、内服薬・食餌療法・手術による摘出から治療を選択することになります。

甲状腺機能亢進症は突然死を起こすこともありますが、うまく付き合えば長生きできることが多く、症状も比較的特徴的ですので、早期発見できるようにしておきたい病気です。

腹腔内腫瘍

肝臓や腎臓、脾臓などお腹の中に出来る腫瘍を腹腔内腫瘍と呼びます。

腹腔内腫瘍の症状

腹腔内腫瘍では、嘔吐や食欲不振、腹部の張りなどの症状が出ることも多いですが、肝臓や脾臓などの腫瘍はかなり末期的になるまで症状が出ないことも多いです。

そのため、気付かぬうちにお腹の中で腫瘍が巨大になってしまうというケースが時々あります。

巨大になった腫瘍は、破裂して腹腔内で大量出血したり、血栓症の原因となり、突然死を起こすことがあります。

早期発見方法

腹腔内腫瘍は特徴的な症状が出にくいものの食欲不振や嘔吐などの症状は出て来ることが多いです。

そのため、猫の様子に変化がないかをしっかり観察しておくことが大切です。

また、お腹を触ると張りがあったり、しこりを確認できることもあるため、普段からスキンシップをとっておくことも早期発見につながることがあります。

 

突然死を防ぐためにできること

猫の突然死を防ぐためには、どのようなことが必要なのでしょうか。

お家でチェックしたいこと

お家では以下のような点に特に注意をしてください。

  • 元気・食欲の変化はないか?(食べるスピードや遊びの頻度なども重要)
  • 体重が減ってきていないか?
  • 呼吸の様子がいつもと違わないか?呼吸数は早くないか?
  • 毛艶が悪くなってきていないか?
  • 嘔吐や下痢が増えてきていないか?

特に、上に挙げたような病気のほとんどは7歳以上の猫で起こります(肥大型心筋症は若い猫でも見られることがあります)。

7歳を超えて何か気になることがある場合には、早めに動物病院を受診してください。

肥満にしない

猫の肥満は非常に多く、健康に悪影響を与えます。肥満になると糖尿病や関節炎だけでなく、腫瘍や心臓の病気などのリスクも上がるという報告があります。

基礎疾患にかかるリスクが増えるということは、突然死のリスクも高くなるということです。

エサやおやつを欲しがるからついついあげ過ぎてしまうという飼い主さんは多いですが、それによって突然死のリスクが多少上がってしまう可能性があります。

時には、かわいいからこそ厳しくするということも大切ですね。

定期的な健康診断を

猫に突然死を起こす病気は、ある程度進行しないと症状が出ないものも多いです。

そのため、突然死を予防するためには定期的な健康診断をしてもらうといいでしょう。

その際、身体検査や一般的な血液検査だけでなく、レントゲンやエコー、心臓マーカーやホルモン検査などの検査をしてもらうこともおすすめです。

動物病院で身体検査をしてもらい、必要な検査を相談しながら実施してもらうようにしてください。

 

突然死を100%防ぐことはできない

どれだけお家で健康に気を付けたり、定期的に動物病院で健康診断をしてもらっていても、すべての病気を見つけることは現実的には不可能です。

つまり、これをしていれば突然死を防げるという方法はありません。

突然死をしてしまったら、100%飼い主さんが悪いというわけではないことも理解して、あまり自分を責めないようにしてください。

まとめ

猫は言葉を話せないため自覚症状を訴えることができません。

また、病気にかかってしまっても、本能的に調子が悪いということを隠してしまうことも多いです。

そのため、猫の体調不良に気付くことは時に難しいこともあり、その結果突然死につながってしまうこともあります。

猫の突然死の原因には、心臓やホルモンの病気、がんなどが多く、特に7歳以上のシニアの猫では注意が必要です。

突然死は100%防げるものではありませんが、できるだけ肥満にさせないようにし、お家で体調変化がないかどうかをしっかり見てあげる必要があります。

また、特に7歳を超えた猫では、定期的な健康診断をしてもらうことも突然死を防ぐために大切です。

突然死は100%防ぐことができないということも頭に入れて置き、飼い主さんのできる限りのことをしてあげるようにしてくださいね。

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ABOUTこの記事をかいた人

後藤大介

岐阜大学農学部・獣医学科(現応用生物科学部・共同獣医学科 ) 卒業。大阪・北海道の動物病院に勤務し、2018年、岐阜市にアイビーペットクリニックを開業。生まれ育った地元で、ペットと家族の幸せのためのお手伝いをしたいと考えています。病気の治療だけでなく、ペットの健康のための情報発信や、地域の飼い主さん同士が交流できるような動物病院を目指しています。